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信頼の王国  作者: 志々十勒
創世記─これまでとこれから─
1/24

寓話『これまでの終わりとこれからの再生』

「信頼の王国」

『寓話』-フェルシア読み聞かせ版-


これはフェルシア王国で親から子に語られる人気の寓話。

信頼の国として立った王国のお話…。

◆お気に入りの物語


ベッドの上で、少年は今日も母親にせがみました。

「もう一度、フェルシアの話を聞かせて!」

母親はにっこり笑って、話しはじめます。


――これは、信頼とは何かを問い、学び、共に育てる物語。



◆安心の国


昔々、安心の国フェルシアという国がありました。

王様のもと、国民たちは笑顔で暮らしていました。

空には青い光が広がり、街角には鐘の音が響いていました。


国民の心には「ここは安全だ」という安心感が満ちていました。

それは、誰もが互いを信じ、助け合っていたからでした。


◆よそ者の王


ところがある日、別の国から来た王様が言いました。

「この国は効率が悪すぎる。私のやり方の方が正しい」


彼は元の王様の声を無視し、好き勝手に国を動かしました。

すると国民は思い出します。

「そうだ、昔の国は安心だった……でも、今は違う」


国は混乱に包まれ、街の鐘も音を失い、笑顔が消えていきました。



◆荒れ果てた国


一人、また一人と「王様」を名乗る者が現れました。

強い者が弱い者を打ち倒し、国は荒れ果てました。

国民は諦め、沈んだ表情のまま国を去っていきます。


残ったのは荒れた街と、裸の王様たちだけ。

空からそれを見た神様は、静かに嘆きました。



◆時間を巻き戻す


神様は魔法をかけ、時間を巻き戻しました。

ただし、みんなの記憶だけは残ります。


国は再び平和を取り戻しました。

しかし、元の王様は思います。

「ルールで縛りすぎた……人々の顔から笑顔が消えている」


王様はそこで悟りました。

「もう二度と、あんなことは繰り返すまい」と。



◆青年王の登場


王様は静かに王座を降り、国民に問いかけました。

「これからの国は、みんなでつくろう」


選挙が行われ、青年が新しい代表に選ばれました。

青年王は静かに言いました。


> 「僕もかつて、裸の王様の一人だった。

でもだからこそ、この国を“信頼でつながる国”にしたい」

「ルールは人を縛るためではなく、安心を支える約束だと思う」



◆信頼の芽


国民の一人が笑いながら答えます。

「信じて、助けてあげるか!」


その声に導かれるように、街には少しずつ笑顔が戻ります。

鐘の音もまた響きはじめ、花々が揺れました。



◆未来はこれから


国はまだ成長の途中。

青年王と国民は共に歩み、信頼でつながる国をつくります。


そして少年は、毎晩この物語をせがみます。

「未来はどうなるのかな?」

母親は微笑みながら答えます。

「それはね、君たちが信頼を育てる力で決まるのよ」


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