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7話

「……あれ、もしかして俺って」


「聞く限りでは何も出来てないわね」


 誇らしげに過去を語れば、何もサポート出来ていなかった件について。

 高垣に自信満々で自分が無能であることを赤裸々に語っていた。


「自信あり気に言うからそれ相応の事をしてたと思ったのに」


「うっ……すいません」


「まぁ中学生で出来る事なんてたかが知れてるしね」


 昨日の表情と同じ顔で俺を見る高垣。

 肺いっぱいに息を吸い溜息を吐く姿からは朝に見えた疲れたOLそのものだった。なかなか様になっているな。


「何よ変な顔して」


「なな何でもありません」


「……そういう事にしてあげるわ」


 妙に勘が鋭いのか高垣はまるでこちらの考えを見透かしているようだった。深く追求してこないのは自分でも解っているからだろうか。

 いや、こんな会話はどうだっていいんだ。これからの事をどうすればいいのかについて協力を煽がなければ。


「えーそれで高垣さん」


「何で敬語?」


「俺の手伝いとかは、してくださいません?」


「……」


「え、どうして睨んでくんの?」


 返ってきた答えは鋭利な視線。

 外で運動部の声がはっきりと聞こえる程に静寂な教室で、思わずごくりと唾を呑み込む。

 俺の至らない所を聞かされて呆れているのは解るのだが、睨まれる程だろうか。先程高垣もたかが知れていると口にしていた所を見ると、そもそもがあまり期待していなかった節がある。


「……まぁ、いいわよ。少しだけなら」


「え?マジで?女子の意見とかめっちゃ参考になるかも」


「それを中学の時に実行しときなさいよ」


「へへっ自惚れてました」


 じとっとした視線を寄越し睨むことをやめた高垣は、渋々といった様子で承諾した。高垣の指摘にはごもっともなのだが、こと二人の件に関してはどうも周りが見えなくなるらしく、今みたいな事を結局女子にする事は無かった。

 もしかしたら、していた事で何かが変わっていた可能性もあるが、詮無きこと。


「なら、記念に一つ、アドバイスよ」


「お!早速!?ぜひぜひ!」


 思わず身を乗り出してしまった俺に対して、高垣は椅子ごと身を引く。何か見たことある気がするが今は高垣のアドバイスが先決だ。傷付いたとかでは決して無い。


「あんたは大切なモノを見落としてる」


「……え?俺、大切な物?いや、俺のじゃなくてだな」


「今日はこれ以上言わないわ。今後はこんな感じで協力してあげる」


「えぇ……まぁ参考?にしてみるわ」


「精々足掻きなさい」


 それっきり高垣は外を眺め始めた。その姿を見て俺も何かを聞く雰囲気では無い事を悟り、一緒に外を眺める。


 今日も夕陽が目に染みる。


 ★★★★★★


(何も解ってないのね)


 これが私の前で目を瞑り、まるで自分の宝物を自慢するかのように楽しそうに生い立ちを話す新藤に対しての感想。

 見た目は普通の、どこでもいるような男の子。所々に朝放ったらかしたであろう寝癖の残るボサボサの黒髪は放課後になってもそのままになっており、うんうんとうねる度に追随して髪も揺れている。親友達である浅見君と朱音に比べれば成程、違う意味で目立つだろう。

 聞けばあの時はどうだとかこの時はこうだったとか、まぁ結局は尽く失敗に終わっているみたいだけど。


 生まれて15年。高校生となっても世間の広さを少ししか見ていない私でも、小さい頃に見たらしい恋愛漫画に影響されここまで盲目的になる人は初めて見た。

 中学の頃に周りに居た女子だってこんな恋愛してみたいとかで盛り上がったりはしていたが、それだって願望止まり。現実は物語の様に甘くはない事を理解しているから。


 恋は盲目と言うけれど、果たして目の前の貴方はそれに気付いているのだろうか。いや、気付いてないのだろう。

 私から現実を突き付ける事も出来はするが、それをしなければならない子達がいる。


 だから、私は必要最低限の事しか指摘しないつもりでいる。()()もある事だし。

 それに、現実を知った目の前の男子がその時にどの様な考えを巡らせ、行動するのかに興味も湧いたから。


 これからの高校生活、案外退屈しないのかもしれない。

※思い付きと勢いで書いているため、今後話の内、矛盾点等を少し訂正する場合もありますが、流れは変えないようにします。申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  本人たちの気持ちはどうなのか、そこを確認もせずに勝手にくっつけようと画策しても徒労だろうねえ。  主人公がグループの中心のようにも見えるし下手すりゃグループ崩壊の可能性も?  
[一言] 面白いです。 恋愛的な矢印がどう向いているのか…色々と予想して楽しんでます。
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