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15話 2度目の演習と最強の力②

 木々を避けながら走り続けると、開けた場所に出た。そこに、ロイド班とレイナ、ランドが集まっていた。本当に、アリサ達は全滅したのか…と木の隙間から様子を見ていると、急に口を塞がれ身動きを封じられる。


 「…!は、離せ…!」と何とか小声で口にできたがすぐに拘束してきた人が顔を見せてくれる。


 「ふふ。アインったら情けないよー?声が震えてた!」とニコニコしながら覗き込んできたのはアリサだった。


 「え?え?どうしてアリサが…?」と状況についていけずに困惑してしまう。


 「えっと、簡単に今までの状況を伝えるね。イジー君とソーンさん、ランド君が私達を奇襲してきたの。分断されそうになったんだけど、ノマール君とカールが上手く3人を撹乱してくれて、気づいたら私だけ奇襲から逃れてたの。それで皆を追いかけようと音のする方に向かったら、ソーンさんとランド君とカールとノマール君が睨み合ってたの。加勢しようと思ったんだけど、何でかカールが散開の合図してきて…よく分からないけど出ない方がいいってことかなって思って隠れてたんだ。そしたらすぐにロイド君の班が合流して三つ巴になったの。カールとノマール君は、ソーンさんにやられちゃった。その後はロイド君の班とランド君、ソーンさんがずっと戦ってた。でも、ソーンさんもどっか行っちゃって帰ってこないし、ランド君は助けがないと持たないと思うよ。」と簡単に説明してくれた。


 「そっか。じゃあ、今はレイナとランド、それにロイド班か。さっき僕との戦闘でレイナ班の主力だったフレッドとソーンは倒した。レイナはそこの木の所で加護を唱えようとしてるね。ここからランドが形勢を変えるのは難しいだろう。だけど、ランドが倒れるまで待って、ロイド班の4人と正面からやり合うのは得策じゃない。だから、側面に回ってロイド班を強襲する。ハドーやロイドをやれたら1番いいけど、誰かを削れたらオッケーかな。ランドはこの状況でこちらに手を出してはこないだろう」


 「フレッド君とソーンさん倒しちゃったの?!修行の成果かな!凄いね!」と素直に喜んでくれる。

 「それと、アインの案に乗るね。私もアインと一緒に動く。指示してね。」


 「分かった。ここは三日月状に木々が立ってる。だからとりあえずレイナとは逆の東側に移動して、一気に攻めよう」


 「分かった」


 と移動を開始する。しかし、その案では上手くいかなかった。


 「やっぱり隠れて動いてるっすよね。それと、長く話しすぎっすよ。ビーコンの間隔、忘れたんすか?」とイジーが木の上から話しかけてきた。そして、口笛を吹く。


 全員がこちらに振り向き、同時にビーコンも放たれる。今はレイナがビーコンだったようで、レイナの位置も知らされた。


 「上手くいかないもんだね!全く!」と僕は大剣を構え、イジーの立っていた木の根元に一撃を加える。木は倒れ、イジーも驚いて降りてくる。


 すかさずアリサが突撃し、体勢を整える前のイジーに一閃する。


 「ひ、卑怯っすよー…」と短剣を抜く前にクリスタルが損壊し、イジーは離脱となった。座り込んで明らかに落ち込んでいた。


 「ご、ごめんねイジー君」と申し訳なさそうにアリサが謝っていた。


 「いやいや、気にしないでほしいっす。隙を見せたのが悪いんす。それより、残りのメンバーがくるっすよー」と皆がいた方を指差す。確かに、なぜか今にも全員が向かってきそうだった。


 「アリサ、な、なんでかな。あそこってチームじゃないよね?結託してるよ??」と呆然と指差してこちらをみるアイン


 「アインったら…弱気にならないで。だって、どう考えてもフレッド君とソーンさん倒したの私達だって分かるし…脅威として見るなら私たちを優先されるのは仕方ない事よ。だから、2人で全員を相手するの!いくよ!」とアリサが僕の肩を叩いてくる。


 「ま、まじかあ~~。まあ、やるけどさ。アリサ、修行の成果を皆に披露するよ!」と僕も大剣を構える。


 僕達は息ぴったりで飛び出す。すぐに不敵な笑みを浮かべたハドーが突進してきたが、それは予測していた。僕がアリサの前に出て、ハドーの攻撃を受け流す。そして、アリサがハドーの背後に回り込み、斬り込む。一瞬の出来事だった。


 「な…に…」と驚愕の表情でハドーは崩れ落ちる。ランドやロイド達も動くことが出来ず、呆然としていた。


 「ま、まずい!陣形を整えよう!ランド君!チームじゃないけどここは共闘といこう!レイナさん!加護を!ルナさん!いつでも撃てるように!」と状況をいち早く飲み込んだロイドが全員に指示を出す。


 「あ、ああ。了解だ。ロイドに付くぜ。」


 「仕方ありませんね。ロイドさん、お願いしますよ!」


 「はい!いつでもいけますよ!」


 と3人はそれぞれロイドの指示通りに展開する。


 「アインさん、アリサさん。この戦い、譲れないんですよ。卑怯な戦法で申し訳ありませんが、いきますよっ!」とロイドが地面を蹴る。ランドも続き、攻撃の姿勢をとる。レイナはロイドに加護を付与し、後方で待機。ルナも構えつつ待機した。


 「アリサ、僕が受け持つ!援護を!」


 「分かった!」


 と2人で構える。ロイドは斬り込む素振りを見せていたが、接触するギリギリで体を翻し、僕達の背後に抜ける。ランドは側面からアリサに突撃していた。アリサはランドの小手を二刀で受け止め、動けない状態となった。ロイドは僕の後ろまで走り抜けて反転し、ルナとロイドで僕たち三人を挟み込むような状態になった。その瞬間、ロイドは盾を地面に突き刺して防御の構えを取り、叫ぶ。


 「今です!」とルナに指示を飛ばす。


 「はい!いっきますよー!」とルナがすかさず最大火力を放った。


 僕が振り返った時には、もう目前まで火が迫っていた。だが、火は横から展開された土の壁により防がれた。


 「卑怯ってそういう事だろうと思ったぜ!まあ、アイン達も守っちまったのは良くなかったが倒れるよりマシだな。おいロイド、お前は先に始末するぞ」と怒りをあらわにしたランドがロイドを睨んでいた。


 あの瞬間、ランドはアリサの攻撃を受け流してルナの方へ向き、手に纏わせていた土属性の小手を展開し、大型の壁を作った。その盾によってルナの攻撃の大部分は受け止められ、通った部分も大きなダメージを与えるには至らなかった。


 「クッ、やっぱりダメですか…こうなれば、奥の手といきましょう」そう言いながら、盾の内側に手を添える。そして、光の剣を抜き出す。


 「隠しておきたかったんですがね。そうもいかなそうなので!では、いきますよ」と静かに闘志を燃やしたロイドが軽く地面を蹴る。


 立ち位置的に見てアリサが1番近い状態だったが、僕がすぐに割り込む。


 「アイン君か。僕の剣はね、属性の剣。自在に操れるのさ!」と弾こうとした僕の剣をすり抜け、斬り込んでくる。


 咄嗟の判断で見切り、大きくのけ反る。


 「ダメダメ、そんな隙を晒しちゃ。これで終わりだよ」とすかさず持ち手を反転させ、下から切り上げようとする。


 「私も、いるの!」とアリサがロイドの盾に大剣を叩き込む。


 「グウウウッ!邪魔をしますね!全く!では、一気に相手をしましょう!」と数メートル後ろに退いたロイドは、剣の部分を鞭のように変えて構える。


 そして、もの凄い速度で乱雑に叩きつけてくる。その速度と巧みなリーチの操作、そして地面を抉るほどの強烈な威力によって、僕達は防御するのがやっとの状態となった。


 「この勢いはまずいな。釘付けにされたらルナに撃たれるっ!」と鞭を受け流しながらルナを横目に見る。


 ルナはさっきの攻撃の反動を耐えきり、次の発射の準備に切り替えていた。


 「ルナさん、撃てるなら撃ってしまってください!この方々は終わりですよ!ハハハ!」と高笑いをするロイド。性格が変わったような狂気を感じた…


 「もう少しです。もう少しで撃てます!」とルナも準備を始める。


 「アイン!どうするの!?」とアリサも策が尽きた様子だった。


 「クソ、動けねえ!」とランドも同じように釘付けにされていた。


 その時だった。「皆さん、反撃開始です!」とレイナの声が響く。その瞬間、ロイドと僕達の間に巨大な障壁が展開され、ロイドの攻撃をシャットアウトする。


 「長くは持ちません!アリサさん!ルナちゃんを!ランド君、アインさん!ロイド君に止めを!」とレイナが指示する。


 「分かりました!」

 「任せろ!」

 「ああ!」


 と3人は息を合わせ、それぞれの方向に地面を蹴る。


 アリサは一目散にルナの元に走り、焦ったルナは散弾のように火の短射程魔法を放った。アリサは軽々と避けきり、ルナを峰打ちで戦闘不能とした。


 僕とランドは、障壁を抜けてロイドの元へ向かう。


 「おら!ロイド!てめえだけは叩き潰すぞ!」とランドは盾に怒涛の攻撃を出し続ける。


 釘付けになったロイドの背後に回り込み、僕は斬り込む。しかし、あっさりと防がれてしまう。


 「甘いよ、アイン君。2人で攻めてくるのが分かってたのに1方向だけに集中するわけないじゃないか。」と剣の形に戻した黄色の武器で軽々と弾き返される。ランドの方も、ロイドがタイミングを測って上に受け流した事で胴体がガラ空きとなる。


 「だから、甘いって。ランド君はこれでおしまい。はあ、いつもならこれで息が止まるのに」と溜息を吐きながら、ロイドはガラ空きになった胴体に剣を差し込む。


 「ま、まじか…すまねえ、皆…」とランドは倒れ込んだ。クリスタルが損壊し、戦闘離脱となる。


 「さて、後はアイン君とアリサさん、レイナさんねえ…かかってきなよ」と嘲笑しながらアインを見据える。


 「クッ…!いくよ!」と僕は斬りかかる。しかし、ロイドの速さはその速度を増す。レイナの加護だ。


 「すみません、アインさん。私には貴方達の共倒れ以外に勝ち目がないのです」と申し訳なさそうにレイナは話しながら加護をロイドに付与していた。


 「そっちに付くか、レイナ…。まあ、どっちも味方じゃないから仕方ないよね…でもッ!」とロイドの剣に僕は何とか合わせ続ける。


 「アイン!私も!」とアリサもこちらに加勢してくる。しかし、アリサの攻撃は軽々とロイドの盾に阻まれ、びくともしなかった。


 「2人がかりでこのザマかい?じゃあ、僕からもいくよ!」とアリサを盾で弾き飛ばし、アインの攻撃を防ぐ。そして、盾の打撃と剣の斬撃で目にも止まらぬ速度の攻撃を繰り出してきた。


 「この速さは…!押し切られる…!」と連撃を受け流しはしていたが、少しずつクリスタルが傷ついていく。


 「ハハハ!アイン、君も終わりだ!僕が殺ってきた奴らと同じようにっ!さっさと逝きなッ!」とロイドは手を緩めずに笑う。


 「ク、クソ…!まだだ!」とロイドの速さに無理やり合わせ、一歩も譲らず抵抗する。しかし、すり抜け、掠った攻撃でクリスタルが徐々に傷つき、限界が近づいてきていた。

 「ま、まずい…このままだと押し切られる…」とジリジリと削られていることに焦りを感じ始めた瞬間だった。


 ロイドの背後から、一本の剣が彼の体を貫いた。


 「ガハッ…!な、なんだ…!これは…!」と動かなくなった体が信じられないと言わんばかりに、貫かれた場所を見つめる。


 その後ろには、アリサの姿があった。金色の光を宿し、神々しい姿となっていた。


 「終わりです。ロイドさん。」とアリサは剣を引き抜き、ロイドのクリスタルの損壊を確認する。


 「ぼ、僕が…負ける…?そんな筈は…。僕は最強なんだッ…。だって僕は…ゾディアックの…」と膝から崩れ落ち、絶望するロイド。次の瞬間、体から無数の魔法が解き放たれた。


 「2人とも!離れて!何か変よ!」とレイナが叫ぶ。


 僕達は瞬時に離れ、ランドとルナをそれぞれ担ぎ、レイナと共に大きく後退する。そして、距離を取って振り返った瞬間、地形を抉るほどの大爆発が起きる。風圧で、立っているのがやっとの状態になるほどだった。


 爆発が収まり、ルナとランドをその場に残して3人でロイドの居た場所に戻る。しかし、そこにはロイドの姿は跡形もなくなっていた。


 「そ、そんな…どうなってるんだ…」と言葉がこぼれ落ちた。レイナもアリサも何も話さなかった。


 爆発を聞きつけ、ガイウスが飛んできて演習は中止。事の顛末を確認するため、明日に学園長室への呼び出しが決まる。


 顛末を見た3人は、暗い表情のまま帰路についた。

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