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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
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報酬の確認  


「あ、戻ってきた」

 大怨霊と戦った場所に戻っていた。戦闘で崩れた瓦礫などは綺麗さっぱり修復されている。

 近くの床に魔法陣がある。あれがダンジョンから出る帰還用の陣か。


〈ダンジョン『月夜神の試練』を突破しました〉


〈称号『月夜に示す者』を獲得しました〉


〈称号『試練の突破者』を獲得しました〉


〈ワールドアナウンスにプレイヤーネームを記載しますか?〉


「ワールドアナウンス?よくわからんけど名前は無しで」

 まだ色々飲み込めてないんだよ後にしてくれ。


《ワールドアナウンス:称号『試練の突破者』をプレイヤーが獲得しました》


「何コレぇ」

 鐘みたいな音が響いた後、称号がどうとかいう音声が聞こえてきた。今の何?

 ログを確認したら、聞こえた称号が私が得たものだとわかる。

「今のについて、なんか情報ないかな・・・げぇ!」


 私は知らなかったが、特定の状況を最初に満たしたプレイヤーには称号が与えられるようになってたらしい。称号には強力な効果があるから、みんな欲しがってるとかなんとか。

 その中でワールドアナウンスが流れ全プレイヤーに周知されたのは今まで2つ。

 初の階層ダンジョンクリア時と、初の上位職への転職者の時。

 そして私は映えある3回目になっちゃったわけか。

 犯人を探して、ゲーム内掲示板が沸いてやがる。

 あんま悪目立ちしたくないし、名前出さなくてよかったー。




「じゃあさっそくローブ見てみよ」


『星屑のローブ(神級)』

神の権能によって生み出されたローブ。

内に星屑が閉じ込められている。

効果:装備時、DEX,INT,AGI の数値を2倍にする。

耐久値∞

                   ※非奪取


「やっばぁ」

 ステ3つも上がるの良いし、何より耐久値が∞。どんだけ使っても攻撃受けても、壊れないってことじゃん。その上非奪取。盗まれる心配がないとか最高か?

「そんでもってデザインも好きだなー」

 外側は黒地に銀の糸で模様が少しあるだけの、普通のローブ。でもその内側には夜の星空が広がっていた。

 布の中で、時々星が瞬いたり流れたりしてる。

 オシャレ、可愛い。


 もう1つの神級も取り出した。


『エンジェルぬいぬい 

 モデル・ガブリール(神級)』

天使ガブリールの姿を模したぬいぐるみ。

神聖なオーラを放っている。

効果:装備時にスキル『光無効』付与

耐久値∞

                 ※非奪取


「え、無効!?」

 耐性がスキルマしてもそれ止まりだったから、無効スキルは無いんだと思ってた。

「コレも耐久値∞の非奪取なんだ」

 神級はデフォでこれなんかな。


「キュキュー!!!」【  奮  】

「うお!」

 ぬいぐるみを弄ってたら、リリスがすごい興奮しながら飛びついてきた。

 これは、もしや。

「・・・食べたいの?」

「きゅー」【  欲  】

 確かに布製品だけど、ぬいぐるみまで食べたがるとは。

 ・・・神級を捨てるみたいで惜しい気もするけど、リリスが欲しがってるし、考えなくてもそっちの方が重要だしな。

 それにガブリールだってリリスに合わせるって言ってたし、むしろこれこそ正しい使用方法じゃね。

 そもそも耐久値∞なんだから、食べても平気なんじゃ無いか?

「よしあげよう!よく味わって食べるように」

「キュッキュキュゥキゥァー」【  喜、好、幸  】

「待って今のなに??」

 しばらく見ないうちに感情視さんがとんでもない進化を果たしてた気がするんだけど、気のせい?今Lv8だっけ。こんなん出来るようになってたんだ。


「うわぁ」

 エンジェルぬいぬい。リリスに喰われたそばから再生してる。・・・・・・なんかキモいな。

「まぁいいか。リリス、それあげるから待ってていいよ。どれだけ食べても無くならないご飯だ」

「キュイキュイ!」【  喜、幸、幸  】

 同じ文字が続くバージョンもあるのか。



 さて、じゃあ次は称号について確認しよう。



称号『試練の突破者』

   神の試練を最初に突破した者に与えられる。

   効果:全ステータスにレベル×3の数値を加算


称号『月夜に示す者』

   月夜神の試練を、

   最初に突破した者に与えられる。

   効果:MPにレベル×3の数値を加算



「いやこれヤバすぎない」

 大怨霊倒したのでカンストしちゃって我今40レベルぞ。

 40×3て120じゃん。全てプラス100以上はエグいでしょ。

 みんながこぞって称号欲しがる理由がわかったわ。これは強力すぎる。

 示す者の方はMPに加算か。これだってスゴい効果だ。戦闘中に魔力切れしたら最悪だもん。

 あと神の加護って欄がステータスに増えてる。

 月夜神の加護は『夜時間及び闇属性の領域で、ステータス微上昇』ね。

 称号が凄すぎて地味に見えるけど、普通に嬉しいな。


「そういや、大怨霊のドロップ見てなかったな」

 なにが手に入ってたんだっけ。


怨霊(おんれい)の香(上級)×15』

『水銀(上級)×20』

霊成(れいじょう)手袋(上級)×2』

『ヴェンジフルブック(英雄級)』

『魔鋼(英雄級)×3』

『青彼岸(英雄級)×2』

『溶けずの氷塊(英雄級)』


 上級と英雄級がいっぱい!装備品も落としてんじゃんやったー!

「この本は、魔法職用の装備品かぁ。杖はよく見るけど、本型のやつは初めて見るや。定番だけど」

 闇魔法の威力倍増効果がある。

 使い魔に装備させれるみたいだし、リリスにあげようか。でもタオル姿で本って持てるのかな?


 確認も終わったし、帰ろうかなぁ。

 でもみんなもだいぶレベル上がって、進化も近づいてきてるし。もうちょいここでレベリングしとこっかな。

 このダンジョンほど効率のいい場所は、相当先まで進まないと無いだろうし。


「朝になったところじゃん。どっちにしろ帰れないわ」

 ぬいぐるみ持ってるリリスはともかく、陽を浴びたらルディが危ない。

 今の私の所持品に、この子を隠せるサイズの布も無いし。

 どっちにしろ夜になるまでは出られないな。


「とりあえず夜までは頑張ろっか。目指せ進化だー!」

「きゅー!」【  喜  】

「ワウ」【  楽  】

「チチッ」【  奮  】




 結局、みんなが進化できるまで粘ってしまった。

 廃教会の上に戻って墓地、森、廃墟をぐるぐる回るレベリングコース。

 休憩中にはおばけ果物シリーズ私も食べてみたけど、現実でも食べたことないくらい美味しかった。トレント狩りが捗りましたわ。


「リリスはどんな進化先があるかな〜」


〈進化先候補〉

『ビッグクロスファーゴースト』

『エンジェルぬいゴースト』


「・・・・・・」

 両方どんなのか想像つく。でも下の方は鑑定しておこ。



《エンジェルぬいゴースト

 属性 無生物、死霊、憑依、神聖

 天使のぬいぐるみに取り憑いた、

 ゴーストのモンスター。

 パペットゴーストの亜種。

 進化条件 光魔法Lv5以上を取得。

      エンジェルぬいぬいを、一定以上摂取。

      主人への好感度が80以上ある。

 ※エンジェルぬいゴーストへの進化には、

  エンジェルぬいぬい1つを消費します  》



 キャラの好感度は、NPCもモンスターも+-100内で上下する。つまり80以上は相当高い。

「リ、リリス〜っ」

 私をそんなに好いてくれてるなんて!私も大好きだよ!!

「好感度高くないと成れない進化にするしかないじゃん」

 ぬいぬい無くなるみたいだけど仕方ないよね!



リリス

種族 エンジェルぬいゴースト LV1

特性 共有  性別 無

HP 290  MP 450

STR 127

VIT 145

DEX 170

INT 225

AGI 150

スキル 浮遊LV1 闇魔法LV6 魔力感知LV9 

    採取Lv5 遊泳Lv5 光魔法Lv7 

    打撃耐性Lv8 毒耐性Lv7 闇耐性Lv7 

    呪いLv8 火耐性Lv5 水耐性Lv5 

    風耐性Lv3 光無効



 おおぅ。

 想像通りの、エンジェルぬいぬいモデル・ガブリールの姿になったな。一瞬、リリスが消えてぬいぐるみだけ残されたのかと思った。

 あ、でも背中の羽が1対しかないわ。

 ついつい抱き締めちゃったけど、触り心地と抱き心地すごいな。スベスベでフカフカ。

「キュイ」【  幸  】

 ファンシーな世界の住人みたいで、今までとはまた違う愛らしさを感じる。ゆるふわ可愛い!


「あっ!」

 光無効がスキルに入ってる!正直無くなるのは痛いと思ってたから、ラッキーだわ。

 ?なんでレベル表記ないんだろう。・・・まぁ、熟練度を溜めなくてもいいのは楽でいいや。

 特性も変わってる。

 もう日光平気だし擬態じゃなくなるのは問題ないけど、これはどんな効果だろ。


『共有』

 保有スキルの1つを仲間と共有する


「特性に使うスキルは『光無効』でお願いします!」

 よっしゃこれでルディも日中も行動できる!

 まさかガブリール、これらも見越してのエンジェルぬいぬいだったのかなー!?とんだイロモノ渡されたとか思っててごめんなさいです!



「んん、気を取り直して次はルディだ。2つあるけど・・・どっちもよくわからん。『鑑定』」


《ヘルハウンド

 属性 猛獣、妖精、死霊、悪魔

 不吉の象徴にして悪魔の化身でもある、

 黒犬姿の妖精のモンスター。

 凶暴にして凶悪。

 進化条件 闇耐性Lv10以上所持

      人に使役される      》



《チャーチグリム

 属性 猛獣、妖精、死霊、守護者

 黒犬姿の妖精であり、守護霊のモンスター。

 温和な性格だが悪戯好き。

 進化条件 教会及び墓地フィールドで、

      一定以上敵を倒す

      一定数以上仲間を庇う行動をする

      主人への好感度が80以上ある  》



 好感度進化〜っ!

 ヤバい嬉しいが連打されてる。感動でボッコボコにされちゃう。

 頼りにしちゃうことが多くて、飼い主としてちゃんとやれてるのが不安になることもあった。でも、私の大好きな気持ちは伝わってたんだね!



ルディ

種族 チャーチグリム LV1

特性 不吉  性別 オス

HP 320  MP 258

STR 215

VIT 160

DEX 200

INT 129

AGI 230

スキル 牙術 爪術 強盗Lv7 疾走LV6 闇耐性

    気配探知LV6 隠密Lv5 毒耐性 

    潜水Lv6 吸血耐性 誘引Lv4 予感Lv8

    水耐性Lv4  火耐性Lv5 風耐性Lv4 

    守護Lv1



「カッコいー!」

 パッと見はあまり変わらないけど、私にはわかる。

 瞳は前と同じ朱殷色だ。でも毛の色が、漆黒から紫黒色になってる!

「前も品があって良かったけど、今のも素敵だよ。オシャレ上級者感。綺麗みマシマシ麗しい美し!」

「ワフン」【  喜  】

 し、尻尾フリフリしてる可愛い!カッコ良くて綺麗で可愛いとか無敵じゃんか〜。


 新スキルの『守護』は、仲間を庇う時、ダメージが減少するものだった。

 大怨霊と戦った時たくさん頑張ってくれたから、この候補先の条件が満たされたんだろう。

「ありがとね」



「さーお待たせレティ。最後は君の番だぜ」

 この子の候補先は、と。


〈進化先候補〉

『サーヴァント吸血鬼(ヴァンパイア)

『ナイト・サーヴァント吸血鬼(ヴァンパイア)


 え、吸血鬼?コウモリは??

 ど、どういうことだ。詳細を確認しないと。


《サーヴァント吸血鬼(ヴァンパイア)

 属性 猛獣、吸血鬼、死霊、ヒト型

 従者たる吸血鬼のモンスター。

 下級だが、プライドと向上心は一級品。

 進化条件 吸血Lv10を所持

      一定数以上プレイヤーの血を吸う

      主人への好感度がマイナスではない》



《ナイト・サーヴァント吸血鬼(ヴァンパイア)

 属性 猛獣、吸血鬼、死霊、ヒト型、守護者

 従者たる吸血鬼のモンスター。

 下級だが、主人を守り支える気概は一級品。

 進化条件 吸血Lv10を所持

      一定数以上プレイヤーの血を吸う

      一定数以上上級以上の柘榴を食べる

      人に使役されている

      主人への好感度が80以上ある   》



 ぞ、属性にヒト型が・・・でも猛獣もそのままある。てことは、いわゆる獣人みたいな感じでコウモリ要素を残しつつ人に近い外見になるのかな?

 ・・・進化先が吸血鬼になったのもしかして私のせいかな。両方プレイヤーの血が条件にある。欲しがるからって、あげてたのが原因だよなぁ。まさか、こんなことになるとは。

 下の方は柘榴も条件にある。鬼子母神の俗説に因んでんのか?使役者も何者か、から人にされてるし。


 てか属性多くない?

 どっちになっても、うちの使い魔全員死霊になるんだけど。リリスの新しい特性の有り難さがおさまらないな。


 ヒト型モンスターをテイムする気は私にはなかった。

 このゲームに私が求めたものは、ペットだ。人みたいな見た目のやつをペット扱いできるほど、上級者じゃないんだもん。

 でも、進化してそうなるのは考えてなかったな。

「・・・レティは進化するのと、今のままと、どっちがいい?」

 両手を差し出して、本人の意見を聞いてた。

「チ」

「進化したい、か。・・・じゃあどっちがいいか、ナイトが良ければ左手で、違うなら右手ね」

 迷わず左手を、ちっちゃいおててがキュッと掴んだ。


 この手ともお別れか。


「オッケー、了解だ」



 光に包まれたレティは大きくシルエットを変えて、進化した。人型の動物に。

「ケモイ!」

 思ってた以上にケモイ!


 例えるならケモ度7割。

 髪があるし、ゴシック調の使用人服を纏う胴体シルエットは、背中に羽が生えてる以外人っぽい。でも顔はほぼさっきまでの獣系コウモリだ。

 袖から除覗いた手の形状はまんま人並みサイズになったレティの手だし、首や腕も毛が生えてた。

 某借金返済島開拓ゲームに出てきそうな、そんな姿だ。

 100cmなさそうなサイズ感もあって、余計にそう感じる。


「フレンズ系を想像してたけど、意外なのになったなぁ」

 それに、案外受け入れられてる自分も意外だった。

 ダークブラウンの毛と、それよりもっと黒に近いショートカットの髪。私の腰より少し上くらいの位置で、耳がぴょこぴょこ動いてる。

 うん。可愛い。守りたくなる愛らしさ。

 ペットと扱うには憚れる感じにはなったけど、大事な家族だと思ってる。どんな姿になっても、理想とは違くなっても、他の2人と同じくらい大切に感じてる。

 私はレティを、レティだから愛せてる。


「そうだステータス」

 見た目にもってかれすぎて忘れてた。



レティ

種族 ナイト・サーヴァント吸血鬼 LV1

特性 血液超回復  性別 メス

HP 260  MP 280

STR 150

VIT 130

DEX 185

INT 140

AGI 202

スキル 吸血 無音LV7 牙術 遠視LV9 

    闇耐性Lv8 怪音波Lv1 毒耐性Lv9 

    影操作Lv5 火耐性Lv4 水耐性Lv4 

    風耐性Lv3 眷属召喚Lv1 剣術Lv1



 特性は、さらに回復効果が上がってるのか。

 それで、新しいスキルは眷属召喚と剣術ね。ついに接近攻撃手段も獲得じゃん!

「ナイトって、夜じゃなくて騎士の方だったんだ」

 召喚の方は、眷属としてコウモリが召喚できるんだ。

 吸血鬼っぽい!




「じゃあみんな。今からダンジョンから出るよ」


そうして私は、久方ぶりに外の空気を吸った。


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