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11 後日談


 赤亀竜による負傷者は30名にも及んだ。

 だが、幸いにして死者はゼロ。

 町が滅ぶシナリオもありえたわけだから、最良の幕引きと言えるだろう。


 治癒術師たちの奮闘もあり、怪我をした冒険者たちも快方に向かっている。

 俺もささやかながら指パッチンポーションで貢献した。

 結果的には、負傷者もゼロになるだろう。


 ただ、数名ほど顔をボコボコに腫らしたまま治療を受けられない者もいる。

 赤亀竜を町に引き込んでしまった冒険者たちだ。

 彼らは、いわば戦犯だ。

 袋叩きにされた挙句、裸に剥かれて橋に吊るされている。

 まあ、当然と言えよう。

 さらし首にされないだけマシだと思いなさい。


 魔物の素材は高値で取引されている。

 中でもドラゴンの素材は稀少だ。

 ミンチ同然だった赤亀竜もその場で競売にかけられた。

 そして、肉は肉屋、歯牙は武器屋、鱗と背甲は防具屋、骨は古物商、血は錬金術師たちの取り分となった。

 巨大な亡骸に嬉々として群がるさまは、まるでアリの群れだ。

 翌日には綺麗さっぱり片付いてしまった。

 なんとも、たくましい連中だ。

 赤亀竜には同情を禁じ得ない。


 素材の中で最も高い値がついたのは、俺が拾った赤い結晶石だった。

 名は、竜焔石。

 竜の体内で魔力が結晶化したものだそうだ。

 魔剣の核や大掛かりな魔法陣の触媒として使われる貴重な品とのこと。

 宝石だと思えば輝いて見える。

 だが、実態は胃石とかそんなものだろう。

 なんにせよ、冒険者ギルドが高値で買い取ってくれたので、俺の懐はホックホクだった。


「ほら、あいつだぜ。指パッチンで竜を殺したって新人」


「指パッチンの衝撃波でアレだぜ? くしゃみしたらどうなるんだ? 大陸が消し飛ぶんじゃねえか? 屁もすごそう」


「あいつはきっと魔王だぜ。目が合ったら即死すっぞ。あんま見るんじゃねえ」


 あれ以来、俺はどこに行っても恐れられている。

 マフィアのボスみたいな人も、俺を見るや媚びるような笑みを浮かべて道を譲ってくれる。

 すると、それを見た人々がさらに恐れる。

 恐怖の連鎖だ。

 本当に魔王になった気分。


 俺に笑顔を向けてくれたのはガラス工房のドワーフたちだけだった。

 組合長なんて菓子折りと花束を持って挨拶に来てくれた。


「仕事を増やしてくれてありがとよ」


 と、夏のひまわりのような笑みで両肩を叩かれた。

 俺の指パッチンで町の窓ガラスは軒並み割れてしまった。

 窓が割れれば窓屋が儲かる。

 組合長からは、折を見てもう一発頼む、とまで言われた。

 冗談きつい。

 そんなことをしたら、俺は今度こそ魔王になってしまう。


「んふふー!」


 そういえば、俺に笑顔を向けてくれる人がもう一人いた。


「シオン、すき」


 クラウだ。

 以前にも増して熱烈にアピールしてくる。

 忠犬のように離れないし、夜になると宿のドアノブを溶断して俺の部屋に忍び込んでくる。

 で、何をするのかというと、俺にまたがってみだらな顔をする。

 今も俺に内股をこすりつけて、赤い顔で熱い息を吐きかけてくる。


 こんな奴でもツラはいい。

 それだけで、全部許せてしまう。

 俺もなかなか単純だ。

 でも、結婚だけはない。

 絶対にな。

 愛犬が可愛いからって結婚するか?

 ないない。


 その日、俺は冒険者ギルドから表彰を受けた。

 ピアニ橋の守護者大勲章。

 竜種単騎討伐者勲章。

 新人賞・特一等などなど。

 冒険者手帳の受賞歴欄が多少華やかになったのであった。


ここまで、読んでくださった皆様、ありがとうございます!

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