33話 失踪
シャルロットは、ある日突然学園に来なくなった。理由は分からず、ガイウスも事情を知らなかった。僕は、すぐに探しに行かせて欲しいとガイウスに伝えたが、どういう訳か許可されなかった。それどころか、その日からアルファクラスは全員に行動の制限が実施された。
シャルロットが失踪した日から、学園内では不可解な事が頻発していた。正気を失ったようにフラフラと動き続ける生徒や先生がチラホラと混じっていたり、何処からともなく魔物の気配がするような気さえしていた。しかし、誰もがそれを不思議とすら捉えていない様子だった。こんな異常な光景とシャルロットの失踪が関わっていないはずがないと確信した僕は、シャルロット捜索に乗り切る事を決意する…。
シャルロットが失踪してから一日が経過した夜。僕は、静まり返った寮から抜け出そうとしていた。しかし、どういうわけか普段よりも警備の職員の方や先生方の通りが多く、行動が制限されている僕が堂々と出る事はできない様子であった。
そんな状況を見ながら、僕は意を決して寮の窓から飛び出す。そして、気づかれないようにそのまま屋根に上がった。
そこには、人影があった。
僕は咄嗟に構えようとしたが、暗闇に立つその影の声に手が止まる。
「来たか。君を待っていた。」とその人影はこちらに振り返る事なくそう告げてくる。
その声には聞き覚えがあった。僕達に助言してくれ、シャルロットを助けたであろう彼であった。
「君ならこの状態でも動いてくれると思ってな。まあ、簡潔に話そう。シャルロット君は連れて行かれた。連れて行ったのは、君がよく知る人物だ。彼の名前はデューク。君はこの名前に聞き覚えがあるんだろう?」と彼は淡々と語りだす。
僕はその言葉に動揺し、「デュークさんが…?デュークさんがどうしてシャルロットを攫うんです?」と声を漏らす。
彼はその言葉を受けても声色ひとつ変えず、「彼に意図があるわけじゃない。彼に指示を出したものがシャルロット君を必要としたんだ」と返答する。
「指示を出した?デュークさんに…?ま、まさか…。」と最悪の事態が頭をよぎり、咄嗟に「嘘だと言ってくださいッ…」と反論してしまう。それが意味がないことを理解しながら…。
彼は僕の反論を気にかける素振りを見せず、「ああそうだ。君は勘がいい。彼は…デューク・スカイはゾディアッククイーンだと推定される。シャルロット君は、彼のキングに必要とされたと考えるのが妥当だ。」と淡々と言った。
「これは仮説だが、彼女をわざわざ攫ったのは、彼女の記憶が原因だと私は見ている。だが、今の彼女には記憶がない。つまり、今の彼女は彼らに取って必要ではない状態だ。それが分かってしまえば、彼女は始末される可能性が高い」と付け加えた。
頭がおかしくなりそうだった。あのデュークさんがゾディアッククイーンで、シャルロットを殺すかもしれない。時間の猶予はなく、シャルロットが後何秒生きていられるかすらわからない…
僕はシャルロットの居場所を尋ねる為、咄嗟に「お願いし…」と声を出そうとした時だった。同時に、1人の声が響く。
「お願いします。シャルロットちゃんの居場所を教えてください。」
振り返るとそこには、アリアさんが立っていた。
彼も想定外だったのかゆっくりと声の方へ振り向き、「君は…確かデューク君の隣にいた…」とアリアさんの方へ視線を向ける。
アリアさんは頷き、「はい。デュークと共に最前線メンバーをしております。アリア・セイントロードと申します」といつもの柔らかな彼女の声は張り詰め、震えていた。
僕は警戒しながら「アリアさん。どうしてここに?」と尋ねる。
アリアさんは真剣な表情で僕達を見つめ、話しだす。「私達は、トート復興とその護衛の任務についていたの。でも、昨夜急にデュークが急に居なくなって…。それで、彼の部屋を見に行ったんだけど、もぬけの殻になってて…。私はすぐに嫌な予感がしてトートを離れたの。レイナとフレッドに何か嫌な事が起きるんじゃないかって、そんな予感が頭から離れなくって…。」
「それで学園に全力で向かったの。でも、着いてみたら雰囲気はおかしいし、魔物の気配もしてる。こんなの普通じゃないと思って、とりあえず隠れながら2人のいる寮に向かったの。そうしたら屋上に人影が見えたから、おかしいと思って盗み聞きしてたの」と必死の表情で説明してくれる。
僕は、アリアさんの感じた違和感と同じものを自身で感じていた。それに加えて、アリアさんが話してくれたデュークさんの失踪のタイミングや学園の現状。さらに、彼が話したデュークさんの立場や行動理由。
僕は、2人から得られた情報を真実と仮定するなら、お互いの推論を裏付ける証拠になり得ると感じていた。僕はその上で、2人を信頼することにした。今回は、アリアさんも彼も敵ではなく、デュークさんと彼を操るゾディアックが敵だと仮定する事にした。
僕は思考を整理した後、ゆっくりと口を開き「そういうことでしたか…。これで合点がいきました。構えてしまって申し訳ありません。アリアさん、来てくださったことに感謝します」と頭を下げた。
アリアは安心したように胸を撫で下ろしたが、「いえ、元はといえば近くにいながらこの状況を止められなかった私に原因があるから…」と暗い表情を見せていた。
彼は僕達のやりとりを見守った後に口を開く。「アリア君。だったな。デューク君の知り合いか…君には酷な状況となる可能性が高い。悪い事は言わない。これ以上関わらず、ここの防衛に回ってくれないか。始末は彼とつけよう」とアリアに提案する。
しかし、アリアは首を横に振り「私を気遣ってくださる事に感謝します。ですが、私に行かせてください。一刻の猶予もないのであれば、私の力はきっと役に立ちます」と真剣な眼差しで彼に抗議した。
彼は少し考え込んだ後、「そうか……。分かった。では、ここは私が守ろう。アリア君とアイン君。君ら2人は、学園の演習場北側の先にある、崩れかけた塔を目指して欲しい。彼らはそこでシャルロット君を捕らえているはずだ」と決意したように答えてくれた。
僕達は頷き、「分かりました。ありがとうございます」と返答する。
アリアさんと僕は目を合わせ、同時に動き出す。
僕の考えていた事やアリアさんの言った事は正しかった。どう考えても異常なほどの巡回の数。見慣れない警備の人達。姿は現さないが魔物の気配や強烈な視線。今までにない異常な光景だった。
僕達は隠れつつ先を急ぎ、行く手を阻む最低限の人を倒しながら進み続ける。
アリアさんは申し訳なさそうな表情で「ごめんなさい…少し気を失っているだけですから…」と気絶させた彼らを草むらへ移動させる。
僕も同じように気絶した人々を運び、「先を急ぎましょう。この感じを見るに、演習場もいつもと同じと言う訳ではないでしょう…」と警戒を強める。
「そうだね。ここから先も簡単に通してくれるわけでないでしょう…。でも心配する事はないわ。私もついてるし、アイン君も強くなってるから。でも、いざという時は遠慮なく頼ってくれていいからね」とアリアさんはいつものような優しい声で笑いかけてくれた。
「ありがとうございます。ですが、僕も戦います。守られているだけではないって証明させてください」
アリアさんはふふっと笑い、「頼もしいね。けど、無理しないで。いつでも頼ってくれていいから」と優しく返してくれる。
「はい。ありがとうございます」
そんな短い会話を終え、演習場に踏み込む。そこは学園内よりも異質な空間だった。
普段から見る魔物達の姿はどこにもなく、代わりにミノタウルスのような大型の魔物や緑に発光した山羊のような動物達が巡回していた。
彼らは僕達の侵入に気づくと、大きな咆哮を放って突進してくる。
「アイン君。逃げられそうにないから、腕試しといきましょう」とアリアさんは左手を心臓に当てる。すると、アリアさんの左手はカールと同じ温かな黄緑色の光を纏い発光する。彼女は僕の方へ手を向け、その光を放って僕に付与してくれた。
「はい。では、いきましょう」と僕も黒剣を取り出す。
ミノタウルスは恐れを知らないような荒々しい走り方でこちらに突進をしかけてくる。巨体を活かした搦手なしの突進は、敵対者を恐れさせるのに十分の威圧感を放っていた。
僕はその突進に向かって走り出す。ミノタウルスはその行動を見て怒り狂ったように咆哮しながら、さらに強く地面を蹴って加速する。
一瞬で僕とミノタウルスは交差した。僕はすれ違った瞬間に反転しながら剣を構える。振り返る頃には、ミノタウルスは腹から鮮血がこぼれ、膝をついていた。僕はその姿を見て追撃の為に地面を蹴ろうとした。その瞬間だった。
「アイン君、離れて!」とアリアさんの声が響く。僕はその声が聞こえた瞬間に地面を蹴り大きく後退する。その瞬間、僕のいた場所を大岩が掠めていく。視線を送ると、木々の間からギラギラと目を光らせながら、様々な武器を手にした魔物たちの姿が見えた。僕は大きく後退する。後退した時、僕の右肩は黄緑色の光に覆われ、事前に付与された治癒が発動している事を仄めかしていた。つまり、あの交差した一瞬、あのミノタウロスは僕に攻撃を加えてきていたということだ…。その時、夜の森には存在しないはずの光が視界の端に移る。
アリアは心臓に右手を当てる。右手に金色の光が宿り始め、発光が始める。アリアさんはその手を軽く横に振り、ゆっくりと目を開ける。アリアさんのコートが揺れ始め、周囲に5つの半透明の武器が展開される。周囲をゆっくりと回転していた武器が止まり、彼女は目の前に止まった剣を握る。すると、半透明だった剣は柄の部分を暗い青に変化させる。そこから刀身にかけてを水色へ、刀身から剣先にかけてを白く染め上がる。剣全体に色が戻り、それは完全に実体化する。その瞬間、それは強烈な冷気を放ち始めた。
アリアは実体化した剣を一瞥し、地面に軽く当てる。次の瞬間、剣先を中心に地面が瞬く間に凍りつき始める。その氷は地面を伝って周辺の全ての生物を凍りつかせ、瞬く間に一切を掌握する。
アリアは周辺を掌握できた事を確認し、剣に三重の魔法陣を重ねる。そして、魔法陣が収束したのと同時に剣を氷に突き立てる。その瞬間、突き立てられた場所を中心に氷に亀裂が走り、崩壊が始まる。崩壊は連なって凍っていた全ての魔物達をも崩壊させていく。
氷が完全に崩壊した後、魔物達は破片となって地面に転がり、そして瞬く間に蒸発していく。残されたのは、白い息を吐きながら立ち上がる彼女の姿のみであった。
アリアは金色に輝く右手を横に払う。金色の光が霧散し、周囲に展開されていた半透明の武器も同時に霧散する。
アリアはふうっと息を吐き、すぐにアインの元へ歩み寄ってくる。
アリアさんは、ボーッとその姿を見つめていた僕の近くまで来て顔を覗き込み、「アイン君、大丈夫?怪我とかしてない?」と不安そうに見つめてくる。
僕はアリアさんの声掛けで意識をハッキリとさせ。「え、ええ。大丈夫です。また治癒に助けられました。ありがとうございます。」と感謝を伝えた。
アリアさんは安心したように息を吐き、「役に立ててよかった。それより、この子達ってここに出現する魔物じゃないよね。」と先ほどまでミノタウルスが立っていた場所を見つめる。
「ええ。こんな魔物が一体でも出たら学園は大混乱ですね…。」
「そうだよね。こんなに強い子たちがいたら、安心して勉強なんてしてられないよね…。あ、そんなことより、先を急ぎましょうか。胸騒ぎがするわ」と僕に目配せしてスッと走り出す。
僕もそれに続いた。
僕たちは先を急いだ。しかし、魔物達はキリがないほどの量であちこちに現れ、次第に僕たちの歩みは止まって行ってしまう。
僕が先頭に立ち、アリアさんが指揮を執る。一体一体を捌きながら、それでも僕達はゆっくりと前進を続けていた。だが、戦闘音によって魔物達が集まり、次第に劣勢となり始めていた。
魔物たちの勢いは失われることなく、連戦が続いていた。陣形は崩れ、僕とアリアさんは分断されていた。さらに、増え続ける魔物達に追い詰められ始めていた。
僕の周りには大型の山羊が数体取り付いていた。彼らの重たい一撃を丁寧に受け流しながら、隙を見て一体ずつ片付けていく。激しい戦闘に息が上がり始め、呼吸が乱れていくのを肌で感じ始めていた。
アリアさんの周囲にも大型の魔物が集まっており、彼女は防戦一方となっていた。彼女の攻撃は圧倒的だったが、大技を使うにはある程度の余裕が必要なようで苦しい表情で回避を続けていた。
僕と違って、魔物達に対処する術のないアリアさんの元へ魔物達が集まり始め、アリアさんは次第に回避する場所を失っていく。
周りを完全に囲まれ、アリアさんは打開策を探して辺りを見渡す。しかし、そんな希望の光は無いと言わんばかりに、魔物たちはジリジリと距離を詰めていく。
僕は無理矢理突破口を作りアリアさんの方へ駆け出す。
しかし、アリアさんの元に辿り着くよりも早く、魔物達は彼女へ向けて武器を振り下ろす。彼女は逃げ場なく生身で腕を構え、その攻撃の到来を待ってしまう。
その瞬間だった。魔物達の振り下ろしていた武器がカランカランと金属音を立てて地面に落とされる。さらに、仕掛けてきていたはずの魔物達の悉くは、近くの木や地面にその体を叩きつけられていた。
アリアと残された魔物達の間を大きな影が割って入る。その大きな影は、大斧を徐に地面に叩きつけ、残されていた大型の魔物達を一瞬にして片づけてしまう。
衝撃が収まり、視線を向ける。そこに立っていたのは隻腕の大斧使いの男であった。
僕は驚きながら「ガイウス…先生…?」と呟く。
彼は大斧を肩に担いで振り向き、「おう、お前ら大丈夫か?」と言って口角を上げる。
アリアは咄嗟に後退し、「ガイウスさん?どうしてここに?」と警戒を強める。
彼はその動きに動じる様子もなく、斧を納める。「アリア。俺は敵じゃない。大丈夫だ」と伝える。
アリアはそれでも警戒を止めずに立ち尽くしている。
ガイウスは頭を掻きながら、「まあ、そうだよな。とりあえず情報を共有するぞ。学園は現状、生活している人達全体が…。そうだなあ、いわゆる洗脳状態となっている。学園に巡回している警備や職員は正気を失っているかのように通りがかる人を攻撃し、辺りにいる魔物は野放しにされている。魔物達も彼らに危害を加えない。生徒達についても、ほとんどが寮から出られずに幽閉されている。だが、生徒達は何ら疑問も抱かずに生活しているようだった。ただ、アルファクラスの寮だけは異質で、あり得ないほどの魔物が集まり始めている。そこは部外者の男が防衛に徹してくれているが、いつまで持つかは不明だ。」
「次に、俺についてだ。俺も、元は正気を失って他の奴らと同じく巡回していたみたいだ。だが、外を歩いてた時に君らを見かけた。君らが警備を倒しながら進むその姿がどうにも普通とは思えなくて、立ち止まった。考えても考えても答えがなく、水の中に捉えられたような意識が、君らを見るという異変によって変化した。光が差し、身体が次第に自由になり始め、考えが纏まるようになっていった。」
「おかげでこの状況の異質さに気づくことができた。最初は君らを追おうと思ったが、学園内で魔物の声が聞こえたからそちらに向かったんだ。魔物の声の発生源はアルファクラス寮前。そこでは一人の男が魔物と戦っていた。彼の戦闘を手伝ってから話を聞くと、君らの話を伝えてくれた。彼は、「こちらより彼らの助力を」と俺に依頼して、君らの向かう先を教えてくれた。俺はそれに従ってここまで来たって感じだ。」とガイウスはここまでの経緯を話してくれる。
アリアは最後まで話を聞いた後にふうっと息を吐いて警戒を解き、「そうでしたか…。わざわざ助けていただいたのに疑ってしまい申し訳ありませんでした。ご助力に感謝します。ガイウスさん」と頭を下げる。
ガイウスは真面目な顔のまま「気にしないでくれ。この状況、君の反応も当然だ。むしろ、アインに協力してくれてありがとうな」と応えた。
アリアは頭を上げ、「いえ、それこそ気になさらないでください。それはそうと…。この辺りの異質さの原因はそういう事だったのですね…。まるで、赤涙戦争の際の洗脳現象のようですね…」とその場で考え込んでいた。
「ああ。こんな大それた事ができるやつなんてのは早々居ねえ。十中八九、今回の騒動の元凶はゾディアックだろうな。こりゃ…」とガイウスも再び斧を取り出して肩に担ぎ、やれやれと言った表情を見せていた。
僕も2人に合流し「先生。現状を共有させてください」と声をかける。
「ああ、頼む。」とガイウスは真剣な表情で僕を見つめる。
デュークによりシャルロットが攫われている事。演習場北側の塔に、彼らが潜伏しているという情報を得た事。この周辺にいる魔物の事を共有する。
ガイウスは頷き、「そうか。分かった。この辺の魔物にこんなやばい奴らなんて早々いなかったはずだ。どこかに隠れてたのか、それともこの騒動に合わせて放たれたのか。まあ、どちらにせよゾディアックが居る裏付けになっちまってんだな」と納得の表情を見せた。
彼は先頭に立って斧を構え、「先を急ごう。シャルロットを殺されちまったらそれこそ最悪の結果だ。俺に続いてくれ。案内もできるし、君らの力も温存できる。」とこちらに声をかけてから返答を待たずに走り出す。
アリアさんもすぐに続き、僕もそれを見て続く。
ガイウスは片手を失ってもなお、獅子奮迅の力を見せてくれた。僕達が苦戦していた大型の魔物達も一凪で吹き飛ばし、ほとんどがその一撃で息耐え、生き残っていても到底動き出せないほどの損傷を受けてグッタリと倒れ込む魔物がほとんどだった。彼を前にして戦闘ができる様子のものは一体として残らなかった。
山岳地帯を通り、中央の丘を突破して北側のエリアに突入する。演習でもあまり使われる事のない、険しい道が続く川沿いの谷エリアだ。その先に、件の塔が待ち構えているという。
このエリアは険しいが故に元々魔物の数も少なく穏やかな場所だ。だが、今はそうではない。狭く険しいこのエリアを、所狭しと巡回する大型の魔物達の姿が見えていたからだ。
ガイウスはエリアに入る直前で一度止まる。「さあ、正念場のようだな。あの奥に塔がある。今はほとんどが崩壊していて、階層の概念はなくなっている。天井がものすごく高い一階建ての塔だ。辿り着きさえすれば、嫌でも彼らと会えるだろう。」と最後の説明をしてくれる。
「さっきからの雰囲気を見るに、こっからはさらに険しくなるだろう。だが、俺が全部薙ぎ倒してみせる。不足の事態もあるだろうし武器は握れ。それと、もし進行が止まってしまうような状況になったら俺を置いていけ。全部請け負う。だから、この横暴を止めてくれ」と真剣な表情で僕らに指示を出した。
アリアは心配そうな表情で、「分かりました。ですが、無理はなさらないでください。私の心臓兵器は広域魔法が主体です。もし厳しい状況となれば、塔まで引き連れていただいても構いません。ガイウスさんは複数の敵と戦う戦術ではないのですから」とガイウスに助言する。
「ありがとうな。だがまあ、俺もまだまだ落ちぶれちゃいねえさ。きっと、君らが全て終わるまで持ち堪える。」とガイウスは優しく返した。
谷を見据え、ガイウスが号令する。「行くぞ」




