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ノーブル・チョイス~悔いなき選択~  作者: お芋ぷりん
第3章 泡沫なる夢想を現実とせんが為に

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第7話 マザーとの邂逅

 




「こんなところまで連れてきて、いったい何があるって言うんですか?」


 運命の日の前日。


 祈達が寝静まった頃を見計らって、グレイに呼ばれ寝所を抜け出してきた葉一が同じエレベーターに乗るグレイに問い掛けた。


「キミが知りたかったものさ」

「え?」


 チーン、という音がした。それは最下層に着いた事を示す鐘の音。ドアが左右に開き、グレイが外に出る。訝しげに思いながらも、葉一はグレイの後ろを付いて行く。


 足元は無数のケーブルが敷き詰められており、非常に歩き辛い。足場の悪い中、スイスイと進んでいくグレイの足がある所で突然止まった。


「マザー、彼を連れて来ましたよ」

「……マザー?」

『グレイ、ご苦労様です。下がって良いですよ』

「承知しました。葉一君、用が済んだらエレベーターに乗って戻ってくるといい」


 展開に頭が追い付いていない葉一を余所に、グレイはマザーに言われるがままその場を去っていく。


 残されたのは、依然置いてけぼりの葉一と柱の機械マザー――否、マザーコンピューター。


「貴方は、何者ですか……?」

『その答えを、貴方は既に持っている筈』


 マザーの言う通り、葉一はなんとなく解り始めていた。グレイの言動から目の前の存在が何者であるかを。


「〈アズグラッド共和国〉の影の権力者、ですよね」

『気付いていましたか』

「何故僕をここに連れて来たんですか?」

『そろそろ良い頃合いだと考えたからです。貴方が真実を知る事のね』

「っ」


 マザーの合成音声か、それとも言動か。どちらかは分からなかったが、葉一にはどこか不気味な気配を感じ取っていた。


『私の起源は〈械鋼歴〉()()()――今から八百年前に意思を持つスーパーコンピューターが共和国にて発掘されました。それこそが、この私なのですよ』

「〈械鋼歴〉42年……よんじゅう、にねん、だとっ⁉ まさか、そんな偶然が……⁉」


 葉一に電流が走った。まるで点と点を結ぶように、マザーが口にした起源の年と葉一の記憶にあった年数が結合する。


『偶然ではないとしたら……?』

「まさか、まさか……そんな馬鹿なっ」


 葉一の脳が今までにない程に回転し始める。脳の回路が焼き切れそうな程の熱さを覚え、突然視界がカッと弾けた瞬間、葉一はある答えに到達した。


「――……まさか、貴方と〈皇御国〉の精霊が同一の存在だって言うのか……?」

『そうです』


 葉一は自分で言っていて、頭がおかしいと思った。


 そんな馬鹿げた話があるのかと。しかし、そんな希望を否定するかのように肯定されてしまう。


『そして私は貴方の……』


 続けて、畳み掛けるように合成音声が流れた。


『――○○○なのですよ』

「っ⁉」


 その言葉を聞いた瞬間、ドクンッと心臓が鼓動した。


 頭が真っ白になったかと思えば、突如として数え切れないほどの映像の数々が脳裏に蘇っていく。


「あの時思い出した僕の記憶……やっぱりそうだったのか。僕は、いや私は――――」





次回第3章エピローグ、明日(2/7)の18時に投稿します。

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