1.おっさん→美少女の場合―11
「か、勘違いするなよ!? お前のしようとしたことは許されるものじゃないし、鉄拳制裁も当たり前のことだと思っている! ただお前にも、少しは汲んでやる事情があったのだと思っただけだ!!」
「ツ、ツンデレの中身おっさん美少女に良い子良い子してもらう……なんだこの感情……なんだこの感情はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
まったく未知の性癖の扉をこじ開けられ、苦悶するウォリ。
もちろんタモンは、自分の行いがそんな結果に繋がっていることにまったく気付いていない。
「ところで、十八歳になるまであとどれくらいなんだ?」
「ジャスト一ヶ月。十七歳で童貞卒業って響きが素敵だから、奴隷術商人にそれがタイムリミットでいいって伝えた」
「いや急展開だな!?」
あと一ヶ月以内にこの状況をどうにかしないと、自分はウォリと共に死ぬのかと、タモンは頭を抱えて本気で悩んだ。
「ところでタモンさんは親父ってことは卒業済みなんだろ? いつ出来たんだよ!」
「いや、この状況で聞くことか? 盛りのついた犬だなお前は。……あれはちょうど二十歳の時かな、サークルで入っていた、ラグビー部の先輩に店に連れられて――」
クソどうでもいいタモンの卒業の話を、ウォリは真剣な眼差しで聞き続ける。
根が体育会系のタモンなので、ついつい話を盛って、武勇伝のように語ってしまった。
「タモンさん……いや、性豪ッ!! 性の師匠と呼ばせてくださいッ!!」
「クズすぎてもはやピュアの域だな……もはや俺にも、どうすればいいのかさっぱり分からん」
師匠、師匠と囃し立てるウォリに対し、タモンは呆れ返ってそれ以上何も言わなかった。
が、やっぱり根が体育会系なので、そういう風に言われて悪い気はしないのであった。