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100.『終演』
かつて「ひゃく」だったもの
こうして、「想い連なる葉の調べ」は、その終止符を静かに打つ。
旋律は無数の断章を繋ぎ、時に調和し、時に軋みながらも、やがて一つの楽章として結ばれていった。
散文のように始まり、詩のように彷徨い、記憶の和声として着地する。
響きはやがて消えてゆくが、空気の震えは、なお耳の奥に残り続けるだろう。
これは独奏ではない。
無音の部分に耳を傾けてくれた読者の存在が、旋律に陰影を与えた。
和音は常に、共鳴する誰かの存在によって成立する。
譜面を閉じると、そこに残るのは散らばった文字ではない。
思念のひだを縫い合わせた、ひとつの組曲のようなもの。
あえて言葉にしきれなかった余白こそが、最後の音符となる。
「想い連なる葉の調べ」
すべての響きはここで一度、終演を迎える。
けれど沈黙は、いつだって次の冒頭である。
またどこかで、ふたたび風が頁をめくる日まで。