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エブリシング・オンライン  作者: 花南とや
10/48

最果ての泥池


 池、とはいっても正直綺麗な場所ではない。なんか泥がすごいし濁ってるしヘドロみたいな匂いがする。

 流石にここを水飲み場にしていたとは思いたくないが、この付近に手頃な洞窟でもあるのだろうか?


 そしてルディはその池に、飛び込んだ。

「ふぁ!?」

 何やってんのこの子!?毛が汚れまくってたのこれのせいか!?

 当の本犬はというと、泥をかき分けて優雅に泳いでいる。

 え、ていうか、寝床聞いて、池に飛び込んで、そういえばこの子潜水スキル持ってて・・・え、いや、まさか

「この池を潜った先に、君の寝床があるのかい?」

「ワン!」【  喜  】

「お返事元気〜〜〜!!!」

「キュム!?」【  驚  】

 まじで何やってんだよぉ。リリスも驚きというかドン引きしてんじゃん。

 早く上がってくるよう手を振ると、淵まで近づく。

 

 バッシャアン!!


「ボガッ・・・!」

 何故か私が水の中にいる。何が起きた!?いや、それよりまず早く陸に上がらないと!!

 視界の端では円状のゲージが減っていっている。 


 無我夢中で身体を動かし、草を掴んで這い上がった。

「ゲボッゴホッ、ゲホッ・・・はぁ、はぁ」

 四つん這いになりながら必死に息を整える。

 あっぶなぁ、あやうく死ぬところだった。


 対応したスキルを持ってない状態で、水深1m以上の水に浸かると、30秒で溺死する仕様になっている。さっきのゲージは残り時間の表示、死へのカウントダウンである。

 初デスがモンスター関係ない溺死は嫌すぎる。


 マジで何が起きたよ・・・そうだ。あの時、ルディが私の服の袖を咥えて引っ張ったんだ。

 何しよるんだあの子は。


シュン【  哀  】


 横を見れば、しょげかえっているルディがいる。水濡れのせいで悲壮感がすごい。

 いや、私はテイマー、いわば飼い主だ。主人として悪い事をしたら、ちゃんと叱らなければならない。

 ・・・・・・でもその前に、1つやらないといけないことがある。

「ギュギュムゥ」【  怒  】

 リリスがめっっっちゃキレとる。ブチギレておられる。


 うん。まぁ当然だよなー。私の手首に巻き付いてたリリスは、一緒に泥池にドボンした。呼吸の必要ない無機物モンスターなので溺死の心配はなかったけど、綺麗な薄灰色の体が汚ねぇ泥色に染まってしまっている。全身丸ごと茶色い。

「ギュウゥウ」【  怒  】


〈感情視Lv2がレベルアップしました〉

 

 リリスの怒りでレベルが上がった。


「キュゥン」【  怯  】

 うわー、尻尾丸めちゃって、リリスに怯えきってるよ。普通に戦ったらルディの圧勝なんだけど、そういうんじゃないんだろうなー。

 うん。力関係が完全に決まったな。

「あーリリス、もうそろそろ許してあげて。いや、君が怒るのは至極当然なんだけど、私からも注意するから」

「・・・キュゥ」【  怒  】

 これは、許してくれたかな。まだ怒ってるし、ため息ついてしょうがないって渋々な感じだけど。

「まったく・・・ルディ?本当に危なかったんだぞ、私死ぬところだったわ。リリス多分次はないやつだから、今後気を付けろよ。マジで」

「ワゥン」【  哀  】

 うん。反省してくれたな。じゃあ説教はこれで終わりだ。

「それで?何で急に引っ張ったの?・・・潜った先の寝床まで、連れて行こうとしたの?」

「ガウ!」【  喜  】

「行かないぞ」

「ガウ!?」【  驚  】

 何で驚いてんだコイツは。今溺死しかけたんだろこっちは。

「ワゥン」【  哀  】

 何で悲しむんだよぅ。どんだけ連れて行きたいんだ。いや、最初に聞いたのは私だったけどさー。


 ぐっ、やめろ!そんな目を私を見つめるな!!・・・水に潜るなら、必要なのはルディが持ってるのと同じ『潜水』か。一応SPで取得可能だな。4ポイントかかるけど。今SP5あるから、十分買える。レベル1で『水深制限がなくなり2分間の水中活動が可能』か。

「ルディ、そこって2分以内で着く?」

「ワン!」【  喜  】

 もう私の体泥まみれで今更気にする必要ないし、むしろ、行くなら今だよな!


「リリスー私はルディに寝床見せて貰うからさ、この辺りで待っといてよ」

「・・・・・・キュ!」【  怒  】

 何かに耐えるような間を置いて、力強めに手首にまきついてきた。若干痛いんだけど。

 でも、これは、リリスも一緒に来てくれるってことかな?

「あはは、じゃあ行こっか。ルディ、案内お願いね」

「ガウッ!」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「・・・キュゥ」  これは、許してくれたかな。>>これリリスの感情が描写されてないの誤字?
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