第36話 装備品購入とか
俺をつけ狙う奴は誰だ?!
この国の奴等か? 俺は、裏切り者だからな。
それとも、敵の転移者か?
心当たりが多すぎて困る。
何者かが俺達の後をつけてきている。
俺はそいつの気配を感じていた。
キャスカとシンディーは気づいていないのだろう。
危害が及ばないよう、二人には先にレストランに入ってもらう事にした。
そして俺は、そいつに声をかける。
「いいぞ、出て来いよ。 さっきからずっとつけてて何か用か?」
そう言って、俺が振り返ると、物陰から男達が現れた。
人間、獣人、合わせて5名……
エスタディス国の手の者か?
諜報部?
どちらにしても、もう俺達が裏切ったと言う情報が入ったのか?
俺に緊張が走る。
「へへへ、あ兄さん、羽振りが良いようじゃないか? 俺達にも、少し分け前をいただけないかね?」
下卑た笑みを浮かべて人間の男が俺の顔を覗き込む……
「……」
そうか……、
緊張していた博人が笑う。
「あー、そんなの良いから、やるものは無い。 以上、解散!」
俺の心配は杞憂だった。
単なる金目当てのチンピラだ。
カツアゲしてきた奴等に丁重にお断りを告げると、俺は、キャスカ達の元へ向かう。
「ちょっと待て! お前らが大金を持っているの解ってるんだ、痛い目にあいたくなかったら、大人しく金をよこせ!」
獣人の男に呼び止められた。
大声を出すんじゃないよ……騒ぎになりたくない。
大方、店で金を受け取ったのを見られていたのだろう。
だがな、その金は、俺達のもので、お前らにやるような金じゃない。
俺は、理不尽を言う暴漢らを睨みつける。
「なんだ、その目は? 金を渡したら大人しく帰るつもりだったが……」
どうしようってんだ?
だんだん腹が立ってきた。
暴力でどうこうしようって輩は、許せない!
よって、射殺しようか?
いや、弾がもったいない。
よって!
「なっ!」
突然、自分達に向かって走りだした博人に驚き声を上げた暴漢達!
ドガッ!
博人が獣人の髪の毛を掴んで、顔に膝をたたき込んだ!
「野郎っ!」
仲間がやられた暴漢が言ったが、博人は着地と同時に言った男の近くまで来ていた。
俺は、膝蹴りをたたき込んだ後、近くの男に向かって走った。
最初の膝を入れた獣人を倒したか、解らないが綺麗に入ったし、タフな奴でも、攻撃モーションに移るまで1~2秒の空白が生まれる。
その間に、次の男にダメージを与える。
遅い!
俺は、その男の右手首を掴むと肘関節を極めつつ体を捻り、折る!
「ぎゃぁぁああ!」
腕を折られた男が叫ぶが、俺は直ぐに、次のターゲットへ!
判断と決断の差。
暴漢が仲間が躊躇なく腕を折られた様を呆然と見ている。
走り込んで、がら空きの腹を思い切り蹴る!
最後の一人!
俺は、走りながら落ちてた石を拾い上げて、そいつに叩きつけた!
ここで、俺は、現状を確認する。
戦闘続行可能そうなのは、最初に膝を当てた獣人と、腹を蹴った奴もその内回復しそうだな。
俺は、獣人の戦意を喪失させるために……
「ううぅぅ」
腹を蹴られた男が蹲って腹を押さえている。
そこへ、石を手にした俺が近づき、獣人を見た。
「まだ、やるのか?」
俺は、石で倒れている男を滅多打ちにしながら言った。
「謝れ、もうしないと誓え!」
俺は、獣人に向けて言った。
「も、もう、辞めてくれ! 俺達が悪かった!」
獣人が懇願してきた。
俺は、石を投げ捨てた。
そして、獣人に近づく。
「治療代だ、それから、俺に関わるな。 俺の連れにも手を出したら殺す」
そう言って、銀貨を5枚、獣人に渡した。
騒がれないように急いだのだが、少しばかり目立ってしまったようだ。
この場を離れた方がよさそうだ。
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レストラン店内ーー
「博人、まだかな? 料理来ちゃうよ」
テーブル席に着いているキャスカがソワソワ、キョロキョロしている。
「落ち着きなさいよ、もう来るでしょ?」
シンディーが何度目かの同じ台詞を言ったのだが、
「やっぱり、僕、見てくる!」
そう言って、立ち上がるキャスカ。
ちょうど、その時、入口の方を向く形で座っていたシンディーが店に入ってきた博人が見えた。
「キャスカ、博人がきた」
シンディーの言葉に振り返ったキャスカも博人を確認する事が出来た。
「博人―! こっち、こっち!」
博人を呼ぶキャスカに気づいた博人が小走りでテーブルへと向かってくる。
キャスカ達が席に着いていた。
申し訳ないけど、
「キャスカ、シンディー、店を出よう!」
俺は、念の為にこの場を離れる事にした。
騒ぎを聞きつけた役人が来たら面倒な事になるからな!
「注文しちゃったよ?」
「キャスカ、歩きながら説明するから、行くぞ! シンディーも立って」
テーブルに金を置いて俺達はレストランを出る。
店の前には、チンピラ共の姿はなく、閑散としていた。
俺の考えすぎかとも思うが、安全策をとる。
「カツアゲされそうになって、返り討ちにしたんだけど、騒ぎになったから移動する事にしたんだ。
もしも役人が来て、俺達が事情聴取で引っ張られたりしたらどうする?
そんな無駄な時間を過ごす余裕なんて、俺達には無いだろう」
俺の言葉に、二人とも納得したのか解らないが、特にそれ以上聞かれなかった。
そのまま俺達は、食料品を仕入れに市場へと向かう事にした。
市場の食堂で軽く食事をした俺達は、あれこれと食料品を買い込んでいく。
「シンディーの装備をそろえるから武器屋によるぞ」
食い物でパンパンになったリュックを背負う俺が言うと、
「買ってくれるのか?」
申し訳なさそうにシンディーがしていた。
「お前な、申し訳ないとか思うなよ。
お前の攻撃力や防御力が上がれば俺達の利益になる。
だから、お前の武器防具を強化するのは、俺達全員の利益の為なんだからな!」
「わ、わかった!」
シンディが納得してくれた。
変に気を使って、値段を見て商品を決められたりしたら困る。
値段じゃなくて、強くて自分に合っているものを選んで欲しい!
そして、その胸を強調するような、素敵な服装を!
俺は、シンディーを連れて服屋へと直行した。
「アレが良い!」
俺は、メイド服を指さして言った。
今の服装から露出が減ってしまうのが残念だが、清楚で良い感じで、隠す事により露出してた時より興奮するからな!
かといって、性癖から決めたのではない。
メイドは、体を動かす仕事!
それに耐えうる耐久性、そして、動きを阻害しない縫製、それは軍服としての要件を満たしているものだと俺は思うんだよね!
と、言う事を俺は熱っぽくシンディーに説明した!
「……そうなのかも」
最初は不審者を見る目だったシンディーも長時間の説得によって洗脳……いや、理解してくれたようだ。
そうと決まれは……
「シンディー、採寸してもらえ! 後、キャスカの服も注文しとくからお前も採寸してもらえ」
「え? 僕も買って貰えるの?」
キャスかが驚いて……うん、喜んでいるようだ。
当たり前だろう?
お前は、俺の大事な奥さんになるんだから。
「キャスカが一番大事だもん、当たり前だよ」
俺は、キャスカの耳元で囁いた。
キャスかが真っ赤になって可愛い。
二人の採寸が終わると俺は、先に武器屋に行くように指示をした。
時間の有効活用って奴だ。
うん。
俺の言葉に素直に出て行ったキャスカとシンディー。
「……行ったな」
俺は、店主にメイド服について注文を入れる。
「馬鹿野郎! もっとスカートを短く!」
店主を叱りつけた!
スカートが長い!
そんなんじゃ、パンチラが……いや、動きにくいだろう!
俺は、ただ純粋に来るべき戦いに備えたいその一心でいるのだ。
うん。 それ以外考えようがない!
そして、キャスカの服だが、うん、キャスカは、可愛いから、そうだなぁ……
店主にシンディーのメイド服とキャスカの服を頼んで、俺は、キャスカ達を追って武器屋に向かった。
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エスタディス国の武器屋 ロートーー
「ねぇ、シンディーこれなんかどうかな?」
キャスカが鳥の羽のような飾りのついた大きな弓を持ってきて言った。
「キャスカ、私、弓って苦手なのよねー、これなんかどうかな?」
えっ? 最初弓で攻撃してきたよね? キャスカは、目が点になった。
そして、シンディーが手にしているのは、大きな鎌だった。
「なんか……凶悪な感じだね」
「……そう」
シンディーは、鎌を置いて、その辺の剣を取ってこれで良いと言った。
「二人ともーー! 注文してきたからね! ん? 武器決まった? あそう! 防具なら服に合わせるから後々!」
テンションの高い博人が店にやってきて言った。
そして、金を払った。
三人で、店を出た!
俺は気分が良い。
可愛い女の子に俺の好みの服を着せる事ができるのだからな!
俺は、二人を連れて、服屋に舞い戻る!
「出来た?」
店主に聞いた!
「まだだよ! 直ぐに完成する訳ないだろう! 解ってるって! 急ぎなんだろ? 明日までに仕上げるから!」
店主に言われた。
そうか。
「そんじゃ、頼んだよ!」
俺は、二人を連れて店を出ると、宿屋を探した。
服は、明日出来上がるので、今日は泊まるのだ!
俺達は、高級でもないが安宿でもない普通の宿に泊まる。
なぜなら、近くにあったからだ!
人生初の女の子に服を買ってあげると言う経験をつんだ!
レベルが上がった気がした。
俺は、キャスカを愛しているが、シンディーも可愛いし、モテる男は辛いぜ!
って事で、次回も、乞うご期待!




