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39話 天誅 ① 開演

??? 


 コートを纏い、フードを被った女がスッと地面に着く。

 丘からノーツコア学園を見下ろしていたの男は振り返る。「アリエス。首尾はどうだい?」


 女はフードを脱ぎ、髪を整えるように首を振る。そして、男の方へ歩き出し「失敗だ。アトラクタが動いた。ポラリス様は私達を本気で邪魔したいようだねえ」と答える。


 男はその言葉に表情一つ変えず、「そうか。まあ、問題ない。学園の戦力を高めていた要因の一つ、ガイウスを仕留められたのだから。メードは逃走し、ガイウスは死んだ。これで盤面は整った」と言い、口角を少し上げ「ククク。君を逃しはしない。私は、君の為にここまで整えたのだから。期待しているよ。アイン・リーティス…」と呟く。


 女はため息を吐き、「何であのガキにそこまでする?あいつはどうせ敵になるよ。さっさと始末しとけばいいのにさ」と不満そうに睨む。


 男は笑い、「それじゃあ意味がない。彼には頑張ってもらわないとな。人類の希望。彼が見せた力の全てを引き出す。私たちの仲間となるならそれでよい。ならないというのであれば、英雄となった彼を、この私が始末する。人類全てを絶望に叩き落とし、我々の理想を実現させるんだよ」と高らかに演説する。


 女は、はいはいと聞き流し、近くの岩に座る。


 いつの間にか2人の近くには3人の男女が到着しており、同じようにノーツコア学園を見下ろす。


 双子の少女の1人、二つ結びの髪型の少女が男を見つめ「レグルスさん。始めるの?」と首を傾げる。


 男は双子の方へ視線を向け、「ああ。だが、まだだ。期はまだ熟していない」と答える。


 二つ結びの少女はふーんと呟き、「じゃあ、待っとくねっ」と返した。


 後ろで見ていた一つ結びの少女もヒョコッと顔を出し、「あっち…いってるね」と2人に伝え、パタパタと歩いていく。


 二つ結びの少女もそれに続き、「待ってよリンー!」と走っていってしまう。


 その様子を眺めていた最後に到着したメガネの男はレグルスの隣に立ち、「配置が終わった。アインツマイヤーは明日、歴史に名を残すような大きな傷を負うだろう。抵抗が予想されるのは、学園生徒会。第一、第二学年アルファクラス。最前線メンバーのアリアだ。教職連中、その他学生は今回出す魔物に抗えるほど成熟してはいない。作戦通り、私は演習場の方から魔物の統率をする。君らはいつも通り思うように戦うがいい。街の方には予め魔物を放っておく。混乱に乗じて動くがいい。私が作戦の成功の為に援護しよう」と淡々と告げる。


 レグルスは頷き、「ああ。任せたぞ、アクア。作戦は明日正午。開始合図は私が。それではな。」と告げ、姿を消す。


 アクアはアリエスに目配せし、彼女もダルそうに頷いてから姿を消す。彼は双子の元へ向かい、作戦を伝えた。



 ノーツコア学園 校舎前広間


 校舎の屋上に降りる。第一学年アルファクラス及び最前線メンバー、アリアを確認。作戦開始。


 男は手を掲げ、呟く。「ゾディアックコード・アクティベート。キングス・ロア」



 上空から風が吹き荒ぶ。広間に集まっていた全員が男の方へ視線を送る。


 彼の掲げた手に、斬撃のような鋭い光が籠り始める。透明な空気の刃物は次第に勢いを増し、漏れ出す風が校舎を傷つけ、周囲の全てを切り刻み始める。

 気づけばその風は男の頭上に大きな球となって収束する。男は手を悠然と街の方へ向ける。


 球は街の方へ放たれ、アインツマイヤーの中心街付近まで到達した辺りまで飛来する。


 男は手を振り下ろす。その瞬間球は炸裂し、無数の風の斬撃が全方位へ広がる。風の球は、爆心地周囲の街並みを引き裂き、全てを破壊する。栄えていた街の中心部は、一瞬にして切り取られたかのように不毛の地へ姿を変える。


 広間にいた全員が、その光景に釘付けとなる。状況が飲み込めず崩れ落ちる者。悲鳴を上げる者。泣き叫ぶ者。実に愚かな光景だった。


 街の方から戦闘音が響き始め、学園演習場側からは魔物の気配が立ち込め始める。

 咄嗟にアリアは「アリサ、ソーン、ランド、カール!街の救援へ!レイナ、イジー、ノマール、ハドーは演習場の制圧を!私が彼の相手をする!行って!」と指示する。

 第一アルファクラスのメンバーはすぐさま指示通りの方向へ走り出す。



 アリアが男を睨む。その指示を聞いた後、男はつまらなさそうに見下す。その背後から、一体の獅子が姿を現す。獅子は広間にその巨体を下ろし、猛々しく咆哮する。

 獅子の動きを待たず、一瞬にして轟音と衝撃が響く。その体には、金色の光が一閃し獅子を穿ち貫いていた。獅子を貫いた螺旋槍は霧散し、アリアが息を吐く。覚悟の光を瞳に宿したアリアの周囲には、いつの間にか半透明の武器が浮遊していた。

 獅子はよろよろと立ち上がり、牙を見せて噛み締める。すると、鬣が金色に燃えて熱気を爆発させる。アリアはその熱風に怯むことなく、黒氷剣を地面に突き立てる。氷と金色の炎がぶつかり合い、大きなオーラが押し合いを始める。すぐさま二つのオーラが決壊し、大きな衝撃と煙が辺りを掌握する。

 アリアは目を凝らし、次の行動を予測する。一瞬の煙の揺らぎを見つけ、大弓を構える。しかし、その影は地面に叩きつけられる。その衝撃で視界が晴れ、目の前には墜落した獅子と頭部に突き刺さる槍が映る。次の瞬間、項垂れる獅子の頭に衝撃が轟く。ぐったりと息絶えた獅子の頭部に立つのは、学園の制服に軍服のような上着を羽織った女性が立っていた。


 女性は後ろ手に槍を引き抜き、刺剣と槍を両手に抱えて獅子の前に降り立つ。

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