2話、■■クリニック、鈴木さんとの会話
2019年11月10日
「こんにちは」
「......。よろしくお願いします。」
「はい。......やっぱり顔を見るのは怖いですか?」
「はい。先生の顔も、もし"あぁ"だったらどうしようって思って......もう、無理でおかしくなりそうなんです。ずっと怖くて、信じられなくてっ.........」
「そうですか.........。では目線はそのままで大丈夫です。声は大丈夫ですか?」
「はい。先生の声は大丈夫です。すみませんこんな訳わからなくて......」
「問題ないですよ。今日は突然人が怖くなってしまった。ということですが、ここは安全な場所ですので、安心してお話しください。」
「はい......」
「今回は鈴木さんが今どのような体験をされていて、何にお困りなのかを把握してから、一緒に対応を考えていこうと思います。なので、改めて"人が怖くなってしまった"ということについて、体験やお気持ちを、詳しく教えていただけますか?」
「はい...。その、信じてもらえないと思うんですけど、でも本当に自分には本当にそう見えてて、その、時々人の顔がおかしく見えるんです。なんというか、本当にホラー映画みたいな感じで、目と口が無くて、丸くて黒くて、、その、本当に怖くて..........」
「もし、言葉での表現が難しいようでしたら、紙とペンがあるので、」
「あ、はい。ありがとうございます。」
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「こんな感じです。本当にホラー映画みたいな感じ顔で、怖くて、怖くて、」
「それは、本当に恐ろしい体験でしたね.........。いつ頃から人の顔がこう見えるのですか?」
「大体1週間ちょっと前くらいからです。いつも同じ電車に乗ってるおじさんがこの顔に見えて、その、おかしいんですけど、何かに呪われちゃったんじゃないかって本気で思って、おととい友人とお祓いに行ったりしたいんですけど何も変わんなくて、特に何も憑かれて無いって言われて......。呪われるようなこともしてないですし.........」
「ご友人の顔は普通に見えるんですか?」
「あ、はい、多分。自分の中で怖い顔になりやすい人となりにくい人みたいなのがあって......。友人はなりにくい......と思います。でも、もし友人もそう見えちゃったらと思うと怖くて、最近は顔を見れてないです。」
「なるほど、どんな人が怖く見えやすいですか?ご家族だったり職場であったり、覚えている、言える範囲で大丈夫なので」
「.........。家族だと姉が時々あの顔に見えてしまいます。友人は昔から遊んでるグループがあって、2人、男と女なんですけど。あとは、最初のおじさんはあれ以来ずっと怖くて、電車を変えました。町中でもちらほら怖くて、同僚も数人、新人の子も怖くて......、YouTubeで見る人も時々怖かったりします。」
「なるほど、多くの人に見られる形ですね。画面や写真でも同じですか?」
「全く同じです。はい。動画でも、姉の写真でも同じです。」
「なるほど。はい、ふとした時に一瞬だけ見える感じですか?」
「多分、そうだと思います。わかんないです。あんな怖い顔直視できなくて......」
「あぁ、そうですよね。はい、見えやすい時間帯とかあったりしますか?」
「え.........、わかんないです。基本的に人と合うのは昼なので、昼、ですかね。でも夜も見えます。」
「はい、顔が怖く見れる以外の体験はありますか?声だったり、仕草だったり、なんでも構いません。」
「.........。本当に感覚の話で、うまく言えないんですけど、顔が怖く見える人達は、なんか、嫌な感じがするんです......。怖くて......嫌な感じです。なんか.........。すみません変な話ばっかりで。でも、なんかそんな感じがするんです。」
「大丈夫ですよ。言葉にしにくい感覚も含めて教えていただけると、鈴木さんに今何が起きているのか、より正確に理解することができます。声も、嫌な感じがしますか?」
「はい、顔がこう見える人は、そうです。他の人は普通だって言うんですけど、なんか違和感があると言うか、特に変なことは言ってないのに怖いんです。」
「他に、誰もいないところから自分に語り掛けるような声が聞こえて来たりしますか?」
「いや、そういうのは無いと思います。」
「はい、症状の全体像は把握できました。では少し変えて、この症状の背景にあるかもしれない体の状態だったり、生活の負担について確認させてください。最近、環境の変化や、ひどく疲れを感じるような出来事はありましたか?」
「人の顔が怖く見えること以外は多分、無いです。特に、、無いと思います。」
「激しい頭痛やめまい、吐き気を感じたり、意識が遠のいたりすることはありましたか?」
「もうよくわかんないです。見ちゃった後は、怖くて、気持ち悪くなったりはあります。」
「最近、夜寝るのが遅くなったり、途中で目が覚めたりしますか?」
「いや、夜は早く寝るようにしてます。怖くて......、あの顔がトラウマであまり寝つきは良くないんですけど、猫動画みたりして何とか寝てます。これ以上おかしくなりたくなくて、生活習慣は気を付けてます。」
「なるほど、ご飯は一日何食食べていますか?運動量はどうですか?」
「その、外に出れなくて.........、なので運動量は減ってると思います。会社にも明日からリモートでとお願いしてて。ご飯はまぁ、普通に3食食べれてると思います。姉がご飯を作ってくれているので。」
「なるほど、ご家族やご親戚で、これまでに心療内科や精神科にかかられたことのある方はいらっしゃいますか?」
「多分いないと思います。」
「今日はお一人でこられましたか?」
「今日は家族が仕事だったので、友人に連れてきてもらって、はい。」
「なるほど。でしたら、本日同行されているご友人からも、普段の鈴木さんのご様子についてお話を伺うことは可能ですか? 鈴木さんがよろしければ、少しだけ同席していただくか、後ほど私からお話を聞かせていただきたいのですが」
「あっ、はい。大丈夫です。お願いします。」
「では、少しお待ちください。お呼びしますね。」




