次の日
遅くなって短くて話微妙で本当にすみません
ドラゴンの襲撃から一夜明けて、公爵の屋敷ではスーアの事で様々な憶測が飛び交っていた。
やれ大魔法使いだの、やれ辺境に隠れ住む賢者だの、やれ神の使いだの。色々と言われている中、スーアは自室で少し落ち込んでいた。
「あ~~~~、何で俺あんなにキレちまったんだ? そりゃかなり頭にきたけどあれはやりすぎだって……」
少し派手にやりすぎたと反省しているようだ。
コンコンコン
スーアが落ち込んでいるとドアをノックする音が聞こえた。
「は~~~い…開いてるよ~~~~………」
「失礼するぞ、む? どうしたのだ?」
部屋に入って来た公爵がスーアの落ち込む様をみて尋ねる。
「昨日は少しやりすぎたな~~と思って」
(あんなドラゴンでも俺が創った子供だからなぁ)
「ふむ……しかしそなたのおかげで昨日は負傷者はでても死者はでなかったのだぞ? 誇りこそすれ落ち込む事はないだろう?」
「あ~~~うん、それはいいんだけどこっちにも色々込み入った事情があってね……」
「まあ、詳しい事は訊きはしないが、そなたのおかげで被害は最小限に収まったのだ。感謝しているぞ」
ベッドにうつぶせのスーアに公爵が頭をさげる。あまり見ない奇妙な構図だ。
公爵が頭をあげた瞬間スーアが飛び起きて叫んだ。
「あ~~~~~~~~~~~~~!! やめだ!! うじうじしてたってしょうがない!!」
どうやら無理やり自分を立ち直らせたらしい。
「よし! 立ち直ったら腹が減った! 飯!」
どこまでも自由なスーアだった。
「う、うむ、今用意させるのでしばし待て、誰かおらぬか」
公爵が呼ぶと部屋にメイドが入ってくる。
メイドに朝食の準備をするように言うと公爵が、
「準備が出来たら呼ぶのでそれまで待っていてくれ」
と言い残し部屋を出て行った。
「魔法学園?」
それからしばらくして、朝食の席。公爵がスーアに話す。
「うむ、そなたの腕を見込んで娘の護衛をしてほしいのだ。先程部屋で話そうかと思ったのだが、そなたの様子をみてすっかり忘れてしまっていてな」
既に食事を終え食後の紅茶を飲みながら会話を続ける。
「別に構わないけど、遠いの?」
「王都の近くにあるのでな、馬車で5日といったところだ」
「わかった、出発はいつだ?」
「明日だ、準備はこちらでしておこう。出発までは自由にしていてくれ」
「了解、散歩でもさせてもらうよ」
紅茶を飲み干し席を立つスーア。
「うむ、屋敷内は好きにみてくれ」
適当に屋敷をぶらぶらするスーアだったが何時の間にか中庭に出てしまっていた。
中庭にはリムとアヤがなにやら話しをしている。
「あれ? リムにアヤじゃないか」
「あ! スーアさん、おはようございます」
「! スーア様! お! おはようございますですわ!」
リムがかなり動揺しながら挨拶をする。
「ああ、おはよう…ってスーア様?」
「すみません、お嬢様は朝からこの有様で……」
「アヤ! 余計な事は言わなくていいですわ!」
リムが若干顔を赤らめながら叫ぶ。
「スーア様は私の命を2度も救ってくださいましたわ! 私は貴方様こそ運命のお方だと直感いたしましたわ!」
指を胸の前で組み、顔を赤く染めながら力説するリム。
「…………そうか、よかったな」
呆れるスーアに追い討ちをかけるリム。
「ええ! この出会いはきっと神に祝福されたものですわ!」
(まあいいか。そっとしておこう)
どうやら諦めたらしいスーア。
「そういえば、お前の護衛を引き受けたから。よろしくな」
言い残し歩き出すスーア。
「やはり! 私とスーア様は運命で結ばれているのですわ」
後ろから何やら聞こえてくるのが構わず歩き去る。
「護衛引き受けるの早まったかな?」




