[二章-11:加護《Divine protection》]
御剣は一馬の奇襲に気づき、
「うおっと」
パンチが当たる前に突き出した柄頭が鳩尾に当たり。
「うぐっ…」
と声にならない言葉を言い倒れこむ一馬。
「惜しいな、隙をつくなら闘志とか消さなきゃな」
と御剣が言う。飛ばされた方角からだろうか武蔵先生の声が聞こえてくる。
「おっ、終わってたか。どうだ一馬、強いだろ」
一馬は意識を保つのに必死で返事どころではない。
「まぁ、負けるのは仕方ないよ。なんてたってこいつは加護使いだからな。……おっと時間がやべぇ…御剣、後よろしくな」
と言いながら走り去る武蔵先生。体を動かすどころではない一馬は首だけで精一杯の一礼をする。
———加護
現代でもあるだろう、努力では覆せないもの………才能というものが。それの原因は加護にある。
能力が発現する一歩手前で発現してしまったもの、こうなるといくら待っても能力にはならない。主に自己強化系能力がなりやすいと言われているゆえに自分を強化する加護がほとんどだ。能力値の高いものが発現数と個々の力は多くなりやすいが、能力値に関わらず誰でも低確率発現する可能性を秘める。加護はもともと持って生まれるものも何かしらの要因で発現することもある。
加護の例として身体能力補助の加護、早足の加護などがある。
意識が普段通り維持できるようになってきた一馬は
「どうでしたか?」
と闘った感想を尋ねる。
「聞いていた通りの劣能力者の力ぐらいだな。戦闘力もなけりゃそれを補う技術、戦術もない、言ってしまえばただの雑魚だな」
それを聞いてわかっていたことだったが落ち込む一馬。
「……だが、あの奇襲はまあまあ良かったぞ、お前は一つのことに集中しやすいようだな。俺の特訓に耐えたら闘技会で勝利!…とまではいかなくても審判の判断までは持ち込めるようにしてやる」
と本音かフォローかは定かではないがその言葉を聞いて少しだけ自信とやる気を取り戻す一馬。
「あの奇襲がなけりゃ、すぐにでも追い返したんだけどな。…ふっ、さすがに息子ってだけあってギリギリで見せてくれるよ」
と一馬に聞こえないように呟く御剣。




