[序章-始:兄妹、いきなりピンチ?]
今回から連載します〜。
一話一話短めですがなるべく期間は開かないようにするのでよろしくですm(._.)m
評価、ブクマ、アドバイス、コメントなどいただけると嬉しいです。
(^_^)
これからするのは近未来の話。
人間達の一部は遺伝子に異常をきたし、それが体内、空気中に存在する能力を発動するために必要なエネルギー、略して能力エネルギーに伝えることで人の域を超えた力を使えるようになった。人々はそれを能力と呼び、能力を使える人を能力者と呼ぶ。
世界は能力の有用性に気付き、競うように能力者育成に勤めるようになった。能力の種類はタイプ別に現在16種存在すると言われている。能力者は“経済”・“生産”・“医療”などの活動に非常に重宝され、果てには“軍事”に利用されている。人間達が何百人、何万人、何十万人と集まって作った迎撃装置数十台分を能力者数人でまかなえるとも言われている。いいことが表によく出過ぎて、能力者をよく思わない人達がいるのもまた事実だ。なので、現在学生の能力者は能力専門の学校に集められ安全を確保し、育成されている。
エネルギー問題は能力者達によってある程度解決。
現代の街の風景から都会はあまり変わらない、しかし今、田舎と呼ぶような街はなくなり、基本都会のような世界となった。
———とある快晴の朝
「やばい!、やばい!、やばい!」
こう叫ぶのは、身長170cm程の男 斉藤一馬。走りながら
「にぃ、能力使お」
こう提案した一馬より数十㎝小さな少女。彼女は一馬の二歳年下の妹、斉藤雫である。
今彼らは学校の始まる時間に遅れそうになっている、すなわち"遅刻"しそうなのだ。どれだけ急いでも普通ならば間に合わない、そう普通ならば。
「しゃーね、つかまれ雫!」
「にぃ、自分でもいけるよ?」それは一馬にもわかっているが、それでは見つかった時に雫まで厳しく怒られてしまう。彼らが今使おうとしているのは、能力を有する者全てが持つおまけの力の、一つである"身体能力強化"だ。
しかし優能力者学園では学園外での能力とそのおまけの使用は基本的に禁止されている。
優能力者を守る為に、まずなるべくバレないようにするという考えらしいので仕方ないと言えば仕方ない。
万が一見つかった時に一馬だけが使っていれば”俺が強制的に連れて行った”とでも言えば雫が怒られるのは回避できるかもしれない。そう一馬は考えた。
「運動系は俺の仕事だろ?」一馬が問う、
「う、うん」雫が不服そうに答える。
「じゃあさ、雫は先生とかを察知して教える役割な」
と一馬の妥協案に雫は頷く。
「じゃ、遅刻回避作戦スタートだ!」
雫を抱きかかえた一馬が走り出す。
路地に入り、 路地の壁を蹴り加速し、また壁を蹴り加速し高速で動く物体。それは一馬と一馬に抱きかかえられた雫である。大通りや人のいる所に出るときは能力を弱めて進むようにし、なるべくバレないように、かつ遅刻しないように一馬と雫は進む。
「にぃ、登校している人の集団が近くにいる」
雫の言葉を聞き、一馬は能力を解除し、登校している人の列を探し、その後ろに入る。
「これは、バレなかっただろ」
「にぃ、さすが〜」
一馬の顔が雫の褒め言葉を聞き顔が思わず、ほころぶ。
そして正門に着いた。
「よし、じゃ雫いってらっしゃい」
「ん、にぃも頑張ってね」
優能力者学園は中高大一貫校なので、高校生の一馬も、中学生の雫も同じ時間、場所に登校できる。
さて、ここで優能力者学園について少し説明しよう。
この学園には、能力者専門の中学、優能力者専門の高校、大学、一般人用の中学、高校、大学が一箇所 (外部にキャンパスは存在する)に存在する、現代では、ありえないほどでかい世界最大の学園だ。
一般人用が同じ場所に存在するのは能力者を簡単に特定させない為である。能力者・優能力者専門の場合普通の学習に加えて、能力学、能力実技、防衛術取得などの授業が存在する。能力者は優能力者学園もしくは、劣能力者学校にしか入学できない。たとえ劣能力者であれ将来役に立つかもしれないので、能力者の入学できる学校は制限されている。
優能力者学園は、原則優能力者しか入れない。ただ例外が存在するとか……。
———優能力者と劣能力者
能力にはかなり大きな個人差が生まれる。能力を持って生まれてきても能力値、すなわち能力を使用するための力であり能力の強大さにも影響を及ぼすものの量が異なったりする。それを統一の方法で優劣を決め、ランク付けする。能力の実用性、メリット、デメリット、能力値の量などから総合的に判断しクラスをS+〜E-にクラス分けし、S+〜C+を優能力者、C〜E-を劣能力者としている。
昼休みのチャイムがなる、
「カズマ〜、一緒に食おうぜ!」
そう言い放ったのは一馬の席が近くの友達の絢辻響也だ。彼はクラスB-の操作系の能力を扱う能力者だ。彼の言葉に、一馬は頷き、鞄から弁当を取り出す。
「最近、また一般人が能力者を殺そうとして捕まえられたらしいぜ〜、怖くね?」
一切怖がっていない口調で、むしろ楽しそうに話してくる響也。
一馬は頷いてみせると、
「だろだろ〜、襲われたら助けてな~」嬉しそうに響也は話を続ける。
———少し時間が進み放課後
ホームルームが終わる。
「よーし、寄り道しないで帰れよ、後 能力は使わないこと、わかったら解散」
その言葉を聞き、生徒達が帰る準備をし始める。
やっと終わったと一馬が思った時、
「あっ、そうだ一馬後で第4職員室に来なさい」
先生が言った。




