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魔王ちゃんVS勇者くん  作者: みかんじる
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勇者くんVS面接試験

「御免ください、勇者です!」


窓で仁王立つ勇者くん。マントをはためかせ、颯爽と現れた。魔王ちゃんの部屋はお城の最上階なので風が強く吹いている。マントをはためかせるには最適な状況であった。


「つまらない物ですが…勇者です!」


そう言って青々とした葉物の野菜を差し出す勇者くん。暇を持て余していた魔王のもとに、勇者がネギを背負ってやってくるという世紀の瞬間であった。

今日は1日体育座りで過ごす予定であった魔王ちゃんだが、勇者が現れたとあっては応対しない訳にはいかない。

逸る心を抑えつつ、差し出されたネギを受け取ろうと、お辞儀をしながら手を伸ばす。そこでふとした違和感を感じた。魔王ちゃんの良く知るネギとは似ても似つかぬ青々さ。

訝しげな表情を浮かべる魔王ちゃんを見て、勇者くんがこの野菜の正体を告げた。


「食べられる草です。美味しいのを選んで持って来ました!勇者です!」


なぜか誇らしげな勇者くん。

ふと魔王ちゃんは思い出した。誰の言葉であったか…『薬草を制する者は勇者を制す』そんな格言があったようななかったような。


ここまでの数々の勇者アピールとプレゼントでかなり魔王ちゃんの心証は良かったが、突然現れた侵入者をおいそれと勇者と信じる訳にはいかない。

魔王ちゃんは軽い魔王ではないのだ。ここはひとつ伝統的な儀礼に則り面接試験をせねばなるまい。


一旦勇者くんには部屋から出てもらい、部屋の中央にパイプ椅子を設置する。

完全魔王マニュアル初級編を本棚から取り出し装備する。準備は万端だ。


コンコンコン


ドアをノックする音が聞こえ、魔王ちゃんが入室を促す。入り口で一礼、椅子の隣でもう一度礼をする勇者くん。マナーは完璧であった。

着席を促し、今度は魔王ちゃんのターンだ。完全魔王マニュアル初級編を一瞥し、厳かに台詞を口にする。


「よくぞ参った勇者よ!世界の半分をお前にやろう!」

「NO!勇者です!」


かぶせ気味に答える勇者くん。彼はノーと言える勇者であった。しかもアピールも忘れない。何がここまで彼を勇者道に駆り立てるのであろうか?


「今日は良い香りに誘われてお邪魔しました!勇者です!」


あれ?何か思ってたのと違う…と魔王ちゃんが小首を傾げていると、12時のチャイムと共に部屋のドアが開き、昼食が運び込まれてきたのであった。


勇者くんの秘密

・美味しい草を見分けられる

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