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能力の優と劣  作者: 俊
二章:成長の体育祭編 (二学期)
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[二章-終:愚問]

一馬は簡易控え室にて座って出番を待つ。

【主君、落ち着いていけば勝てる。貴方には常人の比にならないほどの潜在能力があると思いますから】

とレイが話しかける。

(そいつはありがと)

「斉藤一馬さん、準備お願いします」

と役員が大声で言う。一馬は立ち上がり、試合会場付近まで歩いて行く。一馬は自分の想像の数倍落ち着いていた。そして、会場を眺めながら今までのことを思い出す。そして名前を呼ばれ会場へと足を踏み入れる一馬。目の前にはこれから闘う相手、佐藤炎命、能力は莉奈の高確率発生未来予知視(ホルスード・アイ)と一致し自然系能力の火炎特化だ。

「よし、やってやる」

と気合いを入れる一馬。そして試合開始の合図が鳴る。その音と同時に一馬は黒い刀を作り出し突撃、炎命はいとも容易くかわし火の矢を放つ。一馬は即座に炎命の方を向き能力防御壁(ディフェンス・ウォール)を張り火の矢を受けきる。一馬は半月剣の動きで素早く炎命との距離を詰める。首元目掛け刀が進む、しかしそれは寸前のところで壁によって防がれる。炎命は即座に距離を取り火の矢を放つ。一馬は能力防御壁(ディフェンス・ウォール)を張り防ぎながら近付こうとする。

しかし火の矢によって思うように近づくことが出来ない。炎命は火炎脚と言いながら蹴りを放つ、すると蹴りの延長線上に炎が現れ、一馬に直撃しようとする。寸前で能力防御(ディフェンス・ウォール)で防ぐも、打った後すぐに移動してた炎命の放つ火の矢をもろに受ける。

「熱!」

と声を出す一馬。殺傷能力をルールがあるので殺しているとはいえなかなかの威力があった。その隙を狙うが如く次の一撃が見える。一馬は能力防御壁(ディフェンス・ウォール)で防ぐ。

(くそ、なんとかしてあいつに近づかないと)

と考えながら動くもどうしても火の矢に阻まれ、ある一定以上近づけない状況が続く。一馬は能力防御壁(ディフェンス・ウォール)で防ぐのを諦め一気に距離を詰める。炎命が攻撃が当たるより前に能力防御壁(ディフェンス・ウォール)を張る。近接に持ち込む。一馬の攻撃をかわしその隙を狙って炎を纏った拳を受ける、一馬は数歩後退する。追撃するようにして飛んでくる火の矢、一馬は第1波をなんとか避け、第2波を能力防御壁(ディフェンス・ウォール)で防ぐ。炎命を中心に火の矢を防ぎながら右回りに回る一馬。しかし時々飛んでくる火炎脚などによって距離を詰められないでいる。

(このままじゃ埒が明かねぇ、被弾覚悟で一気に詰める)

と心に決め、円の運動をやめ、直進する。炎命は能力防御壁(ディフェンス・ウォール)の無い部分を狙えるように移動して火の矢を放つ、しかし一馬は止まらず突撃する。一馬の一撃はかわされ、火炎脚の直撃を浴びる。一馬は片手を振りリーチの長い刀を作る、それに炎命はあたり1歩後退する。

「燃え尽きろ、火焔の渦の中で」

と炎命は言いながら火の塊を一馬に向けて放つ、一馬は地面につくと同時に火の渦に囲まれる。一馬は火焔に焼かれそうになるが、能力エネルギーを外に放つことによってそれを防ぐ。

「俺は、お前が火焔の渦の中でどうなっているか手に取るようにわかる。そのままだと能力エネルギーを使い切るぞ?」

と少し馬鹿にしたように言う炎命。一馬は頭をフル回転させ打開策を考える。

(どうする、どうする、どうする俺!……このままじゃ焼き尽くされるか、能力エネルギー切れか、時間切れになるだけだ。その前になんとかしなきゃ)

一馬はせめて相手の位置が分かればと外に神経を向けるも火焔の渦が妨害して外の感覚が掴めない。一馬には一つだけ策があった。

(くそ、これじゃ2回戦は無理かもな……でもやるしかない)

と覚悟を決め、右手の拳を左手の手のひらに当てエネルギーを流し込む。

「まだ、もっと力をためないと」

と右手のエネルギーを送りきった後も構えを解かずエネルギーを送り続ける。

「まだ、もっと、もっと」

一馬は全身のエネルギーが不足しかけるほどのエネルギーを左手とその周辺にためる。その後、一馬は能力エネルギーを外に一気に放つ、渦が消えてほんの数秒、炎命の姿を視認する。その方向に喰刀(イーターブレード)を一気に放つ、当たった感触がない。一馬は渦をはじく力を失い倒れる。火焔の渦を一気に受ける一馬。

「うん?能力エネルギーを使い切ったか」

と炎命はつぶやき、倒れている姿を見せるために火焔の渦をとく。倒れている、一馬の姿を見て、雫は思わず

「にぃ!」

と声を出す。その声は一馬に届くはずもなかったが、届いたかのように一馬は立ち上がりながら喰刀(イーターブレード)を動かし炎命の不意をついて、攻撃を当てる。炎命は一気に吹き飛び、場外ギリギリに止まる。一馬は異常と言っていいほどのエネルギーを喰刀(イーターブレード)を伸ばすためではなく、ある程度伸ばした刀の維持に使っていた。炎命は助かったと思い、一馬に意識も向けず余裕全開で

「渾身の一撃でも決めきれないなんて、残念だったな」

と言う、一馬は腕を振るようにして倒れる。炎命が一馬に意識を向けようとした時、炎命の視界が上を向く、空が見える。

「えっ?」

と炎命はつぶやき、足を踏み外し場外へと落ちる。一馬の意識は失われかけていたが、自分の勝利を告げる声が聞き、立ち上がろうとして意識が途切れた。



——数時間後

一馬の意識は取り戻される。

「…………ここは?」

一馬は体を持ち上げながら言う。

「あなた、よく気絶するわよね」

と少し前に聞いたことがある声、小野寺先生だ。それを理解した後ここが保健室であることも理解する。

「すみません」

と一馬が謝ると、

「いいのよ、これが仕事だから。でも、能力エネルギーを使う時は自分の力をわきまえないとダメよ、能力エネルギーをギリギリまで使って、火の渦にわざと巻き込まれたり、勝ちたい気持ちはわかるけど、それはどうかと思うは」

と答える。一馬は頭を少し下げた後、一馬はキョロキョロと雫を探す。それを悟ったかのように

「雫ちゃんは閉会式見に行ったよ」

と小野寺が言う。“閉会式“その言葉に一馬は驚いて時計を見るもう4時を迎えようとしていた。

一馬はその後、自分が2回戦は棄権扱いになったこと、ランダム戦の優勝者は誰か知らない人だったけれど、選抜戦の優勝者は悠一だったことなど気絶してからの体育祭の内容を聞いた。

その後一馬は保健室から出てふらふらと外に出る。すると閉会式終わりに来たであろう雫がいた。

「にぃ、起きたの?」

と雫が言う。

「ああ、ごめんな心配かけて」

「いいよ、それよりにぃ勝てたね」

「ああ、俺は雫の誇れる兄の姿だったか?」

と一馬は尋ねる。雫は一瞬驚いたような顔をした後少し考えた後、

「にぃ、その質問は………愚問だよ。にぃ、どんな姿でもどんな状態でも私の誇れる、理想の兄だよ…後憧れの兄でもあるし……後ね」

雫は言い切る前に、雫の頭を撫でながら

「ありがと、雫。愚問……かそうだな」

とだけ言った後、もっと強く、しっかりとした兄となり雫の期待を裏切らないようにすると心に強く決めた。


〈二章 完〉

これにて二章完結です。

次は番外編を書いた後、三章を書きますので見ていただけると嬉しいです。

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