第十一話†挑発・最後の舞台へ
多くのノワールを倒すことに成功したが、安堵しようとした矢先、ついに入る黒幕…レフェメルからの宣戦布告!
ついに、敵本体が動き出す!
リヴァイアサン艦隊一号艦†提督執務室
コンッコンッと、軽い音が館長執務室に響く。
「対ノワール群隊掃討作戦特別チームです」
「どうぞ」
おそらく作戦行動中に戻ってきたのだろう、ディアス・フォルテス提督が声をかける。
ゆっくり開かれた扉から入ってきた面子を見ると、ディアスは椅子を出す。
「紅茶、飲むといい。疲れが取れるよ」
特殊な魔力を込めた紅茶を机に並べると、それらを自分のところに集めていくメンバー。
「超高エネルギーの出現って、いったい何があったんですか?」
「細かいことはまだ分からない。おそらくは『心の泉』の持つエネルギーだろう」
「心の……泉?」
「仮面舞踏会が星の涙以外に集めていたもの、なんだか分かるかい?」
「星の涙以外で……まさか!」
「人の心、かいな?」
沙奈は見覚えがある、何より実流は経験者である。
「そう、闇水晶を用いて、人の心を集めていた。
仮面舞踏会の最優先目標は心の収集だよ」
「どうしてそんなことを……」
「神を創るため、ですよ」
静かに会話を聞いていたセルジュが、そっと口を開いた。
「神ってそんな簡単に作れるものなの!?」
「本来の神はそう簡単には創れません。
しかし、仮面舞踏会の持つ技術力があれば或いは……」
「そう、奴らは神について研究していたのだ。
まずは核となる人間を用意する。
その人間に心の泉を纏わせる」
ずずー、と誰かが紅茶を啜る。
「しかし、本来心は体と密接な関係を持つ。
対応していない心と結ばれようとすれば、感情の波が体を焼く、と言われている」
「それじゃ、核となる人が……!」
「そこで重要になるのが、核と心の泉の間に立つOS、核となる人との密接な関係を持つ人間、です」
「おそらく仮面舞踏会は予めそのために二人の祭器となる人を用意してあったのだろう。
あとは心の泉。
しかし、それで完成するのは神の力を全く持たない、器だけだろうな」
話に釘付けとなり、最早周囲が見えていない実流と沙奈。
「しかし、奴らには既に持っています。
神にも匹敵する力を」
「そう、科学世界の、魔力を一滴も持たない若い女の子を魔導士に変えてしまうような恐ろしい力がね」
星の涙、それが神の動力となる。
「核となる人間に『神になりたい』という願望を抱かせて星の涙を持ち込めば、神の完成だ」
同刻・仮面舞踏会本拠地
「いよいよ、この時がやって来た」
鷹の仮面を付けた、仮面舞踏会の幹部が集まっている。
「我々が神を作り出す。
その為に、我々は多くの犠牲を払ってきた」
鷹の仮面のリーダーの男が両腕を上げる。
「しかし、その犠牲に見合う大きな一歩を確かに踏み締めるのだ!
祭器よ、時は満ちた。お前の本分を存分にこなせ!」
ジュリアが前に出る。
「核となるジュリア=レクイエム、そして楔となるロザリア=リージュドット、前へ!」
続いてロザリアが前に出る。
「お前たちにはこれから神となり、我々のせねばならないことをするのだ」
リヴァイアサン艦隊一号艦†ブリッジ
ピピピ……『ID非通知より、通常回線に受電』
「非通知?誰だ……?」
オペレーターが疑問に思い、ディアスに問い合わせを行った。
『どうした?』
「通常回線に非通知通信がありました。
そちらに繋ぎますか?」
『頼む』
オペレーターは非通知通信を提督執務室とブリッジのモニターに受信させる。
『ふふふ。
魔術師連合の所属の愚か者諸君、ご機嫌はいかがかな?』
「れ、レフェメル!」
『間もなく神は完成する。
完成した暁には世界を我々の思う通りに書き直す』
「……」
ディアスは艦内通信を飛ばす。
『神の完成まで、タイムリミットは近い。
カウントダウンがゼロになったとき、新たなる世界は幕を開ける』
「そうはさせない、お前たちの企みは必ず俺たちが打ち砕く!」
『ほざいてろ、青二才が』
一言レフェメルが嘲笑うと、通信を一方的に切断した。
リヴァイアサン艦隊一号艦†提督執務室
「逆探知の結果をモニターに表示してくれ」
地図には一点だけバツの印が表示された。
「方向位置からして、あのエネルギー反応のする方向からだ!」
「これより、仮面舞踏会本拠地潜入・殲滅作戦の作戦概要を説明する」
ディアスはメンバーを見回すと、口を開いた。
「まず、総合調査部と実働異変調査部が潜入調査に入る。
敵部隊の警備状態を確認後、本隊が潜入し、殲滅作戦に切り替える」
紅茶を一口。
「本隊は魔法少女隊、セルジュ君、そして俺だ」
持っていた作戦資料を机上に置いた。
「作戦開始時刻は0時30分、本隊突入時刻はそれから30分後、1時00分だ」
時計は22時半を指している。開始時刻はまだ2時間ある。
「それじゃあ一回家に行きます。最後の戦いになるかもしれないから……」
「みのるんお姉さん、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
30分後 渚砂家
「ただいまー」
実流は家につくと小さく声を掛ける。
勿論、時間が時間なので返事はない。
彼女は録画してあった頑張れ魔法少女隊最終回一時間スペシャルを見ている。
がんまほ番組内
『悪の組織……魔術師団の計画、絶対に阻止しないと……!』
『エグナが外の敵を足止めしてくれてる間に、私たちの出来る限りを尽くそう!』
『魔王はあたしたちで倒さないと……!』
『ヴェルダスタル……いや、魔王、必ず倒してやる!』
この世界の魔王は、実はマスコットキャラであったヴェルダスタルなのだ。
『やはり来たな、魔法少女隊!
魔王はもうすぐで完成する、貴様らに止められるわけがなかろう!』
『『『魔術師団!』』』
魔法少女隊の前に立ちはだかるのは、魔術師団の幹部。
『貴様らも、魔王の一部となるうんめいなのだ!』
『グギャァァァ!』
『聞こえたか、空間を揺るがす大咆哮!
これこそ魔王の産声だ!
世界に魔造子を配置したのは魔王を作り出すためなのだ!』
『その為に犠牲になった人も居る。
この世界を、あんたたちの思い通りになんかさせない!』
魔法少女隊はロッドを構えた。
「か、カレンがカッコイイよ……!」
(番組中略)
『くそぅ……。
貴様らがどう足掻いたところで、魔王は倒せん。
もうすぐで魔王の身体も完全体、つまり不死身となる……!
私を倒しただけの力では、魔王を倒すことなど……出来ん!』
魔術師団の総大将を倒した魔法少女隊。
しかし、戦いはまだ終わらない。
『劇場版、頑張れ魔法少女隊!~13の魔術と七つの光~乞うご期待!
劇場で待ってるよー♪』
「ぇっ!? そんな切り方ってありっ!?」
実流はあまりの唐突な切り方に吃驚した。
現実というものは実に不条理である。
「で、でも劇場版ってことは、30分じゃ表しきれない内容が待ってるってことだよね!
原作に忠実ならここからは魔王の部屋に乗り込んで戦って終わりだけど、どんな風に繋がるのかな。
今からワクワクが止まらない!」
時計を見ると、良い頃合いだ。
実流は支度をしてからリヴァイアサン艦隊の旗艦へ向かう。
魔術師連合所有移動式要塞†第二級艦隊 リヴァイアサン1号艦
「あ、みのるんお姉さん! おかえりー♪」
「あ、沙奈ちゃん、ただいまー♪」
宿室には既に沙奈の姿があった。
「あと20分もないから、そろそろミーティングいこか」
「うん!」
リヴァイアサン艦隊1号艦†ブリーフィングルーム
「集まったね。それじゃ早速ミーティングを始める」
魔力の込められた紅茶を啜ってから、ディアスは口を開く。
「今、総合調査部と実動異変調査部は敵城への侵入中、情報獲得中ってところだ」
「もうじき情報を持った部隊長が戻ってくる頃だと思いますが……」
そこまで言いかけたところでドアが開く。
「伝令!
現在、敵と交戦中、敵の陽動は済みましたので、本隊は早速準備をお願いします」
「了解!
早速作戦を開始してくれ、テレポーターは空いているものを使ってくれて構わない」
「はい!」
実流と沙奈、セルジュ、ディアスはテレポータールームへ急ぐ。
「実流ちゃんと沙奈ちゃんは、敵総統と戦ってほしい。
セルジュ君は城のエネルギー源たる魔導反応炉の停止を。
俺はレヴィーナの救出、それが終わったらどちらかを手伝うよ!」
「了解!」
テレポータールームに向けて走りながら、作戦会議を続行する。
テレポータールームに到着すると、それぞれ空いているポッドへ入っていく。
「作戦開始だ!」
敵の城に乗り込み、いざ、最終決戦が近い…
次回へ続く!