表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

フー

悩みました

悩んだ結果がこれです

我ながら微妙






魔獣の襲撃を退け村に帰ってきたスーア。


剣士の少女を休ませようと宿まで運ぶ途中。


「ま、魔獣!?」


少女を乗せてきた狼を見た村人たちが騒ぎ出す。


「魔獣が村に入り込んだぞー!」


「おい! あんた! なんでウルフなんかと一緒にいやがる!」


口々に叫ぶ村人たち。目には恐怖の色が濃い。


「大丈夫だ、こいつはもう悪さはしないから」


「信用できるか! 魔獣は敵だ!」


「何かしたら俺がどうにかするから」


「そんな事「スーア様!!」言われ…へ?」


村人の言葉を遮ってリムが走ってくる。


「スーア様! どちらに行ってらしたんですの!? 探しましたわ!」


「いや、ちょっと魔獣退治に?」


「何故、言ってくれませんでしたの!? 心配いたしましたわ!」


どうやら少しご立腹の様子だ。


「お嬢ちゃん、今はこの魔獣のことで話している最中なんだ。痴話ゲンカは後にしてくれないか?」


呆れたように話しかける村人。


「誰がお嬢ちゃんですか! この方は公爵家の第2御息女リムナーヤ・アストラ・スレイクード様です!」


何時の間にかリムの隣にいたアヤが叫ぶ。


「貴族!?」「何で貴族がここに!?」


村人たちが困惑する。


「あれ? アヤいたんだ?」


「はい! スーアさん、先程からいました!」


興奮しているのか村人に威嚇しながら大きな声で返事をする。


「とにかく、この魔獣なら大丈夫ですわ」


「なんで大丈夫と言い切れるんですか?」


貴族と知ると村人たちは敬語に変わる。


「スーア様が大丈夫と言ったら当然、大丈夫なのですわ」


微妙に説明になっていない所がリムらしい。


「そんな事が信じられる訳ないですよ!」


「たった1人でドラゴン3匹を倒した方を信じられないとでも?」


「ドラゴンを!?」


更に困惑する村人。


「わかりました、貴方たちを信じましょう」


「村長!?」


「ドラゴンを倒す程のお方だ、この狼など恐れるような事などないのだろう」


「けど、それが事実とは限りません!」


「貴族様の証言があるのだ、信じぬ訳にはいかぬだろうて」


「ぐっ! 分かりました」


渋々納得する村人。


「やっと納得しましたの? スーア様これで……あら? スーア様?」


リムが振り返るとそこには既にスーアの姿は無かった。








「話が長すぎるっての」


スーアは宿の1室に少女を寝かせた後、外に出て狼に話しかける。


「ウォン!」


同意するかのように鳴く狼。


「お前もそう思うか」


「ウォン!」


ふと思い出して。


「そういえばお前、もう帰って良いぞ」


と、狼に言うが狼は首を振る。


「ワフ!」


「何? 帰らない? 何で?」


「ガウ!」


「ご主人様? いや別にそんなつもりじゃなかったんだけど」


「オン!」


「一緒に行く? 構わないけど」


「ウゥン!」


「名前? 名前ないのか?」


「ウォン!」


「うーん……フーってのはどうだ?」


「ウォーン!」


嬉しそうに鳴く狼改めフー。


「スーア様! また私を置いていくなんて!」


宿に戻ってきたリムがスーアをみつけ文句を言う。


「置いてったんじゃ無くて黙って居なくなっただけだ」


「同じですわ!」


「まあまあ、お嬢様。落ち着いてください」


「今度、私を置いていったら即結婚してもらいますわ」


「何でそうなるんだ?」


「分かりましたわね!」


強引に話をまとめて部屋に帰っていく。


「え~と…大変ですね、スーアさん」


「同情するなら、何とかしてくれ」


大きなため息を吐きながら呟くスーアだった。





次の日の早朝、剣士の少女が目覚めるのを待たずに出発することにしたスーアたち。


「忘れ物はありませんね?」


「ああ、大丈夫だ」


「問題ありませんわ」


「では、出発しましょう。今日の午後には学園に到着する予定です」















「そういえば何か忘れているような気がするなぁ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ