火神の試練
「いや〜無事に勝てて良かったあ」
「おぉ、完全勝利だぜ」
勝ちましたー!
まぁ、勝てない要素がないんだわ。多少苦戦する時もあったけど、なんだかんだ余裕の勝利です。
ロアの時のが大変だったまである。
そして床が光り、転移が始まる。
「じゃあ今から天使に謁見か」
「またガブリールに会えるかな」
「おや?貴女は同胞をご存知で。なるほど、月夜神様の試練を超えた者ですか」
そこには、ガブリールとはまた別の天使がいた。
同じ3対の翼を生やし顔の造形も良く似ていたが、ロングヘアだったガブリールと違い肩までのショートヘア。ガーネットみたいな赤い瞳で、上はほぼ同じだけどズボンっぽい衣装を纏っている。
「僕はサミュエル。火神様より試練を預かる天使です。ようこそ、試練の突破者たち」
まさかの男の天使!?そうきたかー。
「1人は違うようですが、1度経験した者がいるならば説明は省略しましょう」
「いいのかよそれは」
「非効率ですから」
「おお、そういうタイプか」
またキャラがたってんなぁ。
「それにしても、月夜神様の試練に続いて火神様の試練まで裏口を見つけ出すとは。そちらの方、見どころがありますね」
「あ、どうも。そういえば、正規の入口から入ると試練の負荷があるって聞いてますけど、此処はどんなだったんですか?」
「『耐久喪失』です。あらゆる耐久スキルが一時的に封印され、熟練度も得られなくなります」
「うっわぁ」
「それは、キツイな。此処、序盤から火耐性必須の環境だったぞ」
「では貴方たちに紋章と加護を」
よっしゃ、火神の加護ゲットー!
効果は月夜神様のやつの火属性バージョンか。
続いて宝箱が現れる。
中身の確認はあとでにしよう。
他プレイヤーとパーティーを組んでる時、こういう報酬はパーティーの共有という形で所有できる。
そうしておいて、後で誰を誰のものにするか割り振りが決められるわけだ。
ドロップは各自の運任せになるけど。
「次に裏口を見つけ出した褒美なのですが、これは1パーティーに1つ。どちらが受け取りますか?」
「だったらさくたろーでいいよ。私はもう神級のアイテム持ってるし」
「え、本当にいいのか?」
「もちろん」
入口見つけたのはレティだけど、さくたろーが行きたがらなかったら入らなかった訳だしな。
「では貴方ですか。・・・ほう、異端審問官とは稀有な。それに闘術も納めていますね。ではコレをやりましょう」
サミュエルのかざした手から小さな光が現れ、ソレはフワフワと中を漂いさくたろーの元に辿り着く。
光の中から現れたのは、指輪?だ。
幅が広くて、天使の羽みたいな模様がある。
「では元の場所への転移魔法を」
「ありがとうございましたー」
「お元気で」
〈ダンジョン『火神の試練』を突破しました〉
〈称号『火に示す者』を獲得しました〉
「おっ戻ってきた。よし、休憩しながら報酬の割り振り決めるか」
「おっけ。みんな、ご飯あげるからそれ食べて遊んで待っててね」
「キュキュキュ〜」【 幸 】
元気なお返事!可愛いなぁ。
「さっきの指輪ってどんな効果だったの?」
「ああ、コレ、ヤバいぜ」
へぇ!一体どんなだったんだろ。
「まずお前が言った通り、神級で耐久値無限なうえ非奪取アイテムだった」
「神級装備品のマストって感じかな」
「で、コレ。指輪型の魔法系武器だけど、他の武器装備と併用できんだよ」
「ウッソでしょ!?」
基本、装備できる武器は1つまで。
グローブ系は両手に嵌められるけど、アレはワンセットという扱いだ。
私もメインに鞭とナイフの2つを使用してるけど、状況に応じて素早く取り替えてるだけだし。
そして魔法は、剣がないと使えない剣術とかと違って、杖とかの魔法系武器がなくても使える。
装備がないと威力が下がるから魔術師とかには必須だけど、初期固定スキルは例外になる。使ってるほうがいいけど、無くても困らない。
だから私は魔法の効果上げより物理武器を装備していたし、さくたろーも闘術のためにグローブを使っていた。
その縛りがなくなるわけ?激ヤバじゃねーか。
「回復魔法の効果が3割マシになるし、MP自動回復(高)ついてるし、STRにも補正あるし」
「ちょっと待て魔法系装備でしょ最後のなに??」
最後のとこだけおかしくない??
「俺異端審問官だし闘術レベル10だから、そこを踏まえてだろ」
「えぇえ」
「称号の効果も俺としては嬉しいんだよな」
称号『火に示す者』
火神の試練を、
最初に突破した者に与えられる。
効果:STRにレベル×3の数値を加算
物理攻撃型だもんなコイツ。
まぁ私としてもめちゃくちゃに有用なんだけど。
「前の『月夜に示す者』はMPに加算だったんだよな?」
「そうだよ」
「じゃあ隠しダンジョンは全部で7つあるのかもな」
なんで?
「ステータスの数値はHP、MP、STR、VIT、DEX、INT、AGIの7種類だ。それに神は2大神と5神の7柱で、天使の名前的に星に対応してんじゃねーかと」
「えーっと、惑星とそれを司る天使、的な?」
「そうそう。太陽、月、火星、水星、木製、土星、金星の7つの星と、それに対応する天使。確か、月がガブリエルで火星はサマエル」
「へー」
よく知ってるなそんなこと。
「ゲームとかによくでて来るから」
あぁそういう。
「宝箱だけど、とりあえずお金と素材は半々でいい?」
「おう。割り切れないのはお前でいいよ」
やった!
使い道わからないのばっかだけど。まぁ、使えないならクラン用にすればいいんだし。
お金は半分で5千万Cゲットだぜ!もしかしたら私、ゲーム内で1番のお金持ちかもしれないや。
「こっちに入ってた神級装備もコヒナが使えよ。さっきは譲ってもらったし、上級の装備も貰ってるしな」
「じゃあ遠慮なく貰うね」
2つ目の神級ゲットだぜー!
本当は3つ目だけど、ぬいは贄にだしたからね。
えーっと『紅焔の籠手』か。
『紅焔の籠手(神級)』
神の権能によって生み出された籠手。
内に燃ゆる焔が閉じ込められている。
効果:装備時、STR,VITの数値を1.5倍にする。
気温の影響を受けなくなる。
耐久値∞
※非奪取
「おぉ〜〜〜!!!」
カッコいい〜〜〜!!!
見た目は和風な籠手だ。
手の甲から肘までをカバーしてて、でも手袋とは違って指は全部出てるヤツ。忍者とか弓兵がつけてそう。
左腕分しかないけど、私は右利きでいつもナイフは右手で構えてるから、盾みたいに使えてちょうどいいな。
見た目もカッコいい。
布部分は白色で、鎧部分が紅色。説明に中に焔が閉じ込められているとあるように、火が揺らめいている。
私に赤は合わないんじゃないかと思ったけど、黒いローブから赤と白が出てくるのは悪くないや。
「性能も良いなぁ。気温無視ってことは、このダンジョンの暑さももう平気じゃん」
「え、それは羨ましい」
ダンジョン攻略、頑張って良かったー!




