[二章-13:黒い夢《nightmare》]
————午前10時半頃
「まずは、お前の話を聞かせてくれ」
と御剣が言う。
「話?何の話をすればいいのですか?」
「お前の能力だ、資料を見たところお前の能力は混在系の物質系-変化系らしいな」
「その通りです」
———混在系
能力は基本的に一つしか発現しない、他の能力は力が足りず全て加護になる。しかしごく僅かな人は能力を二〜三つ程発現することがある。その能力は基本的に通常よりも力が弱く、平均的に見ると普通より劣るので、劣能力だと判定されることが多い。一馬もその一人だ。能力が中途半端に発現するので使用し過ぎを防ぐ制限機能が弱く、使いすぎで倒れる人も少なくない。
「やはりそうか、その能力でどんなことができるんだ?」
御剣が尋ねる。
「俺の能力は物質系で特殊な物質を生成して変化系で形、状態などを変えられます」
「……んーなるほど…少し特訓メニュー考えるから休んでろ」
と御剣に言われ一馬は
(考えてなかったのかよ!!!)
と心の中で叫ぶ。だが相当疲れていたのかものの数分で一馬は眠りに落ちた。
「ん…ここは?」
と目がさめると見たこともない場所にいた。空はこれ以上にないほどに黒く、時折紅の雷が落ちている様にも見える。辺りを見渡せばボロボロに破壊されたビルやマンションらしきものが立っている。一馬は気配を感じ視線を前に戻す。目の前には人の形をしているものの全身空の様に真っ黒で赤く光る目を持つ者がいる。人型の何かは、
「俺ト…1ツニ…ナレ」
こう言った後、黒い触手のような物に変化し、一馬の胸に突き刺さる様にして吸い込まれる。
「がっ……なんだ…これ…嫌な感じが…する」
すると一馬を襲う今まで感じたことのない苦しみと痛みがグチャ混ぜにされたものを胸に感じる。
「うぐっ……やめろ…なんだ…俺が…俺で…なく…なる」
一馬は意識を失わない様に全力を尽くす。
「ぐぁぁ…はぁはぁ、うぐっ!…………フフフ、…やめろ……このままじゃ…やばい」
一馬の黒目が真紅に染まりその中に空と同じ黒が現れ、白目も黒に染まる。一馬は必死に自我を保つ。
「…マダ…チカラ…タリナイノカ……なんなんだよ…まじで…」
急に空のが白くなり一馬を襲っていた胸の苦しみが消える。




