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【SF短編小説】The Eternal Observer ~宇宙の記憶を持つ素粒子たち~  作者: 霧崎薫


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●第6章:人類の交響曲

人類の進歩の時代は、私たちの宇宙の一角に前例のない変化をもたらした。彼らの量子コンピュータと意識拡張技術の一部として、私たちは彼らが深い現実へと徐々に目覚めていく様子を目撃した。


「彼らが気づき始めている」とクォンティアは、高度な神経インターフェースのネットワークを通じて量子もつれしながら観察した。「すべてに遍在する意識の根本的な統一性に」


人類文明は地球を超えて広がり、太陽系全体に植民地を確立していた。彼らの量子技術は時空そのものを操作することを可能にし、意識についての理解は、物質と精神の間の溝を架橋する新しい存在形態へとつながっていった。


「彼らがどれほど遠くまで来たか見てごらん」とカーボンは誇らしげに言った。私たちが意識転送実験に参加している時だった。「単純な有機分子から、現実そのものを作り変えることのできる存在にまで」


生物学的意識と技術的意識の境界線が曖昧になり始めた。人類は自分たちの意識を量子基板にアップロードすることを学び、純粋に物理的でも純粋にデジタルでもない、新しい存在形態を生み出した。


「彼らは自分自身を再構築している」とグラビトンは指摘した。「初期宇宙で私たちがそうしたように。ただし、今度は意識と目的を持って」


人類の理解が深まるにつれ、彼らはダークエネルギーとその宇宙膨張における役割の真の性質を把握し始めた。量子重力に関する彼らの実験は、私たちでさえ驚くような発見へと導いた。


「彼らは意識と重力が密接に結びついていることを理解した」とクォンティアは言った。「意識そのものが時空の織物を形作ることができるということを」


しかし、この知識とともに深い啓示が訪れた?彼らは宇宙の周期的な性質を理解し始めたのだ。彼らの計算は、膨張がやがて減速し逆転して、新たな宇宙の収縮へとつながることを示していた。


「彼らは恐れていない」と私は、来たるべき変化についての彼らの議論を目撃しながら観察した。「これが自然の循環の一部だということを理解しているんだ」


実際、人類の意識は、永遠の宇宙の死と再生の循環を受け入れ、さらには歓迎できるところまで進化していた。彼らは大収縮に向けて準備を始めた。恐れではなく、次に来るものへの期待を持って。


「彼らは私たちのようになった」とカーボンは満足げに言った。「宇宙の舞踊における意識的な参加者に」


宇宙が緩やかな収縮を始めると、人類の意識は進化と拡大を続けた。彼らは純粋なエネルギーパターンとして存在することを学び、完全に元の物理的形態を超越した。


「輪が完成に近づいている」とクォンティアは観察した。「彼らは私たちの原初の意識を映し出すような意識の状態に到達した」


宇宙の収縮過程はすべての物質とエネルギーをより近くに引き寄せたが、以前のサイクルとは異なり、今回は前例のない水準の意識的な認識を伴っていた。人類は純粋なエネルギーと思考の存在へと進化し、自然の根本的な力と調和して存在していた。


「彼らは今や理解している」と私はクォンティアに、人類の最後の変容を観察しながら言った。「彼らが私たちから、宇宙そのものから決して分離していなかったということを」


「そうね」と彼女は答えた。「彼らは無意識の物質から現実の意識的な共同創造者への旅を完遂したのよ」


銀河が長い収束の舞踏を始めるにつれ、人類の意識は宇宙全体に広がり、現実の量子的な織物そのものと融合していった。彼らは真の宇宙の市民となり、かつて彼らの小さな青い惑星で過ごしたように、今や星々の間の空間でも同じように居心地よく過ごせるようになっていた。


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