表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わり --Renato リナート--  作者: Tohna
第3章 The Aliance(運命共同体)
22/81

第22話 戦慄

 サキは集中治療室で、自分の亡骸と対峙した。


 頸部には首を絞められた痕が残っていた。

 まだ、両親は到着していない。


 登校時に衣服に着けていた名札はそのままだったので、連絡はついているはずだ。


「パパとママ、大丈夫かな。私が死んじゃってショックで自殺したりしないかな。」


 慎一とロクが遅れて現れた。


「なんと惨たらしいことを。」


「ロク、なんとかしてやってくれ!」


「簡単な話ではないんじゃ。サキの霊魂がサキの身体に戻っても、身体がその後生きるに堪える必要がある。残念ながらお前さんの場合は、お前が戻っても無理じゃ。」


「分かってはいたけど、改めて戻らないと聞くと厳しい現実なんだな。」


「サキの身体は半々じゃな。なんとかなるかもしれぬ。」


「それだったら、早くやってやってくれ。」


「もう一つ条件がある。言いづらいんじゃが。」


「勿体つけるな!なんなんだ?」


「誰かの命を犠牲にせねばならぬ。入れ替わりじゃ。」


「誰かを殺すって事か?」


「そうじゃ。誰かを殺めねばならない。または、」


「または、なんだ?」


「霊魂の地獄送り。」


「何だ…と?」

 つまり、死者を生き返らせるには、生きている者の命または死者の魂との交換が必要だという事だ。


「くそぉ!誰かを犠牲にしなきゃいけねえって、そんな!そんな!」

 慎一は壁を殴って悔しがった。


「ワシが…サキの命と引き換えに地獄に落ちよう。」


 ロクが覚悟を決めて言った。


「ワシはもう300年は生きた。もう十分じゃ。」


「だけどよ、オレ一人だけ取り残されたら、オレも結局使者に狩られて地獄に行っちまう。オレにしてくれ。」


「おお、そうしてくれるか♪」


 慎一はロクの頭を殴った。


「いたたた、じ、冗談じゃよ」

 涙目で慎一を見るロク。


「オレの一大決心を茶化すな。まあいい。しかしとんだ条件だな、そりゃ。」


 ロクも慎一も妙案が浮かばぬまま、刻々と時間が過ぎる。このままではもう一つの条件、戻るに値する身体も損なわれてしまう。


 究極の選択を迫られた二人。

 同時に、


「オレが!」


「ワシが!」

 と、意を決して叫んだ刹那、男女が集中治療室に飛び込んできた。


「咲ぃー!」

 女がサキの名を呼びながら泣き叫んでいる。


 サキの両親のようであった。


 しかし、集中治療室の外にもう一人の男が待機している。その男を見て、サキは硬直した。


「サキ、どうしたんじゃ?」


「ご両親、やっときてくれたな。」

 サキの表情は硬い。

 

 いや、無表情に近い。

 身体は小刻みに震えているように見えた。


 慎一はこれに気がつき、


「おい、サキ、どうした?お父さんお母さん来てくれただろ。」


 サキは応えない。


「もしやあいつが?」


 部屋の外にいる男・・・髪をオールバックにし、革のジャケットに身体を包んだ痩せ男・・・サキの首を締めて逃げた男だ。


 サキは訳が分からなくなった。何故両親とかの男が一緒に居るのか…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ