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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
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新メンバー 



「わあ!!!ありがとうございます本当に!!!!・・・あぁ、なんて美しいんだろう」

 品物を渡すと、ケインさんは爆音早口ででお礼を述べ、すぐさま骨董品のお椀に夢中になってしまった。

「あ、あはは。無事に渡せて良かったですー」

 無事にクエストは解決したけど、私の問題が解決しねぇ。

 暗黒のオーラ垂れ流しながらアッシーが今私の背後にいるんだよ。


 まさかアッシーが激オモ友情向けてるっぽいお友達がさくたろーで、私がなんか間女ポジになってるなんて、予想外すぎるじゃん!

 もしかして精霊石の時に言ってた物知りな知り合いってこの人のことだったの!?

 分かんないってぇ!!


 ふぅ、しかしどうするか。

 私としてはアッシーのことは嫌いじゃないし、一緒にいるのも途中までは確かに楽しかった。

 嫌われるのは嫌だ。

 道中うちの子たちのことも可愛がってくれたし。

 ・・・うし、やったるか。

「アッシーよかったらなんだけどさ、私たちのクランに入らない?」

「・・・え」

「友人が居るから、て志望動機、うちは全然アリだよ。いいと思う。私の使い魔のことも丁寧に接していたし」

「い、いいのかい?その、ボク、途中からすごく態度が悪くなってしまっていたのに」

「私がいいって言ったら問題ないんだよ。ウチはクラマスのワンマンなのさ!というか、態度云々は無神経さくたろーが全部悪いから。大事な友達の気持ちを考えてやれよなー、アイツ」

 わざとらしくそう言ってみたら、強張っていた表情を緩め、アッシーも笑った。


「それじゃあ、よろしくしようかな」

「こちらこそ、よろしくね!」




 新しくメンバーになったアッシーのことを朔夜くんに伝えると、めちゃくちゃ驚いてた。

 なんかアッシーのこともクランに誘いたい1人だったみたいで、タイミングを見計らって私に紹介しようと考えてたらしい。

 このことをそのままアッシーに教えたら、飛び上がって喜んでた。



 そして今日は、もう1人の新メンバー(候補)ウィステリアちゃんに会う約束をしている。

 彼女にはさくたろーがすでに勧誘をしている。でも返事をする前に私と話がしたいらしく、拠点の資材集めもかねて彼女と行動することにした。



「こんにちはコヒナさん!あれ?この前は見なかった子が増えてるっす!」

 あぁ、最後に会ったのは『火神の試練』行く前だったからな。

「新しい私の家族、ロアちゃんだぜ!」

「可愛いっすね〜」

【  嬉  】

 ふっ、やっぱウィステリアちゃんはわかってるな。

 撫でられてるロアも嬉しいみたいだし、良かった。


「では今日もよろしくお願いしますっす」

「うん。もうそろそろ準備終わるんだっけ?」

 定期的に経過状況を教えて貰ってたから、私も多少はわかる。

「はい!必要な素材ももう少しで集め終わりますから。できれば今日中に揃えたいっすね」

「じゃあ頑張ろっか」

「おー!っす!」



 みんなで3層の樹下を探索し、主に木材を収集して歩く。

 ウィステリアちゃん曰く、木はいくらあっても足りないとか。

 まぁみんなで、とは言ったが実際に木を集めてるのは彼女だけだけど。

 私と使い魔たちは周囲を警戒しモンスター退治担当・・・私も『伐採』取ればよかったかなー。


「それで?私と話したいことって何?」

「あ、えっと」

 もうそろそろかなーと思って聞いたけど、突然みたいになってしまった。

 でもなんか言おうとはしてるし、ちょっと黙っとこう。

「コヒナさんが、ワタシをクランに誘っていいって言ってくれたって、先輩が言ってたんすけど・・・ほんと、ですか?先輩の、リップサービスじゃなくて」

「ん?ほんとだよ。というか、私も誘いたかったからさ。ウィステリアちゃんいたら楽しいと思って。さくたろーのが親しいから任せたけど、私から勧誘したかったくらいさ」

 ちょっと盛ったけど、実際このくらいの好感度を彼女に抱いてる。それにしてもリップサービスって、そんなわけないのに。


「・・・お願いします!!ワタシを『新月の水鳥』に入れて下さい!!!」


「ふぁっ!?」

「わふっ!?」【  驚  】

 声デカ!?耳壊れる!!

 一番耳の良いルディも本気の警戒体制になってる!ここらの敵なら余裕だから、完全に気ぃ抜いてたもんね!!

 というか、入らない?ってこっちが勧誘してる立場じゃなかったっけ?

 この子の中でいったい何があったの??


「あの、入ってくれるなら嬉しいし大歓迎だけど。急にどしたの?」

「えっと、ワタシ、ダメダメなんす。いっつも先輩に助けてもらってばっかりで、クランのことも迷惑かけちゃうんじゃないかって思ってて」

 えぇ。ダメダメって、別にそんなことないと思うけど。朔夜くんのことだって、たんにアイツが世話焼きってだけだろうし。

「それにコヒナさんも」

「私?」

「コヒナさんは、先輩の後輩だからって、ワタシを気にかけてるじゃって思ってて。そうだったらクランまで入り込んで申し訳ないと思って、今日先輩のいない場で聞いたんです。」

「それは誤解だよ!?」

 ウィステリアちゃんが良い子だから、時々一緒に遊んでたんだ。朔夜くんは欠片も関係ない。

「さ、さっきわかりました!・・・コヒナさんがワタシのこと友達だと思ってくれてるのは、ちゃんっと理解したっす」

 良かった。ちゃんとわかってくれたならいいや。

「それで勢い余って、入れて下さいって思わずお願いしたんです」

 そういう流れだったんだ。

「さっき言ったばっかだけど、私もさくたろーもウィステリアちゃんのことを歓迎してる。もし今後君が嫌だっていう奴が出てきたら、そいつの方が願い下げだよ。私たちはもっとずっとこのゲームで、君と遊びたいんだから」

 ふぅ、といったん深呼吸して、彼女としっかり目を合わせた。


「ようこそ、『新月の水鳥』へ」


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