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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
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地下4階


「うぇ、また出た!」


 地下4階で最初に遭遇したモンスターはゾンビだった。

 正直苦手なんだよなぁ。

 グロいし、美少女化でもされてなきゃ受け付けない。

 当然の如くE・Oのゾンビも、到底好きにはなれそうにないビジュをしてた。なんかドロっとしてる茶色い人型。強いて言うなら、顔が人間感満載な怖いやつじゃないところはマシかな?

 このゲームのモンスターは、あんまリアルな人間感ある見た目のはいないらしい。テイムできる使用上、変なこと考える輩が出るかもだもんね。


「しかもお前ら毒持ちかよ」

 腐ってるせいだろうか?

 体自体に毒があるのか、攻撃のために触れても毒がくる。動いた拍子で飛び散る肉片?にも毒あるし。グングン毒耐性に熟練度が溜まってくよ。

 その上妙にかたい。ゾンビって防御弱いものじゃないの?

 そんで1撃は重いし、魔法攻撃までしてきやがる。始めての敵の魔法がゾンビ。何がとは言わんけど、すっごいヤダ。

 動きがひたすら鈍いことだけが救いだよ。



 ここで大活躍してるのはリリスとレティだ。2人とも遠距離攻撃持ちなので。

 ゾンビは死霊属性なので、リリスの光魔法が特攻入る。レベル5で『ライトシールド』っていう光属性バリアも貼れるようになったので、回避以外の防御手段も入手してる。

 そしてレティの影操作も役立ってた。自分の影を操るスキルでレベルが低い今は簡単な動きしかできないが、地面から鋭い棘のようにした影で下からゾンビの足を突き刺し、動きを止めるとかやってる。


 対して、今まで常に先頭に立ってたルディというと、

「クゥン」【  嫌  】

 すっごい悲痛な声出してる。


 いや、うん。わかるよ?理由は。

 最初いつもみたいに、一番槍になって突撃してくれたもんね。ありがとう。でもそこで噛み付いたのが良くなかった。

 毒耐性レベルマのルディには、ほぼ毒は効かない。だからそう、単純に、とってつもなく不味かったのだろう。

 聞いたことない鳴き声しながら慌てて離れて、吐き出そうとしながらとにかく苦しんでた。身悶えてた。


 それから爪で攻撃はするけど、すっごい嫌そうだし、できるだけ近づかないようにしてるよこの子。



「にしても、広いなーここ」

 地下4階はこれまでの階と全然違った。長い通路を抜けたらそこは、墓所でした。洞窟から野外みたいな場所に変わって、最初驚いたわ。

 野外つっても常に暗いし森は陰鬱だし、見渡す限り崩れた廃墟と墓ばっかの、ホラー映画みたいな空間だけど。

 そんで嫌な予感するな〜ってビビってたら、想像通り墓の下から奴らが這い出てきやがった。


 それでもって、ゾンビのドロップ品がまた不穏なんよねー。

 腐った肉でも落とすのかと思ったら『錆びついた鎧』とか『割れたネームプレート』とか『勲章の欠片』とか、よくわからんものを落とす。

 ゾンビ(生前)の所持品ってことかな?・・・なんか呪われてそう。


 墓所に入ってから、もう随分な数のゾンビを倒した。なのに出現が一向に収まらない。

 一気に数を減らしてたらリポップには時間が掛かるはずなのに、常に数体のゾンビに襲われ続けてる。

「永遠に出てくるぞコイツら」

 本当は、落ち着いたら墓の文字を見てみたりしたかったのに、これじゃ無理そうだな。

「いったん離れよう!あっち、森の方に」



 敷地から出るとゾンビはそれ以上這い出なくなり、今いる奴らも追いかけては来なかった。

 最初も私たちが墓に足を踏み入れてから、出現し出してた。プレイヤーか生者の気配に反応してんのかな?

「はぁ、森は森で暗い。不気味ー」


 ズル


「ん?」 


 ズルズル


「なんか今動かなかった?」

「キュキュイ!」【  警  】

「グルルゥ!」【  警  】

 視界の端で何か動いた気がしたのと、索敵スキル持ち2人が警戒をあらわにしたのはほぼ同時だった。


 ズッガァン


「うおわ!?」

 咄嗟に飛び退いて逃げたけど、さっきまで私がいた場所の地面が抉れてる。危なっ!

 そして先ほどまでわからなかったが、自分たちが敵に囲まれてることに気付いた。


『おばけトレント Lv32』

『おばけトレント Lv29』

『おばけトレント Lv31』


「も、森じゃなくって・・・モンスターのど真ん中!?」

 さっきだって鑑定使ってたはずなのに、まったく気付かなかった。リリスみたいな特性持ちか?

 街のようにふるわれる蔦の破壊力がエグいな。おばけって言い方可愛いのに、全然可愛くねえよ。


 先端に気を付けつつ、蔦をナイフで切り捨ててみる。攻撃手段さえ奪って仕舞えば怖くない。


 ズボッ


「う、動いたあ!?!?」

 根が地面から抜けて、それを脚みたいにして動き始めやがった。

 くそっ、意外と速いなコイツら。8つの太い根でヌルヌル動くぞ。しかも切った蔦再生してるし!


「みんな!蔦の攻撃当たらないように、チャチャっと伐採だー!!」

「キュッキュ!」【  楽  】

「ガウ!」【  警  】

「チイ!」【  奮  】




 随分見晴らしの良くなった森の地べたにへたり込んで、私は天を仰いだ。暗い。

「はぁー・・・はぁー・・・つか、疲れたぁ」


 あの後続々と動き始めたおばけトレントに翻弄されたが、どうにか乗り切ることができた。

 軽快なフットワーク。破壊力エグい攻撃。高い再生力。弱点のわかりづらい本体。厄介なモンスターでした。

 多分火属性がよく効いたんだろうけど、うちのメンバーには持ってるのがいないし。

 思わずSPで火魔法取得しちゃったよ。・・・役には立ったし、SPはあと40以上残ってて余裕あるからいいんだけどさぁ。


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