11話 覚醒と使命
そんな事を季節が移り変わるくらいまで続けた。アリサは文句一つ言わずほぼ毎日僕に付き合ってくれていた。おかげで僕はアリサと戦いになる程度成長する事ができた。
そんなある日。いつものように早朝の特訓をしていると、何かの気配を感じた。
「アリサ、ちょっとだけ待ってくれる?あっちに何か…」と気配がする方に向かってみる。
「ア、アイン?どうしたの?」とアリサも付いてきてくれる。
僕たちが近寄ると、木々をかき分ける音が少し先に聞こえていた。
「誰だ?隠れてないで出てきなよ!」と声をかけるが反応はない。
「んー。ちょっと付いていってみよっか。アリサ、いいかな」
「うん。じゃあ追いかけてみましょう」と2人で後を追う。
そこから何分進んだだろうか。何故か時間の感覚が薄れ、気づけば全く知らない洞窟に辿り着いた。
「学園の近くにこんな場所あったかな」とアリサが首をかしげている。
「んー。あんまり遠くまで行った事ないもんね。でも、ここに進んでいったみたいだし入ってみる?」とアリサに声をかけてみる。
「うん。行ってみよっか」と奥に進んだ。
不思議な事に洞窟はある程度明るく、視界に困ることは無かった。天然の石が発光しているようで、僅かに灯りがあったからだ。
5分ほど進んだところで終点についた。その場所は、天井が抜けた広間のようになっており異様なほど静かだった。陽の光が差し込み、幻想的な雰囲気が漂っていた。そして、その光が照らす場所に、緋く脈動するように光を放つ大岩があった。
その岩に近づくと、僕の心臓が強く強く脈打った。
「うっ…!」と胸の辺りを手で押さえてよろめいた。
「ア、アイン!?急にどうしたの、大丈夫!?」と心配そうにアリサが駆け寄ってくる。
「うん、大丈夫。もう何ともないよ。」とアリサに微笑みかけ、僕は導かれるようにその岩に触れた。
すると、何故か僕の心臓兵器が顕現した。その岩にゆっくりと突き刺さり、緋く緋く脈打つような岩の光と同調し、僕の大剣は砕けはじめた…
「ウ、ウアアア!」と僕は激痛に苦しんだ。
「アイン!アイン駄目!その手を離して!あなたの大剣が!早く手を放して!」とアリサは叫ぶものの、大剣から放たれる衝撃波によってこちらに近づけない様子だった。
「だ、大丈夫…大丈夫だよアリサ。僕は大丈夫だから…」とアリサに心配をかけないように強がって見せる。実際はこの耐え難い痛みから必死に争っていた。
その時、光の入ってきていた天井の付近に誰か、誰かがいたような気がした…あの人は…
僕の激痛は岩が急に瓦解したことで収まった。そして、岩に突き刺さって砕けたように見えた僕の大剣は、形を変えてそこに突き立っていた。あれが、僕の心臓兵器…
脈動していた岩は少しずつ溶け消え始め、大剣の周辺の地面は燻っていた。前までとは違い、鋭い大剣の形となった僕の心臓兵器には幾つもの亀裂ができており、そこから先ほど岩が放っていた緋い光が漏れ出していた。
僕は大剣に近づき、手に取った。すると、急に視界がぼやけて誰かの記憶の断片が流れ込んできた。
「・・・!あの魔物は相当な力を持っているみたいだ!周辺を片付けながら様子を見て、2人で一気に行こう!」と隣の男性が話しかけてきていた。
僕は何も答えられず、視線を動かせるのみだった。僕の手には緋く燃え滾った大剣が握られていた。これが、先ほどの剣なのだろうか。
顔を上げると場面が切り替わった。僕は、心臓を貫かれて倒れていた。空を見上げ、泣いていた。何故か涙が止まらなかった。視界の端に、先ほど声をかけてくれていた男性がいた。彼は、2本の剣を持って眼前の強大な魔物を睨みつけていた。しかし、彼の身体にはいたるところに傷があり、限界が近いのが容易に見て取れた。それなのに…
「すまない。君には生きてほしいんだ。だから、僕がここですべてを引き受ける。君は先の未来で…幸せに…」そう、彼は言った。
僕は、その記憶の断片をひどく懐かしく感じた。僕にあるはずのない戦いの記憶。覚えのないはずの戦友…。この記憶は…




