表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/54

28話 遠征⑨ 来客

 意識が戻ると、僕は冷たい床に寝そべっていたが、頭には柔らかくてあったかい感触が優しく触れていた。

 視界がハッキリとしてくると、目の前にアリサの顔がある事に気が付いた。


 僕の目覚めに気が付き、アリサは心底心配そうな顔で「アイン。目が覚めたんだね。調子はどう?」と僕を見つめる。


 僕はゆっくりと体を起こし、「んん…。うん、もう大丈夫みたい。いつもありがとうね」とアリサに礼を伝える。

 「アリサは大丈夫?調子はどう?」と僕も同じように尋ねる。


 アリサは苦笑しながら、「私は軽く頭を打ったみたいだけど、軽症だったみたい。アインと一緒に休んでたらもう落ち着いたかな。それ以外は、足にも怪我があったみたいだけど、血石で直してもらったよ」と申し訳なさそうに伝えてくれる。


 僕はアリサの方を見つめ、「本当に大丈夫?いつもみたいに無理してない?」と再度尋ねる。


 アリサは少しむくれながら、「もう…。大丈夫だよっ。それに、あの戦いで一番無理したのはアインなんだからっ!アインは自分の心配でもしててっ」と叱ってきた。


 「アハハ…。その通りですね…。」と僕は苦笑しながら頭を掻く。

 あ、そうだ。と呟き、「僕は、どれぐらい休んでたの?皆は?」と状況を確認する。


 「えっと、そんなに時間は経ってないよ。戦闘が終わったのが夜になり始めた頃。今はまだ日も昇ってないくらいだよ。他の皆もここで休んでから、神殿の再探索と安全の確保をしてくれたよ。その後、ミーシャさんとフレッド、レイナは応援の要請に向かってくれてる。それと、先生がこの部屋の前で私たちを護衛してくれてるよ」


 「そっか。じゃあ、今出来ることは先生の手伝いくらいかな?僕達も行こうか。」と僕はゆっくりと立ちあがろうとしたが、うまく力が入らず痛みが走る。

 僕は心臓辺りを抑えながら、「うっ…」と声を漏らす


 アリサはその様子を見てすぐに側につき、「アイン、無理しないで。貴方の傷は普通じゃなかったんだよ。血石で応急処置はしたけど、どのくらいのダメージが残ってるかわからないんだから。大人しくここで待ってるのが私たちの任務だよ」と困った顔をしながら伝えてくれる。


 アリサの言葉に素直に従うことにして「わ、わかった…」と起こしていた体をゆっくりと地面に近づける。


 「ほら、ここに頭を置いて。床で寝ちゃったらしんどいでしょ?」とアリサが自分の膝を軽く叩く。


 僕は肩肘をついてアリサの方を見つめ、「ありがとう。けど、大丈夫だよ。アリサもずっとその態勢だとしんどいでしょ?2人で横になってよう?」とアリサを抱えてゆっくりと倒れ込む。

 アリサは一瞬驚いた表情を見せたが、そのまま素直に横になってくれる。僕が腕枕をして、もう片方の手で自分の頭も支える。


 アリサは僕の方へ向き直り、「もう…まあいいや。アイン、皆を守ってくれてありがとね」と優しく笑いかけてくれた。そのまま目を閉じ、すぐに寝息を立てて眠ってしまった。

 その様子を横目に、僕も休む事にする。



 目が覚めると、外で声がしていた。日が昇り、神殿内にも灯りが差し込んでいた。


 アリサは横でまだ寝ているようだったので、体勢を維持して崩れた天井を見つめる。


 ぼーっと天井を見つめながら神殿での出来事を思い返していると、横から「んん…」という声が聞こえる。僕もその声で現実に引き戻され、横の少女の方へ視線を向ける。


 そこには寝起きで目を擦っている彼女の姿があった。彼女は視線をこちらに向け、「あ、アイン。おはよう」と寝ぼけながらも嬉しそうにニッコリと笑いかけてくれる。


 僕はその表情を確認した後、天井に視線を戻し「うん。おはよう。今日はいい天気みたいだね」と答える。


 アリサも僕と同じように天井を眺め、「そうだね」と答える。

 アリサはゆっくりと体を起こして伸びをし、「私達、あの後寝ちゃったんだ。こんな時間まで休んじゃうなんて、先生達に悪いことしちゃったね」と苦笑していた。


 僕も体を起こし、「まあ、先生たちもわかってくれるよね…。ハハハ…。」と僕も苦笑で返す。

 僕は部屋の入口の方へ視線を向け、「そういえば、さっきから部屋の前で話し声がしてるね。聞きに行こうか」と立ち上がって手を差し伸べる。


 アリサもその手を握り、ゆっくりと立ち上がる。


 「うん。それじゃ、謝りに行こっか」


 「そうだね」と二人で笑いながら扉に向かった。



 最奥前の階段には、ガイウス、ミーシャ、フレッド、レイナ、デューク、アリアが揃っていた。


 入り口のすぐ近くで座っていたガイウスが扉の開く音に振り返り、「おう、やっと復活したか。ずっと出てこないから心配したぞ」と立ち上がりながら声をかけてくれる。


 「先生、ご迷惑をおかけしました。それと、ずっとここを守っていただきありがとうございます」と僕達は頭を下げる。


 ガイウスは僕たちの頭をわしゃわしゃとしながら笑い、「気にしないでくれ。まあ、流石にもう少し早く起きてくれよな。もう昼だからな…?」と少し困った顔をしていた。

 「それと、悪かったな。あの男を止められなくて」と今度は先生が頭を下げてくる。


 僕は先生のその行動に驚き、「それこそ気にしないでください。全員で力を合わせても撃退しかできなかった底知れない相手でした。ちなみに、あの男は…?」と率直な疑問を訪ねる。


 ガイウスはその疑問を聞くや否や、「ああ、今ちょうどその事を話してたんだ。おーい、デューク。2人が起きたぞ!こっちにもその話を聞かせてくれ!」と階段の下で話し合っていた他の皆を呼ぶ。


 デュークはその声でこちらに気づき、話を切り上げて一人で先に階段を登ってくる。


 階段を登りながら、僕たちに向かって「よ、2人とも。もう大丈夫なのか?」と手を挙げて話しかけてくる。


 「デュークさん、お久しぶりです。ええ、もう大丈夫です。ありがとうございます」


 「そりゃよかった。で、ガイウスの言ってた話ってやつなんだがなあ。まあ、端的に言うとあいつはゾディアックの1人だと分かった。確認されていたゾディアックの一角。名を「カプリコル」と言うらしい。分かっていたのは、奴の能力だけ。君らが見たという、武器を肩に背負い、状況により切り替えて戦うというものだ。残されていた情報はそれだけだったんだ。どういう事か、分かるか?」とデュークは僕を見て答えを求めた。


 「いえ…あまり、戦場に出ないから…でしょうか?」と悩みながら答える。


 「それもある。だがな、そこだけなら戦闘した奴らが少しずつ情報を残すはずなんだ。ここまで記録が少ない理由。それは、戦ったうえで生き残れた奴が極端に少ないからだ。ゾディアックというのは一体で最前線メンバー数人分以上の力を持っている。つまり、普通に戦って相手になるような連中じゃないんだ。だから、この状況は本来ならあり得ないレベルの事なんだ…。」といった途端、デュークは深刻な表情で黙り込み、ゆっくりと口を開く。

 「だがな、1つだけ納得できる理由がある。奴のセリフだ。君らをセブンスと。そう呼んだと聞いた。それは、本当か?」とデュークは真剣な表情で僕達を見つめる。


 僕はその様子に内心驚きながら、「いえ…分かりません。ですが、あの男の言葉、この力…それは、セブンスと呼ばれる方々の力なのかもしれません」と事実を述べる。


 隣で静かに話を聞いていたガイウスが急に話に割って入り、「セブンスってのは何だ?」と尋ねる。


 「ああそうか。前線メンバーも知らないのか。まあ、端的に言うとこちら側のゾディアックみたいなもんだ。有名な二人の英雄のような、こちら側の切り札。そんなところだ。」とガイウスに説明する。


 ガイウスは腕を組んでふーんと呟き、「そんで、その英雄様が現れたことはあんのか?最前線メンバーが知ってるってことは前例があったんだろ?」とデュークに訪ねる。


 デュークは、いやなぁと呟きながら口を開き、「セブンスについて俺が知ってることを教える。前の世代の最前線メンバーが活動していた頃、セブンスの1人だと名乗った1人の男が居たんだと。そいつは、急に最前線メンバーのもとに現れ、その実力を認められてメンバーとなった。そんで、そいつは短い間最前線メンバーと共に任務について、数え切れないほどの功績を残した。単独で最前線を生き残ったり、当時現れていたゾディアッククイーンと対等に渡り歩き、生き残って戻ったと言われてる。文字通りの化け物だな」

 「彼のおかげで今の最前線の拠点が作られたとさえ言われていたらしい。だが、彼は現在の最前線の拠点完成直後に忽然と姿を消してる。その後、当時の最前線メンバーは壊滅の危機まで至っているから、詳細はほとんど不明だ。当時の最前線メンバーは、キングと名乗った謎の敵に一瞬にして壊滅させられたんだと。その生き残りはたった一人。俺達の部隊の隊長だった。で、壊滅した最前線メンバーは再編されて、そのメンバーの中の2人が俺たちって事だ。つまりは、セブンスってのは人類側のゾディアックみたいなもんって事で伝わってんだ」とデュークは語った。

 「まあ、セブンスって名乗ったと残されてるのは彼のみで、その後は一切報告例がない。だから、彼を探す事が急務とされてたんだ。それで、俺達2人は最前線メンバーなのにいつもフラフラしてるってわけだ」とデュークが自信満々に鼻を鳴らす。


 静かに階段を登ってきて静かに話を聞いていたアリアが、ため息をつきながら「自慢するところはそこじゃないですよ…デューク」と呆れながらフォローする。

 「ですが、あれだけ探しても情報のなかったセブンス…。そのメンバーだったと思われる人がこんなにも近くにいるなんて驚きだわ。だけど、君たちも自覚しているわけでもないし、情報も断片的で繋ぎ合わせただけです。だから、アイン君達を最前線メンバーに強制的に加えたりはしないわ。だけど、力を貸してくれるなら、いつでも待っています」とアリアも真剣な眼差しで僕を見た。


 幸いなことに、アリサがセブンスの1人であるという事は明らかになっていない。ミーティアの話から、セブンスだと言われたのはアリサだけだ。つまり、僕はセブンスではない可能性すらある。でも、ここでアリサの名前を出すわけにはいかない。


 「分かりました。考えておきます」とだけ、僕は答えた。


 アリアと共に近くまで来ていたミーシャが、「なんか、話が難しかったね。まあ、とりあえずひと段落したし、ここはもう少しで前線の部隊が防衛に来るみたい。だから、今のうちに帰っとこっか」と呑気な表情で今後について話してくる。


 ミーシャの暢気なセリフに緊迫した空気が収まり、皆一様に賛成して帰り支度を始める。




 「よし!皆、荷物を纏めたね!じゃあ、ガイウスと私に続いて、星見亭に戻るよー!」とミーシャが号令をかける。


 皆が集まり、神殿を出る。そして、2人に続いて皆も走り出した。




 僕とアリサは最後尾で皆を見守り、追いかけていく。


 しかし、走り出してすぐに後ろからの視線を感じて僕は振り返る。そこには、あの丘で一瞬目に入った男の姿があった。


 アリサも僕が止まったことに気づいて振り返る。


 僕達が男を見た瞬間、彼は「あの丘に来い。話がある」とだけ告げ、瞬きの内に消える。


 アリサが近寄ってきて、「アイン、今の人は…?」と尋ねてくる。


 僕は腕を組んで悩みながら、「分からない。けど、スピネルの生えてた場所。あの丘で、僕が見たのは彼なんだ。まあ、このタイミングって事は…行くしかないって事だよね…」とアリサに伝える。


 アリサも困った表情で、「うーん…でも、ゾディアック達の場合は?あの人が敵じゃない保証がないよ」と躊躇している様子だった。


 僕はアリサの方へ向き直り、「うん、彼が味方である保証がない。だから、乗る必要もない。でも、あの雰囲気…。このタイミング…。僕達の欲しい情報を知ってる気がするんだ」と真剣な表情で伝える。


 アリサは僕の表情を見てうーんと唸り、「行くしか…ないよね…でも、信頼できる人。レイナとフレッドには行く事は伝える。どうかな」とアリサは悩んだ末、そう答える。


 「そうだね。そうしよう」と僕も賛成し、先に行ってしまった皆に合流する。



 星見亭


 星見亭に戻った後、2人に声をかける。そして、詳細は省きつつ丘に向かうことを二人に告げた。


 レイナはかなり困惑した表情で「ええ?い、今からあの丘に行くんですか?!」と驚きを隠せない様子だった。


 フレッドは腕を組みながらいやいや…。と呟き、「なんであそこに行くんだ?それを説明してくれねえと行かせらんねえだろ」と賛成してはいない様子で困っていた。


 そんな様子の二人に、「2人にしか頼めないんだ。説明も納得してくれるようにはできない。陽が落ちるまでに戻ってくる。戻ってこなかったら…その時は頼む。ダメかな…」と頼み込む。


 数秒の沈黙が過ぎ、「はあ…分かりました。お二人が私達を信頼してくれていて、その上で秘密に行きたい。でしょう…?もう、そう言われたらこれ以上聞けないじゃないですか。ただ、これだけは約束してください。危ない状況になったら引き返してください。2人とも体は限界に近いはずですから」とレイナは渋々僕達の行動を許してくれた。


 フレッドもその言葉にため息をつきながら、「はあ…。ああ、分かったよ。じゃあ、俺がお前らを丘の麓まで護衛する。そこから2人で一気に丘まであがるんだ。そんで、話をつけて戻ってきてくれ。いいか?」と協力してくれる事になった。


 僕達はもしもの際の連携を思案した後に出発し、麓でフレッドと別れた。


 その後、僕とアリサで一気に丘まで駆け上がる。魔物も前回のゴーレムの様な大物はおらず、走りながらでも簡単に対処できた。



 丘に着く。日が傾き始め、美しい光景が広がっていた。


 「おーー!凄いよアイン!とっても綺麗!」とアリサはこの光景に見惚れていた。


 僕は景色を眺めながら周囲に気を配る。すると、すぐに背後に気配が現れる。


 すぐさまアリサとの間に立ち、剣を抜く。視線の先には、神殿前であった彼の姿があった。


 「来たな。剣は納めろ。戦いに来たわけじゃない」と彼が構えもせずに静かに立っていた。


 アリサと僕は、警戒しながらも武器を納める。


 「手短に話す。セブンスの継承者を探せ。セブンスは君らが思うような最強の存在ではない。彼らは幾度の人生を歩み、その能力や力を手にしてきた。しかし、あの戦争の時に最後のセブンスは消滅。ずっとその力は失われていた。だが、君らをはじめとして、自覚を持たないながらもセブンスの力を継承した者達が現れ始めている。セブンスの継承者を探し、最前線を攻略しろ。伝説の塔の前に辿り着いたとき、君達には選択の機会が訪れる」と彼は淡々と述べる。


 「最前線の攻略は僕たちも目指すところです。ですが、セブンスを探す…?セブンスとはいったい…」と疑問を口にする。


 背中を向け、この場を去ろうとしていた彼は振り返り、「一つだけ教えてやる。セブンスは星の力の行使者。一般の心臓兵器使いはこれの模倣に近い。彼らは星のカケラから得た微かな力を顕現させ、心臓で動かしている。つまりは心臓兵器使いは寿命を削ってその力を扱っている。最後にゾディアック。奴らは星の真の力、繋がれた幾つもの星の力を顕現、譲渡させている」と彼は答えた。

 「時間だ。今は目の前の課題に集中しろ。セブンスの継承者。お前らは見分けることが出来るはずだ」と彼は述べて背中を向け、彼は瞬きの内に姿を消した。


 僕は彼のいた方を見つめながら頭を抱え、「分からないことが増えただけじゃないか…?ど、どういうことなんだ…?」と呟く。


 アリサは苦笑しながら僕の方へ近づき、「あはは…。でもあの人、実は良い人なんだろうね…1つだけ教えるって言って結構話してくれるし、最後まで助言してくれるし」と彼への警戒を解いた様子で笑う。

 しかし、すぐに表情を暗くし「でも、分からないことが増えたのは間違いないよね…目下の目標はセブンスの継承者の探索…。っていってもどうすればいいんだろう…。最前線の踏破も現状じゃあ…」と悩み始める。


 僕はとりあえず考え事を止めてアリサの肩を叩き、「ま、まあ。とりあえず得られた事は多いからよかった。すぐに2人のとこに帰ろう。2人を安心させないとね」と気持ちを切り替えて丘を下る事にする。


 ハッと現実に戻ってきたアリサも「そうだね。戻ろ」と賛成する。そして、2人で一気に分岐点まで下った。



 戻ってきた僕達を見た瞬間、「おお。何ともなかったか?」とフレッドは大剣を下ろして安心したように声をかけてくる。


 「うん。何ともなかった。用事も済んだよ。巻き込んでごめんね。ありがとうフレッド」


 「気にすんな。お前らが何事もなかったならそれでいいんだ」と告げ、フレッドは事前に用意していた火属性魔法の描かれた巻物を広げ、空に打ち出す。


 すると、すぐに街側で氷の障壁が大きく張られる。


 「お遊び用の威力のないやつだが、買っといてよかったなこれ。これでレイナも安心しただろう。じゃあ、帰るぞ」とフレッドは大剣をしまい、街側に歩き出す。僕達も続く。



 星見亭


 「もう、何もなかったからよかったですが、あんまり無茶しないでください。こちらの気が持ちませんよー!」と珍しく疲れた様子のレイナが説教してくる。


 僕はその様子にバツが悪くなり、「ご、ごめんレイナ。今度奢るから…今回は許して…」と恐る恐る交渉してみる。


 レイナは一瞬僕の方を見るが、すぐに机に突っ伏してそっぽを向き「そういう問題ではないんですよ!反省してるんですかあ!」とプンプンと怒っている。


 「ああ…ご、ごめん…反省してます…」と言いながら僕はレイナの前に座る。


 レイナは僕が座ったのを確認した後にため息をつきながら姿勢を正し、「まあ、何もなかったのでこれくらいにしておきます。ですが、今後はこういう無茶はダメですからね!今回のように頼ってくださるのはとても嬉しいです。隠したまま動かれてしまうと私達も悲しいので…誰にも言えない事情があるのでしょうが、出来れば私達をもっと頼ってください。出来る限りの事はしますから」と淡々と想いを話してくれる。


 「うん。ありがとう」とだけ告げ、僕はうつむく。


 その様子を見て、レイナはふうっと息を吐き「まあ、奢るという話は覚えておいてくださいね。遠征の後、落ち着いたら皆でどこか食事に行きましょう」と機嫌を直してくれた。


 アリサもノリノリでレイナの方へ近寄り、「いいね!どこがいいかな!」と盛り上がっている。


 その様子を後ろから見ていたフレッドが、「あちゃー…アイン、財布が軽くなる覚悟をした方がいいぞ…あいつは舌が肥えてるからな…」と哀れなものを見るように僕を見る。


 その声に顔を上げ、「あ、あれ…?僕、やっちゃった…?」とフレッドに向かって助けての顔をする。


 フレッドは首を横に振り、「諦めろ、対価だ。」と諦めの表情で答えた。


 「そ、そんなあ…」と絶望して机に突っ伏す。



 そんな会話を皆で笑いながら、夜を過ごした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ