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生まれ変わり --Renato リナート--  作者: Tohna
第4章 Development(自己開発)
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第30話 慎一と元紀

「なるほど、似ているわい。」

 元紀をまじまじと見ながらロクは感心したように呟いた。


「俺もビックリしてるさ。他人の空似っていうのは本当にあるんだな。」

 慎一も、他人事のように感心している。


「シン兄、この人本当にシン兄の弟とかじゃないの?」

 やはり目を丸くして驚きを禁じ得ないサキが慎一に聞く。


「俺、兄弟いない。」


「へー。そうなんだ。」

 ようやく元紀を探し当てた慎一だが、何をしたいのか自分でも分からなくなっていた。

 ロクが見透かしたように、


「お前さん、勢いでこやつを見つけ出したのはいいが、何をしたら良いか見当がついておらんようじゃな。」


「ああ、なんだかどうでもよくなってきた。」

 投げやりに慎一が答える。


「何て言うか、その、この人に、有紀の面倒を見てもらいてえなってちょっと思ったんだよ。」


 少し驚いて顔を見合わせるロクとサキ。


 サキは少し怒って、


「シン兄、バカじゃないの?そんなこと女の人が喜ぶわけないよ? 誰でもいいわけじゃないじゃん。この人はシン兄の代わりにはならないんだよ?」

 と強い口調で言う。


 慎一もバツが悪そうな顔をしながら、


「うまく気持ちっていうか、考えがまとまってないんだ。今の取り消すよ。」

 と絞り出すように話した。


「俺が勝手に死んじまって有紀を遺してしまったから、なんとかしてやりてえんだけど、声も伝わらない、抱きしめてもやれない。護るなんてもってのほかなんだよ? こんな無力なんてやってられねえ。」

 どこまでも自己嫌悪に陥ってしまう。


 ロクが助け舟を出す。


「お主、こやつに乗り移るか?」


「え?今なんて?」


「乗り移ったらどうじゃ?」


「そんな事が出来るのか?」

 

「できるぞよ。」


「それを早く言えよ!クソ猫!」


「随分な口の聞き方じゃな。さっきもこの話はしたじゃろうに。忘れたのか。お主。まあ、いいだろう。ワシがこの事にあまり乗り気がしなかったのはな…」


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