表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/100

23.『心臓しぼりと人間歯車』

かつて「にじゅうさん」だったもの

暗い部屋の中、机の上に置かれた心臓が拷問器具にかけられている。


その動きは機械的で、滴る赤い液体が金属のお盆に几帳面に溜められていく。

その血液は、やがて漏斗を使って再び心臓へと流し込まれる。


心臓は拍動を続け、全身に血液を送っているかのように見える。

しかし、それは勘違いでしかない。


「哀れな臓器だ」

彼はそう呟いた。


この心臓は誰のためでもなく、ただ生かされ続けているだけだった。

その存在に目的はない。

ただ動き続ける、それだけだった。


・・・。

突然、彼は目を覚ました。

夢から覚めたのだと思い、目を開いて辺りを見渡す。

視界に広がるのは、無数の人間たちが巨大な機械の歯車として回り続ける光景だった。

その数は何千、何万にも及び、最初はそれが人間だと認識できなかった。


歯車として回る人々。


それはまるで社会そのものの縮図のようだった。


彼は考える。

これは現実なのか、それともまだ夢の中なのか。

答えが見つからないまま、彼は再び目を閉じる。

現実から逃げるように、思考そのものを閉じた。


「かく言う私も、夢に逃げるわけである」

そう言葉を漏らして、彼は再び暗闇へと身を委ねた。


歯車として生きるのではなく、夢の中で自由を求めること。

それが彼にとって唯一の救いだったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ