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36.『煮詰めた先の真理に懺悔』

かつて「さんじゅうろく」だったもの

愛情を煮詰めると、孤独だけが残った。

コーラを熱して炙り出された砂糖のように、それは執拗に甘く、黒く、そして汚らしい残り粕だった。

あんなにも鮮やかで躍動感のあった感情が、最後にはこんな形に収束するのか。

煌めいた感情と信じていただけにその真価に胸の中に虚しさが広がった。

彼と離れることが愛情と結論付けてしまった。


それから、生きているだけでも有り難いのだと、

孤独を磨いていくと、自分と世界の境界線が曖昧になっていくことに気付いた。

自分を突き詰めている中で、調和する方向に感覚が進むとは思わなかった。


まるで揺れる炎が小さくなり、大気に溶けて消えゆくようであった。

そう、自分自身が世界の一部に溶けていく感覚だった。


引き継がれてきた生命の軌跡は、無意識にコモンセンスを植え付けたのか。

誰もが共有していると思っていた根源的な繋がりを断ちたくて、自分自身の手で踏みにじってきたはずだった。

結局はエントロピーの流れに逆らうことはできなかった。

気づけば、自分もその一部に取り込まれていたのだ。


「後悔はあるか」


そう問われたとき、即座に「ない」と言い切ることはできなかった。

その惨めさが、何よりも重くのしかかる。


私は真理から審判を受けている。

縋るように頭を床に擦り付け、嘲笑の中で唾を吐かれる。

耐え難い屈辱感が胸を刺した。


「・・・」


何度繰り返しても同じこと。

それでも、忘れてしまえることが救いなのかもしれない。

愛情が煮詰まり、孤独が残り、それすらも消え去るまで。

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