大都市ランスへ
ダンジョンから出て、とりあえず大都市ランスを目指すことにした。もうルーズ付近にいる理由がないからね。
そのために10SPかけて取得したのが『騎乗』スキル。
他人に乗せてもらうならともかく、自分で運転したり動物に乗るにはこのスキルが必要になる。
ないと、落ちたり事故るんだとか。
ルディの背中の少し後ろ側に座って、リリスを抱えて私の胸にもたれるようにおさまるレティとタンデムだぜ!
ルーズからランスまでは、プレイヤーの徒歩平均1日。乗り物を使えば半日。もっと足の速いルディなら途中で休憩を挟んだり寄り道しても、さらに短い時間にたどり着ける。
道中もなかなか楽しかった。
赤キノコなどの調合素材を採取したり、ゴブリンやコボルトを倒したり、充実していたわ。経験値はほぼなかったけど、ゲームの王道モンスターと戦えたことに意義があるよね。
それに、他のプレイヤーを見かけることが何度かあった。
私が地下に潜ってる間にゲームの第2弾が発売され、新しいプレイヤーがたくさんやってきたからだ。
そのせいか前に見た時よりルーズ付近も賑わってた。
人気があるのはいいことだ。
「そうこうしていてたどり着いたよランス!」
とりあえずギルドに向かう。場所は衛兵の人に聞いた。
街の中にルディたちが一緒に入れるか少し心配だったけど、問題ないみたいでよかった。
ルーズよりもデカくて立派なギルドの建物。
まずは依頼をこなす。道中にでたモンスターの、ドロップ品の納品依頼だ。
そして地図の購入。この街大きいから、ちゃんと買っとかないと迷子になっちゃう。
これで目的地の場所がわかった。
いざ行かん。協会!
「おぉ〜」
テイマー協会は、街の少し外れの方に居を構えていた。いろんな人が使い魔を連れてるからかな。
広々とした建物はあったかみを感じる木造建築で、横に使い魔用だろうドッグランみたいなグラウンドがある。
「お、邪魔しまぁす」
他のテイマーに会うの初めてだから、緊張してきたな。
中もたくさんの人と使い魔で賑わってる。ウサギ連れてる人多いな。
「いらっしゃいませ」
「あ、えと。テイマーの、コヒナです。これ、ギルドカーですド。今日初めてランス来て、テイマー協会に所属したいと思ってここに来ました」
名乗るの久しぶりすぎて、どんな名前にしてたかちょっと出てこなかった。
「まあ!入会希望の旅人さんですね。所属には使い魔を1体以上テイムしている必要がありますが・・・大丈夫ですね。では、お手続きいたします」
「お願いします」
「最後にこちらの水晶にギルドカードをかざして・・・はい。これでお手続きが完了しました」
カードの下に『テイマー協会所属』の文が増えてる。
「ではテイマー協会について、ご説明しますね」
「はい」
「まず協会では、冒険者ギルドの依頼のうち、テイマー向けとされるものをギルドを介さず受注いただくことができます。報告も、こちらでいただけます」
「へー」
「特にモンスターの生態調査でしたら、いつでも受けられますよ」
生態調査?
「モンスターの行動や食性、その他様々な情報を協会に報告いただく仕事です。対象はご自身の使い魔でも、野生のモンスターでも構いません。内容によりランクと報酬は変動しますが、場合によっては自身のランク以上の依頼を成功したという評価も得られます」
「なるほど」
当然上のランク扱いなら、そのぶん報酬も高くなる。
「ただ、お渡しいただく情報は協会発行のモンスター図鑑に記載されることになりますので、そちらはご留意いただく必要があります」
あー、自分の使い魔の情報を出しすぎると、いろいろ出回っちゃうわけね。
「また、各大都市の協会支部には使い魔用品の販売店が併設されています。協会員ですと、一部商品に割引が効くのです。こちらランス支部にもありますので、よろしければどうぞ」
使い魔用品専門店!絶対見ないと。ブラシとかあるかな〜。
「協会は皆様の、より良い情報交換の場です。コヒナ様のお役に立てることを願っております」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
よしでは早速お店だお店。
店名は、ペットショップ ランス支店。そのまんまだな。
まあいい。重要なのは品揃えよ。
「お風呂用の洗剤。みんなわけるべきよな・・・リリスはどれにすればいいん??」
「い、犬系モンスター用ブラシだけでこんなにたくさん。これとかどう?」
「レティにも、可愛い櫛を買ってあげようねー」
「ルディは首輪とか嫌かな?」
「せっかくだし、2人にもリボン買おっか」
豪遊してしまった。いや、いくつかは割引が効いたし必要なものばかりなんだけど、のべ1万Cのお買い物。
さっそく装飾品をみんなにつけた。
ルディには、ダークブルーの首輪。リリスにはスカイブルーのリボンを右手の方に巻いてあげて、レティはコバルトブルーのリボンをカチューシャみたいにしてあげる。
「よし、可愛い!」
コヒナは髪を青色にしてたから、これでみんなお揃いだ。・・・独占欲強いやつみたいで恥ずかしいな。
次なる目的地。調合協会についたぜ。
調合協会は街中にあったけど、世界観を壊さないギリギリを攻めてる研究所みたいなところだった。中もなんか、薬品の匂いがする。
所属登録までの流れはテイマー協会とほぼ同じだ。
ただこちらは、調合した物の納品が主に受けられる依頼みたい。他にも物によるけど、素材や調合した物をギルドより高値で買い取ってるからそうだ。
あと、ギルドランクと調合の腕前次第で、協会で保管しているさまざまなレシピが閲覧できるようになるらしい。
併設で、調合系統の道具を売ってる専門店もある。
とりあえず道具を一通り揃えて、脱初心者セットしといた。




