表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/54

41話 天誅 ③ 強者

 アインツマイヤー 中心街


 中心街に到着すると、そこには地獄が広がっていた。反響する悲鳴、混乱する人々、赤く染まる建物に崩れ去った街並み。見え隠れする魔物達。目を覆いたくなるような惨状がそこにはあった。


 到着したメンバーは生徒会生徒2名。第一αから4名。第二αから3名。生徒会生徒2人が人型魔物の対処、他7名は人命救助と魔物の排除を担当。


 僕は刀を構えながら息を吐き、「こんなに強い敵が来るとは驚きました。僕達が相手しても傷ひとつつけられていない。それどころか、押されてますね…。全く、会長の尺度で測らないでいただきたい。僕はそんなに強くないんですよ…」


 隣で弓を構えていた女性が「アキさん、真面目にやってください。貴方、全力で戦ってないでしょう…?ホント、私の苦労も考えて欲しいです…」とため息を吐き、前を見据えて矢を射る。


 アキハはそれに合わせて地面を蹴り、目の前のフードを被った女に迫り、人の目で捉えられないほどの速度で抜刀する。

 すぐさま納刀し、回避行動を取る。彼が回避していく場所を追従するように、幾つもの赤黒い波動が地面から打ち上がる。その光景を横目に、「ホント、厄介な敵です…」とため息を吐く。


 女は弓の少女の近くに姿を現し、矢を渦に巻き込み地面を蹴る。弓の少女は即座に回避行動を取り、地面を抉る赤黒い光を避ける。後退しながら一度に複数の矢を射つつ、アキハの近くに立つ。


 アキハは苦笑し、「いやあ、手詰まりって感じですかね。アトラさん。」と声をかける。


 アトラと呼ばれた少女は「無駄話してないで間に入ってください。私は援護向きなんですっ」とアキハを睨む。


 アキハはハイハイと呟き、アトラと迫り来る女の間に立つ。刀を構えて女を睨み、徐に縦に振り下ろす。地面を抉りながら、一直線に斬撃が女に迫り、女は咄嗟に右に逸れる。女が視線を前に向けると、首を掻っ切るように横向きの斬撃が音速で迫っていた。咄嗟の見切りで女は宙返りする事でやり過ごす。身を屈めて着地すると、目の前にはランダムな軌道で迫る矢が放たれていた。女はその攻撃に反応して左に飛び退く。彼らの方へ視線を戻すと、風が身体を横切る。カンっという音が聞こえた瞬間、女の腹部を横切るように鮮血が飛び散る。


 女は大きく後退し、「やるねえ、あんたら」と呟く。


 2人はお互いの距離を保ちながら構えを崩さずに女を見つめる。


 女は2人を見下ろしながら、左手に展開した赤黒い渦から持ち手の長い斧槍を取り出す。片手で握って肩に乗せ、低い姿勢をとる。次の瞬間、姿を消す。


 アトラは咄嗟に矢を射てその動きを追う。矢は軌道を変え、建物の屋上、壁、目の前の床へと動き、こちらに向かい始める。目の前数メートルで矢の動きが止まり、女が姿を現す。

 女は不快そうに矢を握りつぶして投げ捨て、2人に向かって突進する。アトラはすぐさまランダム軌道の矢を三本番えて放つが、女の斧槍に一度に落とされてしまう。バックが間に立ち、居合の姿勢をとる。女は斧槍を前に突き出し、アキハを貫こうと勢いを乗せて地面を蹴る。

 アキハは最大限の溜め動作を行い、完璧なタイミングで抜刀する。赤い稲妻を纏った刀が斧槍と撃ち合い、稲妻が弾ける。周囲を焦がし、斧槍の赤黒い光を相殺する。


 二つの武器の間に光が溜まり出し、2人が後退する。直後に撃ち合っていた場所に小爆発が起きる。


 アキハは息を吐いて納刀し、「いやー、手強いですねえ。降参したい気分ですよ全く。アトラさん、どうしましょうか」と余裕の表情で尋ねる。


 アトラは顔を引きつらせながら怒りを表情に出し、「真面目に!真面目にやってくださいっ!アキさん…!会長に言いつけますからね!ね!」と彼を叱る。


 アキハは大袈裟に焦った表情になり、「アッハハー!やだなあ冗談ですよ!アトラさんったら真面目なんだからあ」と頭を掻く。


 アトラは「もういいです…」と呟き、矢を番える。「来ますよ。アキさん」と声をかける。


 アキハは先程の様子とは打って変わり、いつの間にか刀を構えて立ち塞がっていた。爆発の余韻で立ちこめていた煙が一瞬揺らぐ。アトラが矢を放ち、アキハは深く刀を構える。目に映りすらしないはずの敵を捉え、彼は抜刀する。

 赤い電撃が前方に広がり、何もなかったはずの場所から赤黒いオーラが顕現する。オーラは電撃を飲み込んだ後に切り裂かれ、背後からは女が姿を見せた。

 女は地面を蹴り、アキハに迫る。彼は刀を構えて迎撃の姿勢を取り、迎え打つ。直後に重たい金属音が鳴り響き、刀と斧槍が火花を散らす。女はニヤリと口角を上げ、横方向に力を加え始める。


 アキハはすかさず力を流し、後退する。


 彼は刀を構え直し、状態を見る。刀は美しい状態を保ちながら周囲を反射していたが「これは不味いですね。もう数撃撃ち込んだら刀が折れてしまいそうです。アトラさん。短期決戦で行きましょうかね」と告げる。


 アトラは「やっとやる気になりましたか。私は元々そのつもりでしたので、お好きにやってください。合わせますので」と冷たくあしらった。


 アキハは「冷たくないですか…」と呟き、刀を片手で握る。そして、もう片方の手で刀身をなぞり、刀を横に振る。すると、刀身に赤雷が走り出し、周囲を照らし始める。


 彼は雰囲気を一変させ、「行きますよっ」と地面を蹴る。赤雷の軌跡が残り、一瞬にして女の元へ迫る。女は彼の動きに反応して刀を弾き、後退しながら波動を放つ。アキハは身を屈めてそれを回避し、後ろから迫る矢と共に女に迫る。

 女は矢を渦で捉えながら片手で大型の斧槍を振り下ろし、刀を弾く。アキハは連撃を止めず、アトラの矢が気を逸らす事で女の足取りを乱す。

 女の姿勢が乱れ、ガラ空きの体に刀を振り下ろそうとした瞬間だった。カンっと金属音が鳴り、続けて赤雷の弾ける音が響く。


 彼の前には紫の光を刃に宿した鎌を握った少女が立っており、彼の刀を簡単に受け止めていた。


 少女は刀を弾き、「そこまでです。抵抗はやめてください」とアキハの首元に刃を向けて淡々と呟く。アキハは刀を霧散させて手を挙げる。後ろを振り向くと、アトラの動きを完全に止めさせ、今にも首を落としそうな様子で鎌を握る少女が立っていた。


 アトラの方に立つ金色の光を鎌に纏わせた二つ結びの少女が「リンー!仕留めちゃっていいの?」と無邪気に尋ねる。


 リンと呼ばれた一つ結びの髪型の少女は首を横に振り、「ダメ。アクア様がダメって言ってた」と呟く。


 二つ結びの少女はつまらなさそうに鎌を霧散させ、アトラに手を向ける。「お姉さん、おやすみ」と言って金色の光でアトラを斬り裂く。アトラの背中からは鮮血が飛び散り、彼女はグッタリと意識なく倒れる。


 ひとつ結びの少女はアキハを見つめ、「貴方の役目も終わり。おやすみなさい。強い人」と紫の光をアキハに放ち、彼の胴体を斬り裂く。

 アキハも鮮血を飛び散らせて意識を失う。


 その様子を見ていた女は、「チッ。今からが良いところだったのに」と不機嫌そうに呟く。


 一つ結びの少女は振り返り、「どうして手を抜いて戦うの?アリエス」と首を傾げる。


 女は「アンタらには分からんさ。まあいい、他の奴らは?」と尋ねる。


 一つ結びの少女は、「散ってた7人のうち2人倒した。1人はクロスボウ使いの男の人。もう1人は槌使いの女の人。後の人には逃げられちゃった」と答える。


 いつの間にかそばに来ていた二つ結びの少女は「私は鞭を使ってたお姉さんを倒したよ!でも、近くにいた槍を使ってた女の人と白い大剣を使ってた女の人にはギリギリで逃げられちゃった」と答えた。


 女は「そう。」と興味なさそうに答え、「街の損失は規定値を突破してるわ。こんなつまらない任務は終わりよ。私は帰るわ」と斧槍を納めて立ち去ろうとする。


 2人の少女も「私もそうするー」と言ってアリエスに続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ