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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
23/48

ラスボス戦


『旧世界の大怨霊』

『スケルトン Lv35』

『スケルトン Lv35』

『スケルトン Lv35』


「な、なにあれ」

 パッと見はゴーストに似てる。でも何倍も大きくて、頭蓋の上からベールのような物を被ってた。そして何より、悍ましくて、恐ろしいオーラを放ってる。

 間違いない。ダンジョンボスだ。

 周囲に現れたスケルトンは、ボスの取り巻きだろう。次々に、40体近くが出現し出した。


 入り口は封鎖されている。逃げ道はない。戦うしか、ない。


「ゴーストには物理攻撃が効かない。ルディは取り巻きのスケルトンを惹きつけて!私たち3人は大怨霊を狙おう!リリスは光魔法をメインでお願い!!」

「ガルルッ」【  奮  】

「キュ!」【  殺  】

「的はデカいけど、攻撃を喰らおうものなら1発でアウトかもだから、とにかく気を付けて!」

「チー!」【  警  】


 ・・・今一瞬リリスの吹き出しからなんか物騒なもんが見えたんだけど、気のせいかな?

 いや、いいか。やる気が、もとい()る気があるのは良いことだ。少なくとも今は。


 召喚モーションが、終わる。

「来るぞお!!」




 大怨霊の攻撃は主に魔法だった。

 属性は闇、水、火の3つ。

 眼孔のところが空の時は闇を、青い火の玉が現れたら水、赤なら火を使ってくる。

 基本的には高威力のアローを放ってきて、2秒の溜めがきたらそれが広範囲に撒き散らされる。

 近づき過ぎたらハンドも使ってくるけど、その間は遠距離攻撃が止まる。


 こっちの要はリリスだ。

 壁や、飛び回り妨害するレティを足場に宙を飛び回り、攻撃を回避しながら光魔法を叩き込んでいた。

 ただアイツしっかりシールドも張りやがる。ムカつくな。


 私も大怨霊の放つ魔法にぶつけて、リリスたちへの攻撃を妨害していた。

 上手いこと飛び交うアローにぶち当てて、爆発させたり逸らしたりするんだ。ヤツの目の前で当たると爆発ダメージを与えられるし、視界も防げる。

 鞭のために上げていたDEXが、こんなとこで役にたつとはだ。

 一瞬「爆破って効くんだ」って思ったけど、魔法同士によるものだから物理判定じゃないってことだろう。きっと、多分。


 ルディも頑張ってくれてる。

 スケルトンが私の方に来ないよう、ヘイトを稼ぎながら1体ずつ確実に仕留めてた。


「・・・!溜めが、あれ?」

 ルディの方を気にしていたらヤツがまた攻撃を一時止めたから、溜めからの広範囲攻撃だと思ったんだけどな。

 身構えたそれはこず、5秒ほど身を捩るようにした後、またさっきまでみたいに戦い始めた。

「なんだあれ」

 もしかして、こっちが気付かないうちに弱点を付いてた?でもリリスもレティも私も特別なことはしてないし・・・取り巻きにギミック付きか?

 あの時ルディは、スケルトンを1体倒してた。あのスケルトンは・・・他の奴らと違って、宝石のついた剣を持ってたな。


「ルディ!武器に宝石の付けたヤツを仕留めてー!」

 アシスト・アップをかけながら頼めば、即座に狙いを定め迅速に倒してくれる。

 ああ、また大怨霊が動きを止めてる!

「リリス今だフクロにしろー!」

「キュー!」【  奮  】

 なるほど。特定の取り巻きが倒せば、隙が作れるわけね。そのタイミングで攻撃すれば、一気に体力を削れる。


「ルディは今のと同じスケルトンを優先的に、間を開けて倒して。リリスは私が合図するから、集中攻撃して!」



 よし、いける。

 攻略法が分かってから、だいぶ削れてる。そうとう弱らせることができた。

「宝石スケルトンラス1ぃ、リリスお願い!」

「キュキュウ!」【  殺  】

 これで倒せたら良いんだけど。


「がぁあああぁあ!!」【  怒  】


 大怨霊は頭を抱えるような仕草で苦しんだ後、叫び声をあげ、両腕を振り回し始めた。

「キュゥ」【  苦  】

「チィ」【  苦  】

「2人とも!?」

 腕に当たった2人が壁に叩きつけられた。

 何しゃがんだアイツ。つか体触れんのかよ!

「てい!」

 初日に買ったナイフを投げつけたら、素通りして遠くの床に落下した。

「当たらんのかい!」

 え、こっちの攻撃は当たんないのに向こうは触れんの?一方的に殴り放題??ふざけんなよ???

 そんで眼孔が右は空のまま、左に火の玉が浮かび上がっている。発動し出した2属性の魔法。

 同時発動とか有り?

「くそっ!ゲージ削れたらモーション変わるタイプかよ」

 2種に増えた魔法攻撃に加え、バカデカい両腕での物理攻撃まで、それにハンドも使うから近づくのはほぼ不可能。

「せっかくここまで来たんだ。もうちょい粘るぞ!」



「よしよしよし、だいぶ追い詰めてる。みんな、あともうちょっとだから!」

 さらに過激さを増した猛攻の中、地道に削り、どうにかここまできた。見た目ではわかりずらいけど、動きが鈍っている。

 大変だった。

 怒り狂ってるからかシールドは張られなくなったけど、その分攻撃に全振りしてきたからな。

 リリスとレティが頑張ってくれて、私も妨害や回復をしたりしたし、取り巻きを倒し切ったルディも庇ってダメージを引き受けたりしてくれた。

 もうリリスもMP切れが近い。それまでに倒し切れるかが勝負だ。

 よし、また魔法が当たった!


「があ゛ァあ゛あ゛あ゛ア゛ア゛!!!」【  憎  】


 ぶおぉおおお!!


 ヤツが咆哮した途端、室内に猛風が吹き荒れ始めた。

「うわあ」

 立っていられなくて、地面にうずくまるようにしがみつく。

「!そうだ2人は・・・」

 私が耐えられないほどの暴風を、ただでさえ軽いのにその上空中にいる状態で耐えられるわけない。

 見上げれば、吹き飛ばされて台風に巻き込まれてるみたいになってた。

「キュー」【  怖  】

「チー」【  怯  】

 可哀想に、目を回して掻き回されている。

「ぐっ・・・ルディ!」

「ガウ」

 まだ身動きが取れるルディに頼んで、2人を回収してきてもらった。


 今は、みんなで一塊になって風を凌いでいる。

 でもどうしよう。ルディ以外まともに移動もできない。

 ヤツの眼孔には緑の火の玉が宿っているから、多分これは風魔法の攻撃なんだろう。まさかうちのメンバーとこんなに風が相性悪いなんて。

 この風の中じゃ、まともに魔法も当たらない。レティの超音波も空気がめちゃくちゃにされてる以上、振動が乱されて効果がないと思う。

 攻撃手段が、ない。


 大怨霊の胸の辺りに現れた青白い塊。

 多分アレが弱点。追い詰めて、遂に露出させた心臓みたいな物。アレを壊せば倒せるんだと思うけど、今の私たちには何もできない。

 頭を抱えて両腕の攻撃は無くなったのに、近づけもしない。


 ヤツの火の玉の片方の色が変わり、特大級の魔法が組み立てられていく。

 分かっているのに、逃げられない。

 もう目の前に迫ってきてる。

 どうしたら・・・!

「キュウウ!」【  奮  】

「へ?」

 私たちを覆うように黄色いドーム上の膜が現れて、それが攻撃を防いでくれた。

「な、何これ。リリスが何かしたの?・・・あっ」

 戦いの最中に、リリスの光魔法のレベルが2つも上がっていた。


 光魔法Lv7で覚える呪文『プロテクション』

 あらゆる障害から身を守る障壁を張る防御魔法。

 一面で直接攻撃しか防げないシールドと違い、特殊攻撃にも使えるし、半球形態で広範囲攻撃にも使える魔法。


「あっこれ!」

 ただ、私の気を引いたのはLv6で覚えた魔法の方だった。

 これならば、ヤツを倒すことができる。

「ありがとう。ほんっとーに、ありがとう」

「キュイ」【  喜  】


『ライトエンチャント』

 対象に光属性の魔力を付与する呪文。


 通常なら武器に使用する魔法なんだろうけど、今回はそれをルディにかけて貰う。

 そうすれば、この風の中でも行動できてうち1番の火力を持つあの子の爪が、大怨霊に届くようになる。

 リリスの残りMP的に、チャンスは1回きり。これが失敗したらもうどうしようもない。



 FF設定を有効にする。バフデバフ以外の魔法やスキルは、これが無効のままだと仲間に使えない。

 付与魔法は有効じゃないといけなかった。というか、多分想定外の使い方だこれ。

「2人とも、お願い」

 リリスがライトエンチャントを掛け、ルディが駆け出す。

 私もアシスト・アップを使った。

 リリスとレティを抱え込み、走るあの子をただ見つめる。

 信じることしかできないから。

 

 壁を足場に、巨大なヤツの胸の硬さにまで辿り着く。

 そして淡く輝くその体が、鋭く研ぎ澄まされた爪が、中心に鎮座する魂を、深く切り裂いた・・・!


 大怨霊は呻き声をあげ、やがて光に消えていった。



「・・・・・・勝った〜〜〜〜!!!!」


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