表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
41/48

2つ目の試練  


 まさかこんなところに存在するか。

 いや、第1層の時のもすっごい辺鄙なとこにあったしな。


 多分今のは裏口侵入だったんだろうけど。前と同じで。

 気付くのは難しいけど、誰にも見つけられないってほどでは無い。

 この島もある程度レベルがあれば来られるし、自分のレベルが足りなくてもパーティーメンバーが1人入れれば一緒に行ける。私達はレティに運んで貰ったけどスキル『登攀』があれば、火口を降りることもできたんだと思う。

 全ての隠しダンジョンがそういう、最低限があれば誰もが見つける余地があるようになってるのかも。




 はしゃいでるさくたろーに、月夜神の試練で知った情報を教えてあげた。ダンジョンの場所を除いて。


「へぇ〜旧世界に神々の試練、生まれ変わりの旅人達。いいないいな!そういう設定!!」

「さくたろーって神官系じゃん。ゲーム内の神話関連で、なんか知ってる話ないの?私は教会あんま詳しくないから」

「いや、ほぼほぼ初耳だな。稼働している全ての教会を束ねる大神殿が、上の階層にあるってのは聞いたか?あぁ、あと神様。頂点の2大神にそれに従う5神、その下に数多の神がいるってのは知ってる」

 2大神と5神?それはガブリール言ってなかった。

「俺が加護持ってる医神様も、数多の神の1柱だ。神官系には医神の加護持ち多いけど、それ以外の加護持ってるプレイヤーはお前以外知らない」

 そうだったんだ。

「でも此処をクリアしたら、新しい加護が貰えるんだよな」

「え・・・挑むつもりなの?」

「むしろ挑まない理由がないだろ。レベル40のプレイヤー2人に、強い使い魔3体の5人パーティー。物理、魔法、遠距離、近距離に、回復役まで揃ってるんだぞ。クリアできる可能性は十分にある。もし途中で死んでも、それはそれでゲームの醍醐味ってことで」

 まぁ、確かに新発見エリアに突貫は楽しそうだけど。使い魔達は、先に私が死んだら良いわけだし。


「しょうがないなぁ。行こっか!」



 進む前に、上に置いてきた子を連れて来ることになった。

 リリスは自分で『浮遊』してこれるけど、ルディはレティでも運ぶのが難しい。

 なので、従属魔法Lv9『チェンジ』を使った。

 位置を入れ替える呪文で、これで私とルディの位置を交換。次に私とレティを入れ替えて、上に行ったレティがまた壁面の穴まで飛んでくる。

 これで全員ダンジョン内に揃った。


 さくたろーはそれを見ながら、「なんかこういうクイズあるよな」って言ってた。




 少し道を進んで開けた場所にでたが、そこには溶岩の川が流れていた。壁からもマグマが噴き出てる。

 活火山の中の洞窟にあるダンジョンだからかな。

「多分、火か炎の神の試練だろうな」

「そーだろーねー」

 あっじぃ。熱気がこもってる。

 頭上に水を出して頭っから被ってみたけど、焼け石に水だわこれ。

「モンスターも燃えてるし」

 何体かモンスターにも遭遇した。

 火鼠とか、火土竜とか、溶岩の中を泳ぐ魚とか。どいつもしっかりレベルも高くて強いから、無傷撃破とはいかない。

 徹底した火責め。火耐性がなかったら危なかったわ。


 落ちたら即死の溶岩に気をつけつつ、みんなで通路を突き進む。朔夜くんもマップは全て埋める派の人間だから、その辺は揉めずに済んだ。


 2人で雑談しながら進む。人と一緒に挑む冒険も悪くないな。


「ドロップの『火鼠の皮』って、どっかで聞いたことある気がする」

「・・・竹取物語じゃねーの?」

「それだ!かぐや姫が5人の求婚者のうち1人に取って来させようとしたやつ。通りで聞き覚えがあったや。あー、スッキリしたぁ」


「コヒナまだフレンド俺とウィステリアしかいないわけ?」

「う、うっさいな!・・・テイマー友達作れるかと思って、ちょっとテイ協に居座ったりしてみたけど、できなかった」

「変なことでも言ったか」

「いや、自分の使い魔の話題で殴り合いしてる人しか居なくって。気持ちはとってもよくわかるけど怖いなーと。声かける前に逃げた」

「あー、そういや聞いたな。テイマー界隈は魔境だって。でも気持ちがわかる時点で、お前は立派な同類だぞ」


「この前はあんま見なかったけど、さくたろーの戦闘スタイル怖いね」

「は?なんで?」

「その、何?継続回復魔法?を、自分にかけてひたすら殴るやつ。味方でも嫌なやつだと思うから。重い攻撃くらったら普通の回復もするし、状態異常もすぐ治すし」

「ははっ!確かにどんだけ殴られても回復して戦い続けるから、友達からはゾンビ神官って言われたわ」


「そうだ。今度おばけ柘榴の苗木貰っていいか?」

「え、ついに?」

「おう!無事『上級農家』に転職して、上級クラスの育成ができるようになったし、樹を育てる『植樹』のレベルも上がったしな」

「おー!おめでと」


「お前はサブ職まだ転生しないのか?」

「あー・・・実は今日さくたろーと合流する直前に、調合Lv10になった。時間なかったからまだ転職はしてないけど」

「やったじゃん。もしかして『上級調合師』以外も出たのか?」

「・・・あと1つ、候補に出てきたよ。『毒薬者』」

「それにしろよそれがお前の天職だ。俺を毒殺したんだし」

「やかましい!」


「海の階層だから、水の神だと思ったんだけど全然違ったなー」

「まあ第1層が闇属性を司る神だったんだし、階層の特徴とはまた別なんじゃない?」

 階層の特徴と、そこにある試練を用意した神が一致していない。

「正規の入り口から入るには、対応の神の陣に魔力を倒す必要があるんだよな。広い階層の中でダンジョンのありそうな場所を見つけ出して、その試練を用意した神を当てないと入らないようになってんのか」

「神については当てずっぽうでも行けるでしょ」

「大神殿で入手できる神の紋の数が膨大だったら?あるいは、間違えると当分入れないペナルティがあるとか。あり得る話じゃね」

「あー確かに」


 E・Oは自由なゲームだ。

 強さを求めてガンガン戦うもあり、のんびりスローライフ感覚で楽しむも良し。戦闘職だけ鍛えてる奴もいれば、ウィステリアちゃんみたいにサブ職ガチ勢やってる人もいる。

 最初にミッションみたいな感じで「冒険者になろう」って言われるけど、アレも無視して冒険者にならないこともできるみたいだし。

 何にでもなれる。何だってできる。

 プレイヤーの共通点は旅人であることだけ。


 そんなゲームが第6層まで解放されて、やっと出して来る旅人のやらないといけないこと。シナリオらしいシナリオだ。

 それを簡単にクリアさせてくれるとは思えないし、さくたろーの言うことも一理あるかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ