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探索と悲劇

その後、僕らは探索を続けた。


今まで行った和室やリビング、それから2階の部屋も探索した。


しかし、玄関の鍵はどこにも見当たらない。


やがて、蜘蛛の巣が大量に張ってある図書室にやってきた。







「……手分けして探そうか」


「了解です」




僕らはそれぞれ図書室の探索を始めることにした。


館から出る方法を探すため、まずは適当な本を

棚から取り出した。


ただ、そもそも日本語で書かれていないため読めなかった。


しかも英語表記でもなかった。


見たことのない文字だった。


……しかし、どこかで見たような筆跡だった。


なぜだろうか。


ともかく手がかりが欲しいため、他の棚を調べていたクエリィにその本を渡すことにした。


「何かありましたか?」


「……これなんだけどさ」


「……これは、魔法の……書?」


「読めるの??」


「えぇ……恐らく、ですが」


「すごいな……」


彼女から話を聞いてみたところ、僕が見つけたその本は魔法の使い方が載せられている本だったらしい。


どうやら、異世界の言語で書かれていて、この魔法もその世界由来のものらしい。


なぜ読めるのかどうかも聞いたが、彼女は「分かりません」と曖昧な答えを返した。


しかしこれでは、脱出するための手がかりが何も見つからない。


僕がそう悩んでいると彼女から、また本を差し出された。


「……いやクエリィ。僕、読めないんだって」


「読まなくていいです。とりあえずその本に載ってる絵を見てください」


「絵??」


突然何を言い出すのか、疑問符を浮かべながら渋々本を開いた。


するとそこには、ガーゴイルやスライム、ゴブリンのような怪物が、説明文と共にイラストで載せられていた。


「……これをどうしろと?」


「あの化け物の正体と近しい怪物を見つけてほしいんです。その霊が乗り移っている可能性があります」


「なるほど……?」


しかし突然そう言われても、正確や答えは出せない。


特徴も何も、血の匂いが好きで目が見えないということぐらいしか分からない。


……いや。


一応、心当たりはある。


さっき見た夢を手がかりにするのもどうかとは思うが、僕にはその情報しかない。


イラストのあるページをめくり、必死に探し出した。


数秒後、それらしい怪物の名前が出てきた。


「ミノタウロス……」


神話でも出てくる牛頭人身の怪物だ。


あの白い化け物がそうなのかどうか分からないが、今のところ手がかりは他にない。


僕がボソッと呟くと、クエリィが何か察したように魔法の書を開いた。


やがて、彼女は僕の方へ向き直り口を開いた。


「もしかしたらあの化け物、倒せるかもしれません」


「ほ、ほんとに?」


「えぇ。炎魔法を唱えることができればいけます」


「炎が弱点なのか……というか、魔法使えるの?」


「やってみないと分かりません。それ以上に、お兄さんの考察が正しいかどうかにもよります」


「……あんま期待しないで──」






僕がそう言い切る前に、「ヒューッ」と風が吹き抜ける音が聞こえた。



「どうしました?」


「いや、何か風の音が……?」


「もしかしたら、どこかに隠し通路があるのかもしれませんね」


「そう、なのかな」


「お兄さん」


「?」


「あそこから音が漏れているみたいです」




図書室の一番奥にある本棚。


そこから音が漏れているらしい。


僕らは協力してその棚を横に退けた。


すると、地下に繋がるような階段が現れた。





「!!」


「ありましたね」


「(さっきまでこんな音、漏れてたっけ……?)」




妙な疑心が生まれたが、とにかくこの先に行かなければ先には進めないことは確かだ。


僕らはその階段を降りることにした。


薄暗かったので、ポケットにある懐中電灯を使った。



「準備がいいんですね」


「拾ったんだ。和室で」



階段を降りると、実験室のような所にたどり着いた。


謎の薬品があちこちに置いてあった。


都市伝説スポットの噂では、この館はかつて宗教団体が利用していた場所と一部囁かれていた。


恐らく、ここがそうなのだろう。


……あの化け物と仮面少女に出会わなければ、もう少し驚いたかもしれない。


実験室のような場所を散策していると、光る物を見つけた。


僕はすぐにそこへ走り出した。


拾い上げて確認すると、それは鍵だった。



「どこのでしょうか……」


「多分……玄関の鍵、かな」


「だとしたら、物凄くあっさりでしたね」


「本当にね……」





玄関の鍵らしき物をポケットに入れ、その場から立ち去ろうとした時だった。


あの、不気味な声が聞こえた。










「お兄さん!!」





「え?」




突然、クエリィが僕を突き飛ばした。


いや、庇ったのだ。


化け物の攻撃から、僕を。


僕が床に叩き付けられているのに対し、クエリィは壁に叩き付けられた。


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