74/100
74.『完璧を求める僕の不完全さ』
かつて「ななじゅうよん」だったもの
満開の桜が、太陽の下で白く輝いている。
空に広がるその景色は、ただ純粋で、美しい。
けれど、きっと明日の雨で、
花弁は地面に散り、泥にまみれるだろう。
残念でならない。
僕は、緑が混じり始めた桜が嫌いだ。
儚く散る瞬間には感傷を覚えるが、
中途半端に変化するその過程には、
どうしても居心地の悪さを感じてしまう。
白いTシャツに、コーヒーをこぼした時のような感覚。
どうにもならない、取り返しのつかない、
けれど致命的ではない、微妙な違和感。
だから今日が、僕にとっての花見の最終日。
これ以上、変化する桜を見たくはない。
単色の世界なんてありえない。
そんなことはわかっている。
むしろ、完全な純白のままでいる方が不自然だ。
けれど、それでも僕は、満開の桜を目に焼き付けていたいのだ。
芽吹き始めた葉を異物のように感じ、
違和感を拭えない自分の心。
それこそ、いちばん汚れているのだと、わかっているのに。