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魔王ちゃんVS勇者くん  作者: みかんじる
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勇者くんVS汚職事件

町長の朝は早い。

朝5時起床だ。勿論町長であってもぼくのする事は変わらない。

草むしりだ。


愛用の覆面マントとパンツを身に付け、人類と自然の果てしなき闘争に挑む…それが草むしり。1日休んだだけで草は青々と茂る。


梅雨時になると彼等は牙を剥く。

昨日抜いた場所が密林のようになっている事などザラだ。


果てなく続くこの闘争に心を折られる時もある。そんな時は何時ものバー(魔王城)カクテル(ハンバーグ)を頼む。ささやかな戦士の休息と言ったところか。


今日もいつものように暖簾をくぐり席に着く。さて今日はどんなハンバーグにしようか…メニューを開こうとするとお皿が置かれた。


「あちらのお客様からです。」


マスターはそう告げるとそっとハンバーグに旗を立てた。

今日はハンバーグ・お子様ランチ風〜地中海仕立て〜か…。悪くない。

綺麗に平らげてから『あちらのお客様』を見ると、ワンピースに魔王という文字が躍る、平らな女性がヒラヒラと手を振っていた。

どうやら今夜は長くて熱い夜になりそうだ…。


そんな遊びを魔王城でしていたら、新聞に載ってしまった。

タイトルは『衝撃!新町長、サボって賄賂授受!?』だった。


サボるも何も、ぼくの仕事は草むしりと、後は町長室で椅子に座ってくるくる回っているだけ。おっと後半はぼくも仕事とは認めていない。

お役所の仕事がよく分からないので秘書を付けてもらった。そのお姉さんが大変優秀な方で、ほぼ全ての仕事を肩代わりしてくれる。

ぼくの仕事といったら、分かりやすく翻訳された書類を確認し、判子を押すだけだ。もちろん難しそうな顔も忘れない。


一番最近の懸案は、待機児童マジヤバイだった。


秘書さんはとても優秀で、未成年だからと図書券で支払われた給与を前に呆然と立ち尽くすぼくに、そっと図書カードに換金して渡してくれた。

換金前の、あんな煉瓦の山を渡されても困る。


そんな優秀な秘書さんが今日はもう仕事が終わったから早く帰っても良いですよと言ってくれたその日に写真を撮られてしまった。


「すみません、私が迂闊でした…」


と謝ってくる秘書さん。彼女はちょっとうっかりさんのようだ。その姿を見て、これが萌えというものかと、己の成長を喜びつつも対応策を検討すると、町長業を手伝ってくれていたスライム先輩が、法律に強いスライムを紹介してくれた。


ベ=スライム。それが彼女の名前だ。愛称はベス。

どうもスライム先輩の彼女らしく、時折覗かせる先輩への熱い視線に、年甲斐もなくドキドキしたものだ。


ベスの指示に従い、緊急記者会見を開く。


・写真を撮られた日も真面目に仕事を終えている事。

・ハンバーグは勇者装備を身に付ける事への正当な報酬である事、またこの契約が当選前に行われていた事。

・魔王城は外国扱いで、勇者ルック以外魔王の姉ちゃんに何も得るものがない事。

・勇者ルックの意外な防御力の高さ。高機能性。


など、偽る事なく話し、今後誤解されるような事は慎む事を告げて記者会見は無事終了した。

特に勇者ルックについての質問に熱を感じた。

こんなにカッコ良いのだから当然の反応だろう。


今回は無事乗り越える事が出来た。第二、第三の刺客が今後も現れる事だろう。しかし、まだぼくは町長業の道の入り口に立ったに過ぎない。

この果てしなく長い町長坂の…!


秘書さんの秘密

・おでこがスベスベ


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