目指すは未来でのスローライフ
「未来でまた。」
そう言って彼と別れた。
自分は身体についての研究を行っており、
彼は物体の保存についての研究を行っていた。
そして失われた技術となった「コールドスリープ」の技術を再発見した。
あとは実行に移すだけだ。
この世界、少なくともこの町はもう終わりだ。
なぜなら既に食料生産施設の植物は枯れ果て、
もう町の住民も私を除き皆立ち去ってしまった。
ここには私しかいない。
未来に可能性を託す他ないのだ。
数十、数百年でも待ち、
周りに植物が生えるその時まで待つしかないのだ。
もう地球上で植物が自然に生えている部分はない。
この町の施設以外の大地ももれなく乾燥し、
まさに「死の大地」となっている。
もはや昔考察されていた地球自身の力を信じる他ないのだ。
コールドスリープ設備自体の電源は必死にかき集めた核放射性物質のエネルギーで半永久的に発電し、
施設自体の老朽化が進みコールドスリープの状態が維持できなくなり次第目覚めるようになっている。
彼と考えた仕組みだ。そうそう失敗することは無いだろう。
彼とは無線でつながっており、どちらかが目覚めると同時に片方も目覚めるようになっている。
きっと目覚めたら見たことの無い大地が広がっているはずだ。
そろそろ時間だ。
装置の動作する音が聞こえる。
少し冷える。どんどん周りの温度が下がっていく。
あぁ未来はどんな世界なのだろうか。
楽しみだ・・・