(41) 第2回メレ・アイフェス集合会議①
お待たせしました。本日分の更新になります。 お楽しみください。
現在、更新時間は迷走中です。 面白ければ、ブックマーク、評価、布教をお願いします。(拝礼)
カイル・リードは深い憂いのため息をつくと、口を尖らせて珍しく強く不満を示した。卓の上で肘をつきながら、両手を組み顎を乗せ、訪問者で同僚でもあるサイラスを金色の瞳で見つめた。
「僕はね、君に会うのを楽しみにしていたんだよ、サイラス。それなのにさ――」
金髪の青年は再び大げさに溜息をついた。
「ちょっとその態度は、あんまりじゃない?」
その抗議を受けても、サイラス・リーはエトゥール城の敷地内にある古風な聖堂内で壁に背を預け、へばりつく姿勢を崩さなかった。
カイル・リードから最大限に距離を取るためである。壁がないなら、あと10メートルは安全離隔を確保したに違いない。
「まあ、わからないでもない」
サイラスの回避行動に理解を示したのは、再び地上に降下してきたディム・トゥーラだった。
彼は平然とカイルの隣の席にいる。
なぜその位置にいることができるんだ、とサイラスは心の中で叫んだ。
カイル・リードの支援追跡者としての腐れ縁のなせる技術か?
「腐れ縁と言うな」
中央の優秀な精神感応者には心の声が筒抜けだった。
「だが、興味深い反応だな。サイラス、カイルをどう思う?」
「これ扱い……」
カイルは、支援追跡者の言葉にも嘆いた。
「カイルが怖いのか?」
「怖いってレベルじゃない」
サイラスは的確な表現を探しながらその質問に答えた。
「そうだなぁ……実年齢を指摘したイーレが巨大な鎌を振り上げて、そこに30人ほどいると言えば理解できっかなぁ?」
「何、それ、怖い……」
カイルはその心象を同調能力で正確に汲み取ってしまい、本気で怯えた。
ディム・トゥーラが呆れたようにカイルを見た。
「カイル、それがお前に対する感想だって、わかっているか」
「あ…………」
ディム・トゥーラが静かに指摘すると、カイルはようやく気づいた。
「イーレの30倍って、ひどすぎるよっ?!」
遅すぎる突っ込みと抗議だった。
「少なく見積もって」という修飾語が抜けていたことは黙っていよう、とサイラスはカイルの抗議を受け流しながら思った。
同僚であるカイルは、異質な変貌を遂げていた。
同じ容姿をしていても、何かが彼の中に潜んでいるのは明白だった。漏れでる「気」というものだろうか?それが計り知れない威圧と支配力を生み出している。
なぜカイルの周囲の人間は、この異常さに気づかないのだろうか。
人ではない何かがカイルの中にいる。
コレはヤバいものだ。
サイラスの本能が激しく警告していた。
なぜ、ディム・トゥーラやシルビアが、カイルの変化をすんなりと受け入れているのか理解に苦しむ。
「その認識は正しい」
ディム・トゥーラには、またもやサイラスの思考を読み取ったらしく、肯定をしてきた。
サイラスは、半眼になった。
「どっちの認識だよ。カイルの話か、ディム・トゥーラが支援追跡者として甘やかしレベルで、その変化を受け入れる末期状態のことか?」
「え、僕、甘やかされて、ディムに受け入れてもらえてるの?」
「俺はこの件について、甘やかしも、受け入れるつもりもない」
ディム・トゥーラは、カイルの期待の言葉を一刀両断でぶった斬った。
カイルは致命傷を負ったかのように胸を押さえて、しょんぼりとした。不思議なことにカイルの傍らにいる白いモフモフした子犬が、同調しているかのように落ち込んでいる。
――犬じゃない
不意打ちで飛んできた思念に、サイラスは再び壁にへばりついた。思念を飛ばしてきた相手はすぐにわかった。
純白の子犬は落ち込みつつ、サイラスの思考を読み取って不満を示すかのように複数ある長い尻尾を床に叩きつけて意思表示していたからだ。
「犬が喋ったっ?!」
――だから、犬じゃないってば
「犬じゃないなら、なんなんだ?!」
――ウールヴェだよ
しかも会話が成立しているっ!
サイラスは、はっと口を押さえて、白い子犬もどきを指さし、ディム・トゥーラを振り返った。
「ディムっ!なんだ、この犬は?!」
「犬じゃない、カイルのウールヴェだ。犬扱いは厳禁だ」
「どうみても、犬だろう?!」
――犬じゃない
「本当に犬じゃないんだ。僕のウールヴェだよ。犬扱いをすると世界が滅ぶらしいから、気をつけてね」
カイルは子犬に似たウールヴェを抱きあげ自分の膝に乗せながら、とんでもないことを言い放った。
「…………それは冗談だよな?」
「…………そういう冗談はやめよーぜ?」
「冗談かどうか、僕は試す気はないから追求しないでくれる?」
サイラスは即座に挑発に似た暴言を引っ込めた。カイルの口調に奇妙な説得力を感じたからだ。




