地下3階
『ダーティドッグ Lv7』
『ダーティドッグ Lv9』
『イビルドッグ Lv15』
『イビルドッグ Lv12』
「レティ、音波!リリスはブラックアローで牽制!1箇所にまとめて!ルディ蹂躙しちゃって!」
現れた4体の犬を協力して仕留める。私が気付かなかった、背後から襲ってきた5体目はリリスがブラックハンドで殴り付けていた。
敵が強い。
地下3階に降りてまだ少しなのに、そう実感させられる。
モンスターのレベルがより高いものが出てくるようになったのもあるのだろうが、それだけじゃない。こいつら連携してくる。
今までの奴らは、ただ1体1体のモンスターがたくさん襲ってくるだけだった。私は弱いからみんなが必要だけど、強いプレイヤーなら単独でもいけそうなダンジョン。
でもこいつらは違う。明確なリーダーがいて戦略のある、統率の取れた集団だ。パーティーで挑まないと危険な敵。
流石はお犬様。頭が良くって上下関係のしっかりとした、群れで生きる動物なだけある。
たぶん、ルディはこの地下3階の出身だったんだろうなぁ。
あのダーティドッグっていうのが最初の姿で、そこから進化してイビルドッグになったんだろう。
ここにきてから、この2種が入り混じったグループに何度も会敵している。
もしかしたらそれらは全部おんなじ、1つの巨大な群れの出身だったりして。だとしたら厄介だなー。今絶賛喧嘩を売ってる現状だし。
嫌な予感が的中しました。
「うぎゃ〜〜〜怖いよ〜〜〜」
ルディのもふもふのお腹に顔をうずくめながら喚いてた。
周囲から、犬の唸り声が絶え間なく響いている。
「ど、どうしてこんなことにぃ」
何度か戦闘になりながらも、順調に進んでいる。そう思っていたのが、全て奴等の罠だったなんて。
私たちは気づかないうちに、行き止まりにある巨大なホールのような空間に誘導されていた。気づいた時には、複数ある入り口を大量の犬系モンスターに塞がれて、逃げ場をなくしていた。
壁面にいくつかあった岩の足場の1つにテントを貼って、咄嗟に逃げ込んだけど、ここからどうすればいいだろう。
テントの隙間から除けば、地面をひしめく大量のダーティドッグとイビルドッグ。それらを指揮するコマンダーに、大型車くらいありそうなラージ。最奥に見えるのが、群れのボスであろう『イビルドッグ・リーダー』
狭い通路だったカエルの時と違って、後ろ以外囲まれている。それにルディと同格であろうモンスターが複数だ。あの時と同じようにはいかない。
「グゥウウ」【 怒 】
「うわあ!」
突然目の前に現れた顔を驚いてしまった。
岩場はテントが場所をとっているが、ダーティドッグ2匹くらいなら乗れる余裕があった。そのため、めちゃくちゃに圧をかけられている。
中にいるうちは何もできないから周りを唸りながらうろつくだけだけど、出ようとした瞬間こいつら2匹に攻撃されることになるだろう。
「どないしよー!」
目の前のダーティドッグだけなら倒せる。でもそれで、でかい連中が出張ってきたらまずい。
いつまでも引きこもっていたって変わらないけれど、中にいながらでもできること・・・・・・やってみるか。
取り出したアイテムを、テントの入り口からコロっと外に投げ出す。うっかり手が出ないよう慎重に。
出てきたソレに、ダーティドッグが反応している。
『毒入り肉団子』
カエルの肉にコウモリとカエルの毒を混ぜた肉団子だ。
ノリで作ってみたコイツを、まさかこんな早く使うことになるなんて思ってもなかったぞ。
よし、2匹とも匂いを嗅いで・・・食べた!最初は平気そうに食べてたけど、徐々に動きがおかしくなって、今は倒れて痙攣している。
「そ、そんなにヤバい物になってたのかソレ」
実験もできなかったから効果を見るのは初めてなんだけど、想像以上に危険な代物に仕上がってた。
「赤キノコ入れたのが不味かったかな」
素材の力を引き出す赤キノコで2種の毒の毒性をさらに高めた肉団子。
やがて光に消えたモンスターを見て、自身の生み出した物に戦慄してしまった。
たぶんカエルを食ってたんだろうから、ルディと同じようにコイツらにも毒耐性があったはずだ。そこまでレベル高くなかったとしても、まさか肉団子2、3個食べただけで倒せてしまうなんて。
とにかく、この方法でダーティドッグを地道に削って経験値を手に入れよう。少しでもレベルを上げて、奴らとの戦力差を埋める。上手く進化までいけたら恩の字だ。
今できることはこれしかない。
取り出した毒入り肉団子を、地面に向けて放り投げていく。
仲間がやられたことでリーダーやコマンダーが動く前に、危険性が気付かれて食べられなくなる前に、出来るだけ多くを毒殺してやる。
ログが更新される。
ログが更新される。
ログが更新される。
ログが更新される。
しばらくして、モンスターを倒したというログが来なくなった。
下の群勢はそこそこ量をけずったはずなのに、全然減った気がしない。感情視で見れば、みんな【 怒 】を出しているに違いない。
「ギリ足りたぁ!リリスとレティが進化までいった!レベル10MAXの種族で助かったぁ」
ミニマムとか、イマチュアとかついてるからかな。レベル20で進化だったイビルドッグと違って10レベでの進化だ。
20が悪いってわけじゃないけど、今はとにかく進化による即強化が欲しい。
リリスは『クロスファーゴースト』と『ミニマム・クロスレザーゴースト』の2択が出た。・・・コウモリの羽は革になるのか。
そのまま上位種に進化してもらおう。フワフワ失うのは惜しいし。
レティは『サーヴァントコウモリ』だけだった。
進化による見た目の変化は、リリスは大きさくらいだ。
ハンカチサイズだったリリスはバスタオルくらいになった。手のひらサイズのレティは小型犬くらいにおっきくなってて、首のところを一周するように、黒くてフサフサの毛が生えた。
いやデカくない?
あとは、経験値の配分をみんな平等に直してっと。
「レティは常に飛んで、攻撃の届かない位置から音波ね。リリスも飛躍で高い位置をキープして、ライトショットを打ち込みまくって」
幸いドームは天井が高い。上からなら比較的安全に攻撃を加えることができる。アイツらも闇耐性高い可能性が高いから、リリスには光魔法主体で頼もう。
「ラージが飛びかかったら上にいても危ないかもだから、そこに気を付けといてね」
「キュ!」
「チチ!」
なんせトラックサイズの巨大だ。天井にまで届くかもしれない。
「ルディと私は下で戦闘だよ。上の攻撃に巻き込まれたり、囲まれないように気を付けて」
「ガウ!」
無理に倒すより、とにかく生き延びることが優先だ。
「基本姿勢は『命大事に、ガンガン進もうぜー!』だよ。それじゃあみんな、行くぞー!」
「キュー!」
「ガウッ!」
「チー!」
進化後のステータス
リリス
種族 クロスファーゴースト LV1
特性 擬態 性別 無
HP 80 MP 170
STR 30
VIT 40
DEX 59
INT 85
AGI 40
スキル 飛躍LV3 闇魔法LV4 魔力感知LV5 採取Lv5
遊泳Lv5 光魔法Lv3 打撃耐性Lv4 毒耐性Lv2
闇耐性Lv2 呪いLv1
レティ
種族 サーヴァントコウモリ LV1
特性 血液回復 性別 メス
HP 76 MP 90
STR 43
VIT 38
DEX 50
INT 45
AGI 73
スキル 吸血LV9 消音LV8 牙術Lv8 遠視LV5
闇耐性Lv3 音波Lv5 毒耐性Lv3 影操作Lv1




