表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/100

56.『変わりゆく紅葉の行方』

かつて「ごじゅうろく」だったもの

風見鶏のように右往左往するものを裁くのは、どうにも面倒だと思う。

そんなことよりも、自然淘汰に任せてしまいたい。

人が決めなくても、風に流されるべきものは、いずれ流されていくのだから。


快楽を求める先に必ず苦痛が待っている。

その事実を君は無意識に隠しているようだ。

快楽だけを追いかけることができるのは、その背後にある苦痛を見ないからだろう。


半分緑で、半分赤の紅葉。

これをどう捉えるかで性格診断をしてみることにした。


「まだ赤くなりきっていない」と見る人もいれば、

「もう緑が失われている」と感じる人もいる。


そのどちらも、その人の心の中を写しているように思えた。


人間の感情を「気持ち悪い」と思い始めたのはいつからだろう。

自分自身も感情を持つはずなのに、それが他人の中で見えると異物に思える瞬間がある。

それを理解したいと思うのか、拒絶したいのか、自分でも分からない。


波が激しければ激しいほど、僕の顔は弛緩する。

涎が垂れるのを止めようともしない。

激しいものに飲み込まれることで、かえって心が静かになるような、そんな感覚がある。

嵐の中でだけ落ち着ける人間がいるのだ。


そんな空想に身を任せていると、真っ暗な画面を気がつけば1時間も眺めていた。

何も映らないはずのその画面に、どれだけの思考や感情を投影していたのだろうか。

何もないはずのものに、僕は何を見ていたのだろう。


一度でも脳に刻まれた快楽。

それは、簡単なきっかけで再び顕現する。

何かを見た、何かを聞いた。

それだけで記憶の底から浮かび上がるその感覚は、まるで忘れたはずの亡霊のようだ。


毎日、世界は変化している。

それなのに、僕たちはその変化に気づかない。

同じように見える景色の中に、どれだけの新しいものが隠されているのだろう。

それを見落とすのは、何とも勿体ないことだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ