表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

第一話†仮面舞踏会、来襲

見つけてしまった星の涙

見つかってしまったみのる

仮面舞踏会を退けたが、みのるの運命は変わってしまった


魔術師連合に協力することになったみのるなの

「これ……、夢に出てきたやつ……だよね」

 透き通った青色の石。

「誰かの落とし物なのかな? ……だとしたら交番に届けなきゃいけないよね」

 実流は星の涙(それ)を拾う。

「綺麗な石だなぁ……」

 実流がそれを見ていると、石の中に文字が浮かぶ。

 ―魔法を使ってみたい、魔法使いになりたい―

 それは心の奥で実流が思った願い。

「えっ!?」

 実流の体が突然光り始める。

 彼女はあまりの眩しさに目を瞑る。


 実流の着ている学生服は溶けるように消えていき、その代わりに好きなアニメ『頑張れ魔法少女隊』のリーダーの服装が現れ、身に纏わり付いた。

 日常と非日常との境であった光が止み、実流は目を開く。「これは……?」

 実流を見つけた白いふわふわの何か―まるで綿飴に顔が付いた様な生物が、彼女の元へ歩み寄る。

『僕は……魔術師連合という組織に協力してる者』

 彼(?)は一種の魔法的な会話手段、即ちテレパシーを用いて実流に話し掛けた。

『もし差し支えが無かったら、君の持ってるその星の涙を僕に渡してもらえませんか?』

「えっと……貴方は?」

『申し遅れました。僕はユーノと言います』

「星の涙って、これのこと?」

 先程拾った石を差し出す実流。

『はい、渡してもらえませんか? ……この気配……まさか!』

 ユーノが気づいた刹那、地面から染み出てくる黒い人間。胸にハート型の白い模様。

「その……星の涙を……渡せ」

 黒い人型の異形が口を開いた。

『そいつはノワール。多分、僕ら以外に星の涙を欲しがってる組織が放った奴だと思う』

「渡したら命だけは助かるのかな……?」

『駄目ですよ。 ……渡したら仮面舞踏会(あいつら)が世界を牛耳ることになる』

 そうこうしているうちに、ノワールは実流たちに近づき手を伸ばそうとしている。

『魔法を使ってあのクリスタルを破壊してください』

 よく見ると、ノワールの肩の上に闇色のクリスタルが浮いている。

「ま、魔法!? そんなの使えるわけないでしょ」

『いいえ、貴女なら使えるはずです。テレパシーも受信できているのですから』

「えっと、どうやるの?」

『魔法は力の制御。向き、強さ、形……全部心でイメージするんです』

「魔法を心でイメージ……」

 実流は燃え盛る炎を想像する。

「ディバイン……フレア!」

 燃え盛る炎が闇水晶を貫き、闇水晶は砕け、ノワールとなっていた男は心を取り戻して気絶した。


挿絵(By みてみん)

 地面に黒い魔法陣が輝き、『OPEN』という言葉が浮く。

「何々!?」

『次のが来ます!』

 魔法陣の中心から、黒い小さめの竜が現れた。

「……渡さねば…潰す!」

 剣を出した竜は一度飛び、実流に向かい、剣を突き付けながら急降下する。

「早いっ! バリアをっ……!」

 実流が手を(かざ)すと、空中に魔法陣が現れ、ノワールを弾いた。

「実流の魔法、凄い……」

 自分の防御魔法があまりにも強かったので驚く。

『防ぐだけじゃダメです』

「うん。攻撃しなきゃ、だよね」

 実流は急いで闇水晶を探す。

「星の涙を……渡せ……!」

 再び小竜は立ち上がり、剣を構えた。

「見つけた……!」

 立ち上がろうとした瞬間のノワールの背中に、動きを合わせている闇水晶があった。

「でもこの向きじゃ……」

 急加速して実流に近づくノワール。

「焔よ……縛れっ、ハーテロイト・ロック!」

 現れた焔の紐は、小竜ノワールの腹を押すように巻き付く。

「今だ! 紐よ、貫け!!」

 ハーテロイト・ロックの先端が闇水晶を貫くと、闇水晶は砕け散った。


「ほぅ……、我等の邪魔をする者は誰だと思って来てみれば、ただの小娘か」

 一声の後、闇の穴が現れ、そこから2人の影。

 片方はおそらく青年で今の声の主であろうか。

 もう片方は身長からして実流と大して離れてない歳、白銀輝く長髪を(なび)かせている。

 どちらも目立つ鷹の面を付けている。

「ただの小娘でも、油断してはダメ。私のノワールを2体も還元(もど)したのだから」

「わかっております」

「私は他の星の涙を探してくる」

「はい。ここは任せてください、ジュリア様……」

 ジュリアと呼ばれた少女は闇の穴を開くと、そこに入り、消えた。

「さて、自己紹介といこう。私はラティオ。お前の名は?」

「私は実流だよ。渚砂 実流」

「ふむ、実流か。良い名だな。では実流、本題を言うが、お前の持つ星の涙、私に渡してはくれんか?」

「嫌だよ。人をあんな化け物にするような人たちになんて渡さない」

 実流は一歩下がりつつも、力強く言う。

「そうか、なら仕方ない。ノワールになってもらおう」

 ラティオは闇水晶を取り出し、実流に見せた。

『まずい、実流さん、それを見ちゃダメ! 心を引き込まれる』

 実流は既に闇水晶の虜になってしまっている。

「さぁ……、心を明け渡せ」

 ラティオは闇水晶に更なる魔力を送る。


 その刹那……

「悪事は赦さへん!」

 まだ小学生くらいの少女の声が轟き、どこからともなく飛来した光の槍が闇水晶を貫いた。

「何者だ!?」

 ラティオが光の槍の来た方向を見ると、そこには2人の影。

 そのうち1人が魔法陣を掲げ、名乗る。

「魔術師連合附属、実動異変調査部リーダーのセルジュ=ハーメルト」

「同じく、魔術師連合附属、実動異変調査部の八神 沙奈や!」

「三世界共闘条例第28条の3に則り、あなたを拘束します!」

「魔術師連合だと!? ……運が良かったな、実流。だがお前が持つ星の涙は必ず私たちが狙っている。忘れるな!」

 ラティオも闇の穴を出して立ち去った。


「ふぅ、危ないところでした。沙奈はあの子を連れて先に戻っていてください。私は(ユーノ)と大事な話がありますから」

「了解な〜、セルジュさん」

 沙奈と名乗った少女が実流に近づく。

「うちは沙奈。八神 沙奈や。お姉さんは?」

「私は実流だよ、渚砂 実流。学校の友達はみんなみのるんって呼んでる」

「じゃあ、みのるんお姉さんってよばせてもろてえーかな?」

「うん、良いよ」

 実流と沙奈は、色々な話(主に趣味など)を話しながら歩く。

「え、みのるんお姉さんも頑張れ魔法少女隊(ガンマホ)が好きなの?」

 沙奈は驚いて実流を見る。

 それもそのはず、まさか中学生が魔法少女なアニメを見るとは思わなかったからだ。

「でもそれならみのるんお姉さんが魔法少女になった理由、わかるかも。実はな、うちも同じなんよ」

 沙奈は自分が魔法少女となった理由を説明する。


「っとと、そこや」

 沙奈が地面を指差すと、そこには三角の形をした魔法陣があった。

「え、これ何?」

「テレポーターのポータルと言って、うちらの拠点、航次元間艦隊『リヴァイアサン』に行けるんよ」

「こう……じげんかん……かんたい……?」

 次元間、艦隊、どちらも実流の好きな特撮やSFアニメによく出てくる言葉だ。

「そう、うちらが使てる船なんよ〜。もし良かったら保護と報告のためについて来てもらえへんか?」

「うん、わかったの」

 ポータルの上に乗ると、一瞬の光の後、見たことのない空間に到着した。

果たして、みのるんは魔術師連合の船に連れていかれて何をされるのだろうか

次話へ続く!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ