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14話

 窓から差し込む日差しを受け、目が覚める。網戸から髪を揺らす程度の軽い風が吹き込みカーテンを揺らす。


 スマホを確認すると現在8時35分。

 今日は10時から高垣との待ち合わせがある。未だ眠気は残るものの、支度をして早めに出なければ。

 取り敢えずはここまで匂う朝食を作ってくれているであろう母さんの元へと行こう。


 ☆☆☆☆☆☆


「母さんおはよー」


「あら、おはよう。最近いつも休みの日は遅くまで寝てるのに今日は早いのね」


「ちょっと用事あるからな」


 リビングに入ると既に朝食を済ませ、ソファの上で寛いでいる母さんがテレビのニュース番組を見ていた。平日は父共に社畜の如く働いているので何も無い休日はその反動で、もの凄くだらける。何時もの光景だ。


「あんた寝癖凄いわよ?出るならちゃんと直しなさいよね」


「それぐらいちゃんとするし。てか母さんもじゃん」


「私はちゃんとするから」


「へいへい」


「目玉焼きとウィンナーあるからね〜。白ご飯はセルフ」


「へいへい」


 会話を切り、自分の分のご飯をよそう。フライパンに残るおかずは目玉焼き二つと六本のウィンナー。ふむ、親父の分のウィンナーを一本多めに盗んでおこう。それらをテーブルに乗せ、いざ。


「頂きます」


 うまうま、と思いながら朝食を食べていると、母さんは急に此方を向いて何故かジロジロと俺を見始めた。


「そういえば、昔は私がよくその寝癖直してたわね」


「え、何時の話だよ。覚えてないんだが」


「幼稚園の頃だったかな。もっとやってーって強請ってきてたわ」


「やめてくれ。恥ずかし過ぎるんだが」


 朝食を食べている最中、何を思ったのか母さんは急に昔のことを言い出した。俺自身そんな記憶はあまり思い出せないが、まぁ幼稚園と言っていたから相当昔なんだろう。


「てかどうしたの急に」


「いや、そういえばあんたももう高校生なんだなぁって」


「合格通知とか制服着た所真っ先に見せたじゃん」


「それでもよ。あんたを産んでもう15年経ってるのね」


「いつも感謝しております母上」


 てか朝から何でこんな会話をしているんだろうか。また恥ずかしくなってきた。朝食は済んだしそろそろ部屋で着替えよう。


「御馳走様〜」


「は〜い。お皿置いといてね」


 使った皿を水で流し、洗い桶の中に入れ洗面台へ移動する。

 歯磨きと髪のセッティングを目立たない程度に収めた後、自室に戻りクローゼットを開ける。どんな服装で行けばいいだろうか?


「……まぁ、普通な感じでいいか」


 上から白の半袖カットソーに紺色のチノパン。まぁこれぐらいだったら変に目立たない筈だ。後は白のスニーカーで。二人の為に調べものをした時に『ファッションに困った時はこの組み合わせ!!』と雑誌に載ってたぐらいだし。ダサくは無いから高垣も文句は言わないだろう。


 時計を見ると現在9時過ぎ。

 場所を確認しながら行けば余裕で着くくらいだ。よし、いざ出陣。


「いってきや〜す」


「いってら~。二人に宜しくね〜」


 玄関を開け挨拶をする。どうやら母さんは親友達と遊びに行くと思っている。まぁ、訂正しなくても大丈夫でしょ。


 ☆☆☆☆☆☆


 休日である為、行く道には沢山の通行人がいる。俺と同じ学生か、数人で賑やかに歩くグループもいれば、スーツを着こなし会社に向かっているであろう社会人。


 スマホの案内に従い家から約三十分程歩いた所で、案内が終了した。どの様な店かちらりと見てみると喫茶店であり、ガラス越しには既に殆どの席が埋まっている。オープンテラスにも既にカップルやノートパソコンを広げ何かを打っている人などが座っており店員が忙しそうにトレイの上に注文品を持ち運びしていた。視線を感じたのか、お洒落な眼鏡を掛けた一人で座っている大学生らしき人と目が合ってしまい慌てて目を反らしたが、遅かったかもしれない。


 そういえば、予約しているのか、予約必須なのか全然調べてなかった事を思い出した。失敗だ。


 もしかしたらもう着てるかもと思って高垣へ電話する為に、店前で待ち惚けするのも迷惑になるため少し離れた場所へ移動する……と、まるで救いが来たかのように高垣から着信が来た。


「あーもしもし?」


「今目があったでしょ。コソコソしてないで入ってきて」


「は?」


 高垣にそう言われた俺は再度オープンテラスを見る。すると此方へ手を軽く振っている人が居た。というか先程目が合った大学生らしき人が高垣本人であった。


 黒縁の眼鏡を掛け、少し大きめの青色のスリーブニットにベルトの着いた膝下くらいまである黒のスカートに黒のヒール。そして脚を組んでいるため少しスカートが開けてその細い脚線美が露わになっていた。


「めっちゃ大人びて見えるやん」


 そんなお洒落な高垣の元に俺は行かなければならないのか。

 無難さを選んだ少し前の俺に怒りを覚えた。

※思い付きと勢いで書いているため、今後話の内容、矛盾点等を少し訂正する場合もありますが、流れは変えないようにします。申し訳ありません。


ブックマーク、評価、いいね、感想、誤字報告ありがとうございます。


ファッションの説明とか難易度高い...上手く想像して下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この焦れったい感じがディ・モールトベネッ!(非常に良いッ!) [気になる点] サポートするとは言いつつ目立ってるあたり、主人公は無意識的に目立とうとしてるんだろうな。壁に徹するべき場面で二…
[良い点] 付き合っ(ry
2022/09/05 05:09 退会済み
管理
[一言] ファッションには全く詳しくないのですが、ガチ恋おしのび系ファッションの気配がもりもりとするぜ…
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