[三章-5:龍の柱]
一馬たちのグループは、谷のボランティアのおじいさんの先導されて龍の柱のある場所へと向かっていた。
(レイ、ここら辺見たことあるか?)
と最後尾を歩きながら、レイに話しかける。
【いや、無い……元々記憶が曖昧なのだ…】
(つまり?どう言うことか説明してくれよ)
【……簡単に言うと、もしかしたら記憶が失われる前に来たことが…あるかもしれないと言うことだ】
会話しながら、数分歩くと人間何人ぶんだろうか、推定するに大人が10人集まっても足りないであろう五角形の柱が4本見えてくる。
「でかいなぁ〜」
と一馬は思わず口にする。悠一もうんうんと頷く。柱の下へたどり着くと、先導さんが柱について話し始める。
「この柱は何の素材でできてる思いますか?」
「石とか?」
とグループメンバーの1人が言う。先導さんは首を振る。しかしどう見てもとてつもなく巨大な石を削り、造られたようにしか見えないので、グループメンバー全員の頭にハテナマークが現れそうなぐらい首を綺麗に傾ける。それを見て先導さんは
「ふふっ、絶対わかりませんよ。なぜならあれは龍と龍脈で出来ているのですから」
グループメンバーからまだハテナマークは消えない。
「この谷の伝説を覚えていますかな?」
はい、と悠一が答える。
「邪龍を封じ込めた時に使われたのが龍柱終天封印。これは龍脈と龍の生命脈を融合して作った柱で力を押さえつけたものです。その時に作られたのがこの柱ってわけです」
と先導さん。聞き終わると少し考えた後疑問を口にする。
「五大龍皇の術式なのになぜ柱はよんほんなんですか?」
「あぁ、伝説によれば閃皇龍が確実に邪龍を封じるために、全龍の龍脈、生命脈のエネルギーの減少を抑えるために術式の全てを背負い、自ら四つの柱に分割したなので四つなのです。他の五大龍皇はあの柱の中で生きています…閃皇龍のおかげで」
と答える先導さん。一馬は
(世界を救うために死ぬのか、世界を救ったものの動けず意識だけが残った状態になるのか、どちらが幸せなんだろう)
そう考えたが、答えが出なさそうなので考える事をやめた。
「皆さん知っていますかな、この谷には日本の1/3の龍の魂が集まっています。理由はここには龍に必要な龍脈が異常、と言っていいほど流れていますから。なのでこの付近には龍の魂はいません」
と先導さんが続ける。龍の魂…おそらく、もしかしたら、多分…霊体の事を表しているのだろうと思ったが一つ引っかかることがあった。
(レイって龍の霊体だよな?)
その問いを視線によって投げかける悠一を無視し、いや気づかずレイのいるところを見つめる一馬。
【あぁ、それは間違いない……龍の魂かおそらく霊体の事だろうが…なぜだ?】
(俺と出会うまでの事、覚えている限りでいいから教えてくれないかな?)
【…すまない、我が…私が覚えているのは目が醒めると森の中にいて、一馬殿が惹きつける力に引き寄せられた事だけだ】
(…そっか、覚えてないのは仕方ないな)
「おっ、一馬くんじゃあないか」
その声に意識をレイとの会話から外へと戻る一馬。他の人は龍の柱を見に行っていたようだった。もちろん悠一も。そして、その声の主とは本日2回目の出会いだった。
「本当に偶然であったのか?狙っていないだろうな」
と一馬は、声の主である濡鳥色の髪の女性に話しかける。




