78.『戯言なごり』
かつて「ななじゅうはち」だったもの
金属バットで殴られたように張り詰める空気。
「食べる」という行為は、命を繋ぐことか、それとも暴力の名残か。
言葉を塗り替え、捻じ曲げ、音の洪水に埋もれる世界。
本来の意味を失った言葉たちが、新しい響きを手に入れて暴走する。
そう思うと広辞苑は武器庫である。
歴史の上に座るとはどういうことか。
過去の記録を読み解くことと、現在に歴史を築くことは別の話。
それでも、椅子をどかしてしまえば、誰も座ることはできない。
異国の風が和の風景を乱す。
それでも静かに微笑む傘地蔵。
白い雪のように、やがて溶けて、境界線は曖昧になるだろう。
同じ毎日を繰り返しながら、それを安心と呼ぶのか、不安と呼ぶのか。
湿布を貼るように、痛みを覆い隠しているだけかもしれない。
形に囚われない美しさを、「意味」の中に閉じ込めようとする愚かさ。
花の価値を花言葉が決めるのなら、笑うのは誰か、見下ろすのは誰か。
意味を持たせようと束ねた先に、生まれるのは秩序か、それとも混沌か。
平安の名を冠しても、そこに平和はなかったのだから。
権力を持つ者は、剥けば空洞。
硬い殻に包まれて、中身を守っているつもりでも、いずれ落ちるもの。
まるで落花生。
流れる水が罪を洗い流すか。
羽ばたく鳥が未来を見通せるか。
淡路島で見た海は激しい。
均整の取れた世界で、歪みを笑う者がいる。
愛も命も計算できるとしたら、そこに本当の美しさはあるのか。
いや、理論があるからこそ、美しいのか。
映し出された影の正体を知る由もない。
剥がしたくても剥がれないものが、そこにこびりついている。
心臓の裏、覗けない、除けない。