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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
31/48

第一回イベント その2


「ふぁ〜あ・・・おはようルディ」

「バウ!」【  欲  】

「はいはい、ご飯食べようねー」

「ワン!」【  幸、喜  】

 んー、2日目だぁ。

 今の時間は6時ね。イベント終了は明日の9時だから、あと27時間だな。

 もう始まって21時間経ったわけか。開始前のメンテ入れれば、それ以上にリリスとレティに会えてない・・・テンション下がる。

「会いたいよー」

 横のモフモフに顔を埋めて言うけど、余計寂しくなるだけだ。ルディとの触れ合いは嬉しいけど、それとこれとは別なんだよー!

「うぅ、残りの時間も、頑張る。この辛さに見合った成果を得ないと」


 今日も水場を回って、毒を撒いて水棲モンスターを狙い撃ちにしよう。

 時間はあるし、さらに上流から流したいなー。水源とか見つけちゃったら最高だ。

「本格的に、山登りするか」

 川沿いに沿って進めば、迷子にはならないかな。




 わあい、ルディの背中で快適登山!あっという間にこんなところまでー。

 もう森林地帯の中で、1番高そうな山。もうその中腹まで着いちゃった。


 いや、最初は私も自分の足で登ってたんだけど、上下運動きっつくて。途中で、これ意地張らずに大人しくルディに乗せてもらったほうが速いな?と気づいてしまったんだよ。

 気づいたらもうダメだった。人間は楽を知って堕落する生き物なんだと、身をもって理解したんよ。


 ほぼ直角の険しい坂も、巨大な岩だらけの不安定な足場も、気にせず突き進んでいく。

 うちの使い魔が頼りになるぅ!

「川はまだ続いてるね」

 途中で大きな滝も越えたけど、まだ上から流れてるみたい。


 道中では初見の猿型モンスターに遭遇した。『フォレントモンキー』ってやつ。

 平地の猪もお初だったけど、こっちの方が印象が強い。

 なんせアイツら、木の上から石投げてきおったし、数回に一回泥団子だったわ。当たるとこっち指さして笑ってきて、大変腹ただしかった・・・思い出すとまた腹立ってきたな。

 くっ、次に見かけたら先手でアローぶち込んでやる。やられる前にやってやる。


「ガウ」【  楽  】

「どした?・・・お〜〜!!」

 辿り着いた場所では、陽の光で水面をキラキラと輝かせる巨大な湖が広がっていた。

 絶景〜〜〜!!!すごい綺麗!!

「ワンワウ!」【  楽  】

「水遊びしたいの?んー、ちょっとだけだよ」

 ルディが遊ぶなら毒撒くのはちょっと待つか。毒耐性極めてるから平気だろうけど、万が一があるし。


 あー水辺ではしゃいでる。実にワンちゃん、癒される〜。私も遊ぼっかなぁ。

「あれ?なんだろ」

 水の中に、一際輝いてる場所がある。

 拾い上げてみたら、あったのは水色の水晶と灰色の石が半々ぐらいの物体。

「綺麗な石?」

 鑑定で調べるか。

 でも、スキルを使う前にルディが駆け足で戻ってきた。

「ガルルゥ」【  警  】

「!敵かい?」

 慌てて周囲を見渡す。今日はあんまり人に会ってなかったから、油断してた。いったいどこだ?

 登ってきた森ばかり警戒してたけど、敵が現れたのは逆方向の、湖の中からだった。

 整った蹄を揃え、麗しい立髪を揺らし、下半身の鱗を煌めかせ、そのモンスターは水面に立っている。


『ケルピー Lv40』


 レベルが高い。白金フィールドで見た中で、1番強いモンスターだ。

「逃してくれそうにないね。ルディ、2人でやるよ」

「ガウ」【  奮  】

 水魔法は効かないだろうから、とりあえずファイアアローだ。

 試しに1発打ってみたけど、軽快な足取りで避けられた。動きが速いな。

 私たちは水上を歩けない。かといって、水に潜っても勝ち目はない。いくらルディの潜水のレベルが高くたって、水棲モンスターに敵うほどじゃないわけだし。


 ドゴォッ


「うおあっ」

 なに今の、ジェット噴射か?地面抉れたんですけど。

 多分水魔法だろうけど、遠隔で攻撃できるんね。アイツ。


「私が魔法で陸まで誘導するから、ルディは水辺で待機して。そばまで来たら容赦なくやっちまえ!水に引き摺り込まれるのだけは、何としても回避してね!」

 確か伝承のケルピーは、人を水中に連れ込む習性があったはず。そこの設定を踏襲しててもおかしくない。

「ガウ!」【  警  】


 またファイアアロー、でも狙いはケルピーじゃない。そのすぐそばの水面だ。

 直接狙っても逃げられるなら、近くで爆発でも起こしてやればいい。


 バシャアン!


「ヒィーン!」【  警  】


 よし、左に飛び退いた。次は右後ろ狙いで、ファイアアロー!


 バシャアン!


 にゃ!?また水のジェットきたな。でも直線攻撃とか避けるの楽勝なんよね!

「おら次だ『ファイアアロー』『ファイアアロー』おまけにも一つ『ファイアアロー』!!」

 派手な水飛沫をあげて魔法が湖に当たり、そのたびに水面が大きく揺れ動く・・・走りづらそうにしてる。

 水の上を歩くのって、そんなに万能じゃないんかな?良い想定外だ。もっと揺らしてやんよ。

「おりゃー!!」


 私とは距離を保ったままだけど、だいぶ岸の方までよってきたな。

「あ、はは・・・そんなとこまできちゃって良いのか?忘れてるかもしれないけど、私は1人じゃないんよ、ね!」


 『潜水』はレベル1で2分、その後レベルアップごとに1分づつ水中での活動時間が増えていく。


 お前がルディを見なくなってから、いったい何分だと思う?


「ガルラァア」【  殺  】

「ヒュイアァア!?」【  恐  】


 浅瀬に潜伏していたルディが飛び上がり、ケルピーの首を噛みちぎり腹を爪で切り裂いた。

 ケルピーは悲鳴をあげながらその場に倒れる。


「やったー!ルディ、イェーイ」

「ワンッ」【  喜  】

 消えたケルピーの体を確認してから、ルディに抱きついた。わしゃわしゃ毛を撫でまくると、ルディも喜んでくれてる。

 作戦最高だぜー!


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