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5.『狼藉の砂時計』
かつて「ご」だったもの
彼らは一握の砂を払うために狼藉を起こし、災厄を呼び込んだ。
作物は枯れ、人は穢され、地球は茶色に変わった。
当然、人々はそれを恨んだが、神々は大笑いで喜んだ。
人間が用意した公開処刑の場で、天から不釣り合いなユニーク賞を授与された彼らは、
天国で極楽を謳歌する権利を得た。
平等は人間が創り出した幻想に過ぎず、公平さを求めるものの、
観測者にとっては些末な誤差でしかない。
重要なのは均衡の維持だけ。
それが保たれている限り、万物が消えることはない。
創造者は全てを精密に設計する能力があったが、敢えて余白を残した。
それは揺れ動く、予測不能な振動の均衡を楽しむためだ。
不動は衰退を意味し、枯渇と退屈を招く。
川を眺め続けて数時間が経つ。
流れに魅せられる本能は決して間違っていないようだ。