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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
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東の湖


 さて、これからどうするか。

 ふとルディの体が目に入った。黒く薄汚れた毛並み。

「ルディ、東の草原にある湖で洗おう」

「ガル?」

 首を傾げて可愛い。

 でも姿は可愛らしいとは言えない。

 もともと怖い目の見た目のモンスターなのだろうが、汚れがすごい。映画で見たスラムの野良犬っぽい感じがする。

 あと慣れてきてたけど、この子臭いもすごいんだ。犬特有の獣臭さじゃなくって、ヘドロとかそういう感じの。

 シャンプーとかはないけど、水洗いするだけでも違うだろう。


 東の草原には、大きな湖がある。深いところには魚型のモンスターもいるけれど、出るのはLv1の弱いのばかりらしい。

 陸地はモンスター平均レベルが3になるから、私とリリスだけではまだ早いだろうが、ルディもいるなら問題ない。

「じゃあ行こっか」

「キュー!」【  楽  】

「ワン!」【  楽  】


〈感情視Lv1がレベルアップしました〉


 幸先がいいな。

 そして私たちは町をぐるっと回って、東側にある大きな湖を目指した。




 ザッパーン

 助走つけたルディが、勢いよく湖に飛び込んだ。水飛沫が降りかかって来る。

「ぎゃー!」

「きゅ!」【  驚  】

「新しい文字増えてるー!」

 いきなりで驚いたけど、リリスも水は嫌じゃないっぽい。布だから苦手だったらどうしようか心配してたけど、大丈夫みたいだな。

 それにルディも気持ち良さそうに泳いでいる。水嫌いでもないようだ。そういやスキルに潜水ってあったっけ。

 なんでアイツあんなに汚れてたの?


 木でできた影の下で腰を落ち着かせて、リリスも手首から下ろす。

「設定弄ってーっと」

 プレイヤーは使い魔とモンスター討伐時の経験値を分配するが、これは等倍ではない。

 そうしないと強い使い魔と弱い使い魔の差が一向に埋まらなくなってしまう。

 連れている子にしか割り振られないから、待機させれば完全に外すこともできるけど。


 最初に3体、従属魔法のレベルが2上がる毎に1ずつ枠が増えて、最大8体までテイムできる。

 でもフィールドを連れて歩けるのは5体までだ。プレイヤー1人と5体の使い魔で、6人パーティーという扱いになるから。

 そして経験値の配分は、プレイヤーが設定で決められる。まぁ最低0.5倍、最高1.5倍までと決まってるけど。

 とりあえず今回は、ルディを0.6、私とリリスを1.2にしておく。


 次にアイテムを確認する。

 ここに来るまでに、兎をさらに狩って、肉と毛皮が追加で手に入った。角は無かった。

「毛皮、結構集まったなー。何これめっちゃフワフワじゃん」

 兎の毛すごいな。

 ん?リリスが興味持ってる?

「欲しいの?はい、あげる」

「キュイ」【  喜  】

 やっぱ布だし同系統の物好きなのかな?

「え、食ってないお前?」

 やっぱり見間違えじゃない。どうやってかわかんないけど、ムシャムシャ毛皮を食べてる。

 えー、食うんだ、毛皮・・・まぁ美味しいんなら良いけど。必要分以外はリリスにあげるか。


 そして東側に出現するスライムのドロップ品もある。スライムは物理が効きづらい、がここはルディがレベル差で瞬殺していた。

 おかげで、私とリリス2人揃ってレベルアップしてる。

 そしてそのドロップがコレ。


『スライムジェル』

スライムの体の一部。透明でプルプル。


 何に使えるかわからないけど、一応保管しておこう。


〈ルーズフィッシュがドロップしました〉


 魚?もしかしてルディが水中で狩してるのか?・・・楽しいなら放置でいいか。


 初心者調合師セットを取り出し、鍋に湖から掬った水を入れ火を付ける。

 苦草を取り出してすり鉢の中に入れる。

「よし、準備完了。初調合やってみるか」

 キットに入っている2つのうち、下級のHP回復ポーションのレシピに従って、ゴリゴリ草をすり潰す。

 いい塩梅まですり潰せたら、沸騰したお湯の中に投入。あとは適度にかき混ぜながら、レシピの時間まで煮込むだけ。

 うん、簡単だ。手元には無事完成したポーションがある。

 続いて青草を取り出し、同じように手順に従って下級のMP回復ポーションを作成する。・・・こっちも成功した!

 そしてステータスから『レシピ集』を開く。ここには自分が1度作成に成功したアイテムの情報が保存される。

 ちゃんと2つとも保存されてるのを確認してから、また苦草を出し、水を鍋に入れ、最後に手をかざしながら『調合』を使う。

 目の前がピカッと光り、現れたのは下級のHP回復ポーション。

「やったー!」

 レシピ集に保存されたアイテムは、材料を用意して対応のスキルを使えば、MPを消費して一瞬で作れるのだ。

 手作業より熟練度は貯まらないし、品質も悪い。同じ作り方しかできないから手間の簡略なんかはできないけど、調合のレベルを上げたいだけなら効率がいい。

 そうして、私はひたすらポーションを量産していった。MPが足りなくなれば、自分で作ったポーションで回復してまた作る。

 こうして、クエストの納品分を除いた全ての苦草と青草を使い切る様で調合を行った甲斐あって、無事レベルを上げることができた。


「よし!全部使い切った!・・・あれ?リリス何してんの?」

 横を見たら、ハンカチが浅瀬を漂っていた。いつの間にか『遊泳』なんてスキルを手に入れている。

 ずっと潜ってるけど大丈夫なのか?そもそも息してるのかな?

「ルディー!出ておいでー!」

 聞こえるかわからないけど大声で呼び掛けた。

 ログのドロップ報告で無事はわかってるけど、あの子しばらく見てない。

 ザバァと盛大な音を立てて、湖から大きな犬が上がって来る。

 ビッショ濡れなせいで、大型犬くらいのサイズが、一回りは小さく見えてる。ただ、何より目を引いたのはその毛の色だ。汚れた黒が水で落ち、濃茶色の犬になっていた。

「君茶色かったんだねぇ」

「ワン!」【  楽  】

「あ、そうだ。君が獲った魚食べる?」

 差し出してみたが、肉ほど食いつきが良くない。食べられんことないけど肉の方が好きなのか。


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