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第7話 エティゴーヤ

襲撃されてる馬車。

揉め事に介入したくないと、俺は、思う。

思うが……どうするよ、父さん!

 盗賊が現れた。


 どうする?


  ・戦う

  ・逃げる←


ダダダッ!


 ダメだ! 敵に回り込まれた。 逃げれない。


 盗賊の攻撃。


ガスッ!


 商人の馬車は、3のダメージを受けた。



「うひぃぃーー! お助けぇー!」

 馬車に乗る小太りで口ひげを生やした商人 エティゴーヤが叫んだ!

 ラビリオの村に素材の買い付けに行った帰りに盗賊からの襲撃を受けているのである。

 そして、ケチって護衛を雇わなかった事を激しく後悔しつつも、必死に盗賊から逃げようとしたのだが……


「逃げるんじゃねぇ! 安心しろ、殺して、金と荷物をいただくだけだから!」

 盗賊が安心させるように言ったが、

「ふ、ふざけるな! 安心できるか!」

 エティゴーヤは、当然言った。

「なんだと、この野郎! 優しくしてりゃ、つけ上がりやがって!」

 盗賊達が怒り出した。


「うわぁあ、理不尽!」

 言ったエティゴーヤを殺そうと刃物を手に盗賊達が馬車に近づいてくる……


 父さんの運転するオフロード四輪駆動軽自動車から馬車が襲撃されている様子が見えた。


「父さん、どうするの?」

 強盗を目の前にして、俺は、父さんに聞いた。


「に、逃げないと、死んじゃう……」

 キャスカが震え声で……

 父親が盗賊に殺されたから…… クソッ! 嫌なもん、キャスカに見せやがって!

 俺は、強盗達に殺意が沸く。

 ……だが、平和主義者なので、我慢するがな!


「博人、ちょっと行ってくるから、キャスカと待ってろ、車から出るんじゃないぞ!」

「危ないよ、父さん! 無茶しないで!」

 俺が言ったけど、父さんは、自動小銃を片手に車から降りて、馬車の方へ歩きだした。


 車に残される、俺とキャスカ。

 不安だ。


 キャスカを見ると、震えていた。


「キャスカ、大丈夫、父さんもいるし、俺が傍にいるからね、手を貸しな」

 俺は、キャスカの手を握った。

 少しは、安心できるかな?


「博人……」

 上目遣いで言ったキャスカに少しドキッとして、赤くなってしまったが……

 キャスカの震えが少しだけ収まったような気がした。

 少しくらい、俺も役にたてたのだろうか?


 可愛い……


 言うか?


 このタイミングで?


 でも……よしっ!


「キャスカ…… 俺は、お前が、す」

 外で、パパパって銃声が聞こえた!

 言葉の途中だが振り返って、フロントガラスの方を見る……


 強盗の集団が地面に横たわっているのが見えた。

 全滅のようだが、父さんが無事なようで、良かった。


「博人……お兄ちゃん、何?」

 声がしたので、キャスカを見ると、ジッと俺を見ていた。

「い、いや! 何でもない! キャスカ、父さんが強盗達を倒したみたいだから、もう安心だよ! ハハハ……」

 今は、言うべきタイミングでは無いと判断した俺は、ごまかしつつ言って笑った。



 馬車の周りに盗賊達の死体が転がっている。


 突然、乾いた音がしたと思ったら、バタバタと盗賊達が倒れていった。

 エティゴーヤは、何が起きたのか、理解出来なかったが、助かったと思った。


「おい、大丈夫か?」

 俊夫が、馬車に乗るエティゴーヤに声をかける。

「こ、これは、貴方が?」

 盗賊の死体に目をやったエティゴーヤが聞いた。

「話し合いで何とかしたかったけど、あんたが殺されそうだったからな」

「間に合って良かった! いやぁー助かりましたよ! ありがとうございます。 私の名前は、エティゴーヤ」

 エティゴーヤが俊夫に握手を求めて手を差し出す。

「俺は、俊夫。 町田 俊夫だ」

 そう言って手を握りかえす俊夫。


「俊夫さん、私は商人をしているんですが、ラビリオの村で買い付けをしてハーヴェストへの帰りなので、その……お礼に、お渡し出来る持ち合わせが……」

 エティゴーヤは、恥ずかしそうに言ったが、俊夫は、お礼に金品をいただこうと言う発想が無かった。

「エティゴーヤさん、ジュリアスって旅の商人を知っていますか?」

「……ジュリアス?」

「男の子を連れているんですが……」

「ごめんなさい、ちょっと存じ上げません」

 エティゴーヤが申し訳なさそうに言った。

「ああ、いや、知らないなら良いんだ。 それより、そのラビリオの村とか、あんたが戻るハーヴェストって近いのか?」

「そうですね、ハーヴェストまでは、明日の昼前には到着出来ると思いますよ。 ラビリオは、ここから3時間くらいでしょうか? そうだ!」」

 俊夫は、エティゴーヤから、ハーヴェストの町とラビリオの村の位置を教えてもらった。

 その際に、いらなくなった地図をもらった。

 ざっくりとした地図だが、無いよりマシだし、周辺の町や村が書き込まれているのが助かる。


「エティゴーヤさん、ありがとう! 助かるよ」

「いや、そんなもんで良かったら、どうぞ。 それと、ハーヴェストの町に来られる事があったら、私の店に寄ってくださいよ! ちゃんと、お礼がしたいので」

「エティゴーヤさん、お言葉に甘えて、後日お邪魔させていただきますよ、その時は、宜しくお願いします」

「ぜひ、お待ちしてますよ! 俊夫さんは、これからどうされるんです?」

「私は、ラビリオの村ってとこに行ってみます」



「お待たせ!」 

 父さんが、車に戻ってきた。


「おっ、博人。 キャスカを安心させてたのか?」

「え? あっ、ハハハ……」

 慌てて手を放した。

 俺とキャスカが手をずっと握ったままだったようだ。

 あわわ……

 赤くなる、博人とキャスカ。


「ありがとう、博人……お兄ちゃん」

 キャスカが俺に……うーん、可愛い。

 やっぱり、俺はキャスカが好

「気にするな、家族なんだからな!」

 なぜか、父さんが先にキャスカに答えやがった。

 恨めしく俺は、父さんを睨む。


 それから、父さんが話してくれたのは、襲撃を受けた馬車に乗っていたのは、エティゴーヤって言う名前の商人で、そのエティゴーヤから、近くに村がある事、そして、少し遠いが、町がある事を聞いたとの事だ。

 そして俺達は、近くの村に向かってみる事にした。

 生活の様子や、色々な情報を得れたら良いのだが……


町田宅ーー


 キッチンで、朱美が晩御飯の準備をしている。

 冷蔵庫の中には、日本で買ってきた、生鮮食料品が沢山詰め込まれていた。


 日本に到着するのは、バラバラな日付なのに、戻ってくる時間は出発してからの時間の流れでちゃんと戻って来れる……

 考えても仕方ない事なので、朱美は、頭を切り替え食事の準備に没頭する事にしている。


 食事の準備があらかた終わった頃、玄関のドアを叩く音が聞こえた。


 俊夫達では……無い。

 俊夫であれば、インターホンを押すだろうし、そもそも、俊夫は、家の鍵を持っている。


「……誰?」

 朱美は、拳銃を手にして玄関へ向かう……



 町田宅の前に馬車が止まっている。

 馬車の持ち主は……エティゴーヤ。


 数日前にこの場所を通った時は無かった家が、突如出現していた事に驚きつつ、普通の家と異なる雰囲気のこの家に興味を持って、ドアを叩いたのだった。


『はい、どちら様ですか?』

「うおっ!」

 突如声がして驚くエティゴーヤ!

 インターホンから、朱美の声がしたのだ。


「あ、あの、私の名前は、エティゴーヤ、商人でして、その……聞こえてるの?」

 キョロキョロしながら、喋るエティゴーヤ……

『大丈夫ですよ、聞こえてますから。 何か御用ですか?』

「そ、そうですか…… あの、ここを以前通った時に、見かけなかった家が突然あったので……」


 現地民……

 情報を得るチャンス。

 そう、朱美は思い、出て見る事にした。

 危険人物なら、始末すればよい……

 朱美は、決意した。


『今、そちらに行きますね』

 その声を聴いて、エティゴーヤが玄関の前で姿勢を正す……


ガチャリ……


 暫くすると、玄関のドアが開いた。


サクッと商人 エティゴーヤを助けた父さん。

俺は、キャスカと手を握れたので満足だ。

この世界の庶民の生活って、どんなんだろ?

家にエティゴーヤが来ているなんて知らない俺は、父さんの車でラビリオの村ってとこに向かっている。

って事で、次回も、乞うご期待!

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